温故知新 古きを訪ねて新しきを知る低公害車としてのLPGトラックの開発と普及

2024年5月25日

生協の低公害車開発・普及への取り組みの意義

総合ページに戻る

〒903-0907
沖縄県那覇市首里久場川町2―96―P―107
  排気ガス撲滅運動推進本部会員
    石 原 兼 治   様
横浜市港北区新横浜2-5-11
コープ低公害車開発株式会社
代表取締役専務 若狭良治
TEL 045‐472‐7913
FAX 045‐472‐7924
資料送付のご案内

 初めてお手紙をさしあげます。
 私どもは、コープかながわ・コープしずおか・市民生協やまなし〈いずれもユーコープ事業連合の構成生協〉など全国30の生協が出資して運営している会社です。会社目的は、生協で使用している車両の低害化を進めるために、ハード開発〈車両など〉、ソフト開発(使用方法・啓発活動)などを進めています。
 今回、貴殿からお送りいただいた資料が私のところに回されてまいりましたので、拝読いたしました。
積極的に自動車排ガスの害を改善するためにご活躍の由、今後とも積極的なるご活動をお祈りいたします。
 さて、延岡のマルビシ様の機材につきましては、数年前になりますが、大分のグリーンコープや鹿児島県のコープかごしまで設置した実績があります。私もその設置した事例を視察した経験があります。
結果としては、私どもは、現在、小型ディーゼル車の脱ディーゼルをメインにLPGトラックの導入を進めてまいりました。
 私どもは最初は電気トラックの開発を目的に設立した会社ですが、実際に電気トラックの開発をいすゞ自動車と行い、普及のための努力を傾注してまいりましたが、ディーゼルトラックの入れ替えることが当面困難との見通しを持ちました。
 その検討の中で、各種の低害化技術について検討を加えてまいりましたが、結論としては、LPGトラックの開発と普及が、今日的な段階での解決策として浮上しました。
 1993年以来、トヨタ自動車とモニター車の開発など話し合い、同年11月にモニター車が完成し、約半年をかけて、全国30箇所で検討を加え、1994年6月より生産を開始し、1994年7月7日に第1号車が愛媛県のえひめ生協に納車されました。
 以来、4年8ヶ月。全国で約13000台所有する小型トラックのうち、1900台余りをLPGトラックに転換しました。
 環境庁は、「低公害車」の定義に「脱石油」を条件にしているために、ガソリンの代替としてタクシーを中心に利用されてきたLPG〈液化石油ガス=主成分:プロパン20~30%、ブタン80~70%の混合燃料〉を使用した自動車を「低公害車」として認知しようとしません。
 しかし、LPG自動車は、黒煙や発ガン性が指摘される浮遊粒子状物質の排出がないなど、国が自動車排ガスで規制しているNOx〈窒素酸化物〉、HC〈ハイドロカーボン:炭化水素:燃料の燃え残り〉、CO(一酸化炭素)の排出の面でも優れた特性を有し、かつ、気体燃料のために燃料は空気と均一混合して理想混合燃焼を行うために、エネルギー効率がよく、状況によっては、炭酸ガスの発生がディーゼルと同等か良い場合もあります。
 私どもは、行政の進めている「いわゆる低公害車」普及政策では、自動車排ガスによる大気汚染と健康被害を改善することが困難であるとの判断とユーザーの立場からLPGトラックの普及のための活動を進めています。
 目的は同じでも、当面の進め方が異なるのは仕方がないことですが、LPG化できない分野での活用という点では可能性があるかと思います。
 ただし、「マルビシ」方式の機材によって、黒煙や悪臭などが低減されたとの説明を受けてはいるのですが、私どもが一番気にしているのは、軽油〈ディーゼルエンジンの燃料〉に5%程度含まれている多環芳香族炭化水素の存在と、その多環芳香族炭化水素によって生じる浮遊粒子状物質の健康被害です。
 この浮遊粒子状物質(SPM:10ミクロン以下の目に見えない空気中に浮遊する物質:その中でも、人工的に作り出される工場排ガスや自動車排ガス中のSPMは、1ミクロン以下で、特に、ディーゼル自動車より出されるSPMは、燃料高圧噴射などの技術革新により、より微粒子化し、黒煙すら見えなくなってきています。
 長らく、日本の自動車排ガスの健康被害の原因としてNO2〈ニ酸化窒素:窒素酸化物〔(NOx)の中で、一番人体への健康被害が強いといわれている)が指摘されてきましたが、最近の研究によれば、NO2の健康被害で特に指摘されてきた喘息などでは、発症の点ではその役割は弱く、発症した後に悪化させる面が強いとの指摘がされています。同時に、浮遊粒子状物質(SPM)の研究が進む中で、SPMの健康被害が極めて強調される状況になってきました。
 SPMの中でも特にディーゼル排ガス微粒子(DEP)の健康被害については、従来の「喘息」以外に、気管支炎、精子減少、奇形などの影響が指摘される状況です。
 また、最近ごみ焼却場から排出されるダイオキシンが話題ですが、ディーゼル排ガス中のダイオキシンが指摘されています。奇形などの現象は、これらの物質の環境ホルモン〈内分泌撹乱物質〉としての作用ではないかと指摘されています。
 今回、資料をいただき、熱心に活動されていることを知り、力強く感じるものですが、同時に、私どもの活動を理解いただき、今後の活動の一助になればと思い、資料をお送りします。
 同封しました、CD-ROMは、マイクロソフト社(MS)のパワーポイント97でご覧ください。
 なお、沖縄は、LPG改造業者も多く、タクシーはLPGがほとんどです。しかし、生協でのLPG転換もされていない状況です。
 私どもは、現在は、主にディーゼルトラックのLPGへの転換を進めることと、ガソリンとLPGのバイフューエル車の日本での普及のために、高圧ガス保安法の規制緩和を働きかけるなどの活動を進めています。
 もし、今後ともお送りしました「CO‐OP・EVプログレス」をお読みいただけるのでしたら、毎月郵送しますので、ご連絡ください。費用は無料です。全国の出資生協の運営費で賄っております。
 長々と記述させていただきましたが、貴殿のご多幸をお祈り申し上げ、筆を置かせていただきます。                           敬具

2009年1月3日 朝日新聞
縦割り打破!エコトラック業界を束ねて低公害車を開発
若狭 良治さん (65)
 天然ガスや石炭からするジメチルエーテル(DME)という燃料がある。
 これをトラックの次世代燃料にしようと取り組んで10年目になる。
 ディーゼルエンジンに使う軽油に比べ二酸化炭素の排出は少なく、ぜんそくの原因の粒子状物質は極めて少ない。
 環境保護に最適な低公害車は何かを、何か、と考えた結論がこれだ。
 一直線にDMEにたどり着いたわけではない。
 まず試みたのは電気だ。
 日本生活協同組合連合会に勤めていた私が加盟生協に頼まれ、小型電気トラックを開発する小さな会社に移ったのは1991年。
 メーカー共同開発したが、1回の充電で走れる距離はわずか50キロで、2千万円もした。実用には向かない。
 そんな頃、トヨタ自動車が液化石油ガス(LPG)を燃料にしたごみ収集車を作ろうとしていることを知った。
 LPGは粒子状物質を出さないし、すでにタンシーにも使われていて、開発は難しくない。小型トラックの共同開発を持ちかけた。
 完成車を見て、加盟生協の中には「電気トラックには夢があったが、LPGでは」と採用を渋るところもあった。
 だが、大切なのは 「実用的」なこと。約7千台を導入した。
 ただLPGはガソリンエンジンを使うので、中型より大きなトラクには向かない。
 研究者を回り、行き着ついたのが、スプレーの噴射剤などに使うDMEだ。
 業界は「補給所の設備が大変だ」などと否定的だった。
 2001年、人脈をたどり、産業技術総合研究所や伊藤忠商事、岩谷産業などに打診してみた。
すると、各社ともDMEに意欲的であった。
 翌年に部長や課長クラスを中心にしたグループができた。
 試作には億単位の金がかかる。親しい大学教授らに協力してもらい、国の補助金を申請した。
支給されるまでは生協から2億円を借りてしのいだ。
 2003年 いすず中央研究所の協力で4トン積み中型トラックの試作車が完成した。
 同じ補助金で、新潟市などにDMEの補給所が4カ所できた。
 試作車は立派に走った。
 燃費や耐久性試験などを続けるうちにようやく昨年、国が動いた。
 国土交通省の公募事業にいすゞ中央研究所が手をあげ、新潟県首都圏で2台のトラックの耐久実験が始まった。
 実用化への大きな一歩だ。
 今年2月には、 木材からつくったバイオDME燃料をDMEに混ぜ、走行実験をする。
 木材を利用することで、さらに二酸化炭素の排出が減らせる。
 燃料は経済産業省、自動車交通は国土交通省と、縦割り行政の弊害から、一緒にDME車を普及しようという意欲が乏しく、それが影を落としていた。
 こんな無味なことはない。
 共同開発したグループは2006年、豊田通商なども加わり「DME自動車普及促進委員会」に発展した。
 私は事務局長を務めている。
 それぞれの企業や研究所が協力し、お金を出し合い、風通しをよくして、目標に向かう。
 我々の役割はそこにある。
(聞き手・杉本裕明)