温故知新 古木を訪ねて新しきを知る
東京農大演習農場で見学者に説明する信岡誠治 教授(当時) 2008年10月
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| 第4回 コメ政策と飼料用米の今後に関する意見交換会2019 |
| 第4回 コメ政策と飼料用米の今後に関する意見交換会2019 目次 参加者70名で開催しました。参加者 59名基調講演講師 5名事務局 6名合計 70名当日の配布資料を発表時に変更したものに編集しました。全体の配布資料 25.623MB 質問に答えて 2019年11月6日第4回 コメ政策と飼料用米に関する意見交換会開催日時 2019年(令和元年)11月13日(水) 午後1時~会 場:食糧会館 中央区日本橋小伝馬町 15-15 会議室(5階 A/B 会議室) 収容人員70名基調講演者および事務局を含めて、70名で開催しました。会場のご案内地図 http://www.zenbeihan.com/overview/outline.html (詳細は HP から)対 象: 関係官公庁(農林水産省、自治体など)、コメ生産者/流通業者、 畜産生産者/流通業者、農業団体、飼料製造/販売業者、物流業者、 消費者団体、研究・教育関係者、報道関係者 等主 催:一般社団法人 日本飼料用米振興協会参 加 費:無 料10月3日午後、プレス情報をアップしました。ご案内2019年10月2日(水) 午後1時配布資料 PDF版2019年10月2日(水) PDFの元原稿WORD版 配布場所:農林水産省 農政クラブ・農林記者会 このプレスリリースは、農林水産省の記者クラブの「農政クラブ」と「農林記者会」で配布させていただきました。 参加者70名で開催しました。 参加者 59名 基調講演講師 5名 事務局 6名 合計 70名 当日の配布資料を発表時に変更したものに編集しました。 全体の配布資料 25.623MB |
| 音声再生 基調講演 MP3A 質疑応答 MP3B (第6回)~飼料用米普及のためのシンポジウム2020 ~ 案内ポスター 0.361MB 開会のご挨拶 2019年11月13日 一般社団法人 日本飼料用米振興協会 理事長 海老澤 惠子 本日は、お忙しい中、日本飼料用米振興協会の意見交換会に多数ご参加いただきありがとうございます。 毎年3月に東大の弥生講堂をお借りして「飼料用米普及のためのシンポジウム」を開催してまいりましたが、内容が盛りだくさんで、4年前から「多収日本一」と「ブランド日本一」の表彰式も入って、シンポジウムの中でなかなか議論するところまでいかないのが実情となっております。 この会は、消費者、生産者、企業、行政、報道関係などいろんな立場の方々にご参加いただいていますので、それぞれの立場でお考えになっていることを自由に出し合って意見交換する場を作ろうということで、11月に意見交換会として開催し、今回4回目になります。 今年は、日米貿易交渉や、トウモロコシの追加輸入の問題もあり、多くの方に関心を寄せていただきました。ありがとうございました。 会場定員の70席を超える参加申込みがあり、本日無事に開催できましたこと、誠にありがとうございました。 これからの日本の農業がどうなるのか、消費者としても大変危機感を持っているところですが、食料自給率がどんどん下がる中、それを向上させるためには飼料自給率を上げること、その実現のためには飼料用米を、日本型循環畜産のなかで普及させることが必要なのだという基本の考えは変わりません。 量的にも質的にも飼料用米を拡大するための課題はいろいろ見えてきましたが、具体的な対応策はなかなか打ち出せないでおります。 当協会の理事でもあります信岡先生が基調報告の資料30,31頁で書いておりますが、「飼料用米についての交付金を2025年産以降、どういう形で継続されるのか?」「飼料用米の保管・流通コストの合理化と大幅な削減ができないか?「飼料用米の生産コストの大幅な低減ができないか?」などの課題がございます。 しかし、これらになかなか具体的な対策が取れていないということが問題となっております。 本日は、農林水産省穀物課の川口様から基調講演をいただいた後、4人の講師の方々からご講演いただき、その後皆さんとの意見交換をしていきたいと考えております。 皆様それぞれ組織に所属しておられることと思いますが、どうか、今日は自由な立場で活発にご意見をお出しいただきたく、そこから、何か飼料用米拡大のための具体策の手がかりが見えてくれば、大変意義ある会になることと、期待いたしております。どうぞ、よろしくお願い致します。 閉会のご挨拶に代えて 「第4回 米政策と飼料用米の今後に関する意見交換会 2019」を終えて 一般社団法人 日本飼料用米振興協会 副理事長 加藤好一 (生活クラブ事業連合生活協同組合連合会連合会・会長) 意見交換会にご参集いただいたみなさま、誠にありがとうございました。 当日は畜産農家、飼料業者、消費者ら約70名が集い、議論ができました。 今年は米の消費量の減少基調が厳しくなる中、米の生産調整の見直し2年目、その一方で飼料用米の2年連続の生産減、という重い現状をふまえての意見交換会となりました。 また相次いで大型通商条約が締結されるなか、国会では日米貿易交渉が審議中であり、並行して食料・農業・農村基本計画の見直し議論が本格化する最中での開催ともなりました。 このように情勢が緊迫の度を増しているなかで、当日ご登壇いただいた諸先生方には、大いに示唆に富む問題提起を賜り、私ども主催者の期待に応えていただきました。 この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。 しかし反省点も残りました。 一つは申し込み順の参加受付のため、結果的に生産現場や畜産現場の生の声が行き交う意見交換会となり得なかったことです。 二つは、意見交換の時間が十分に取れず、その体を成しえなかったことです。 そして三つには、私ども主催者としての主張をご提示し、プログラムの最後に集会決議的なまとめを、参加者一同で確認することも必要であったかもしれません。 その際の論点は多々ありましょう。ここでは最大公約数的な論点を、私見として記させていただきます。 ① 飼料用米生産を転作作物という補助的な位置づけではなく、「本作」として明確に位置づけることです。 諸情勢、諸事情はあるにせよ、その覚悟がまずは現場に求められ、その熱意・意欲をもって、わが国の農業政策の中にその思いを反映させていく。とすれば、恒久的な予算確保と制度化は当然のことです。 ② 「本作」というならば、飼料用米生産者、畜産生産者、流通や飼料メーカー、消費者、農業団体、学識経験者など多方面のネットワークを構築し、飼料用米を増産基調に転じさせていくための経験や 知恵を結集する必要があります。 この課題には当然、多収と生産・保管コストの削減等も課題となり、関係各所の努力が不可欠です。 飼料関連諸施設の配置の問題なども検討課題になるかもしれません。 しかしこれらなくして「本作」の実現は期しがたいと思います。 私ども飼料用米振興協会は、その名のごとく飼料用米の増産をめざす団体です。 来年3月18日には東大・弥生講堂で飼料用米に関するシンポジウムも開催いたします。 また次回の意見交換会が実り多きものになるよう一層の努力をいたす所存です。 今後とも当会へのご指導・ご支援をお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。 毎日経済通信記事 掲載記事の紹介 令和元年11月15日(金)第12594号 日刊毎日経済通信 第4回コメ政策と飼料用米の今後意見交換会開催 (一社)日本飼料用振興協会は11月13日、午後1時39分より、東京・日本橋の食糧会館会議室において、「第4回コメ政策と飼料用米の今後に関する意見交換会2019」を開催した。 それには、農林水産省、コメ生産者/流通業者、畜産生産者/流通業者、飼料製造/販売業者、消費者団体等の関係者が多数参加した。 第4回の意見交換会では、日本飼料用米振興協会 海老澤惠子理事長の開会あいさつの後、2題の基調講演と意見交換会が行われた。 これについて、演題と講師は次の通りである。 ◆講演(1)飼料用米の推進について 農林水産省政策統括官付穀物課 川口正一係長。 ◆講演(2)飼料用米の位置付けと今後の展開方向-生産、利用、消費、政策の各サイドから考える― (一社) 日本飼料用米振興協会 信岡誠治 理事、 (株) 農林中金総合研究所調査第一部 小針美和主 任研究員、 (一社) 農業開発研修センター 山野 薫 研究員。 (一財) 農政調査委員会 小川真如 専門調査員。 今後の飼料用米の生産に向けて法制化等三つの提言 (一社)日本飼料用米振興協会 信岡誠治理事は別項のように、飼料用米に関した基調講演を行った。 信岡理事は講演の中で、飼料用米の課題解決に向けた三つの提言を行った。 それによると、それぞれの課題とその解決に向けた提言の内容は次の通りである。 ▼提言(1)=課題は、飼料用米についての交付金を2025年以降、どういう形で継続していくかであること。 これについては、減反の廃止により2018年産から転作という用語がなくなり転作交付金の根拠がなくなっていること。 このため、水田フル活用のための交付金制度として新たに組み立て直すことが求められていること。 解決に向けた提言は、水田フル活用政策を法制化すること。法制化に向けての要は、 ①飼料用米は、わが国の食料安定保障の最大の要であること。 ②飼料用米は、水田を水田として次世代へ継承していく要であること。 ③水田(国土)と畜産を結びつけ、循環型畜産農業の要であること。 この三点であること。 ▼提言(2)=課題は、飼料用米の保管・流通コストの合理化と大幅な削減であるこを。 これについては、食用米と同様の保管・流通を行ったのでは、大幅な物流コストの削減は困難であること。保管施設などへの設備投資は必要であるが、バラ流通、フレコン流通と籾米での保管・流通など、物流形態を基本的なところから見直ししていく必要があること。 解決に向けた提言は、具体的には畜産農家の飼料タンクでの配合ができる方法も開発されてきている。飼料用米の物流は、地産地消が大原則であり、その観点からの支援が強く求められていること。 ▼提言(3)=課題は、飼料用米の生産コストの大幅な低減であること。 これについては、飼料用米は「価格が高い」、「米を家畜のエサにするのはもったいない」というイメージがあること。このため、飼料用米専用の多収品種の導入促進と単収の大幅な向上がコスト削減の要であること」。 解決に向けた提言は、飼料用米の多収栽培・低コスト化に向けた支援策の強化であること。 これに向けては、 ① 飼料用米の多収を実現するためには、地域に合った専用多品種の導入が不可欠であること。このため種子の増殖は各県にまかせるのではなく、民間や団体が種子の増殖を行い、普及できるように支援策を拡充する必要があること。 ② 真に低コスト生産ができるようにするためには、それなりの条件整備が必要であること。そのための要は堆肥の多投入であること。単収一トンレベルの多収を実現するためには、それに対応した堆肥が必要である。のため、堆肥を散布する機械の導入やコントラクターによる堆肥の散布作業への支援策の強化を求められること。 これらのことが必要であるとした。 信岡理事 畜産生産者が飼料用米に最も望んでいること 「第4回 コメ政策と飼料用米の今後に関する意見交換会2019」が別項のように開催され、日本飼料用米振興協会信岡誠治理事の「飼料用米の位置づけと今後の展開方向-生産、利用、消費、政策の各サイドから考える- 」と題した基調講演が行われた。 信岡理事は講演の中で、畜産生産者が飼料用米に一番望んでいることは何かとして、次のように語った。 (1)飼料用米の増産と安定供給の継続確保=飼料用米を通常の飼料原料として利用するため、すでに保管・物流施設や機械を含め、多額の投資を行っている。これが無駄な投資にならないようにしなければならない。 (2)飼料用米の安全性の確保と価格の安定= ① 家畜の飼料として利用するので、残留農薬はフリーであることが大原則である。安全性を確保する仕組みの導入も必要である。 ② 飼料用米の購入価格は、輸入トウモロコシ価格と同等レベルでないと利用することができない。米生産の豊凶や作付面積の増減による価格の変動は、飼料用米には好ましくない。 質問に答えて 信岡先生がお答えしました。(後日、返信したものです。) 意見交換会の質問(佐橋正文さんより) 質問1:環境・循環型社会への貢献とありますが、米はCO2の吸収はどのくらいですか? 家畜糞は堆肥がよいのか、発電がよいのか? 回答1:地球の炭素循環、炭素の貯留(ストック)の状況は、大気中の炭素ストックが7,600億t、世界の化石燃料の燃焼等に伴う排出量は73.3億t(炭素換算)です。これに対して植物体のバイオマスに含まれる炭素は5,000億t、土壌中(表層1m)の有機炭素ストックは2兆tと大気中の炭素ストックの2.6倍もあります。 なお、土壌と大気の間では毎年600億tの炭素が出入りしていますがここでの炭素収支はゼロです。 ところで、わが国で水田に堆肥を1,000kg/10aを施用した場合、年間の炭素貯留増加量は85万tと試算されています。ただし、堆肥施用に伴いメタンの発生が毎年17~27万tあるので、これを差し引くと毎年58~69万tの炭素が水田土壌に貯留されることとなります。これを10a当たりで換算すると26kg/年の炭素貯留となります。 しかし、現状は水田への堆肥の投入量は100kg未満/10aで、ほとんどが窒素肥料など化学肥料の投入で稲作を行っているので水田土壌への炭素貯留の増加ではなくて逆に炭素の放出の方が多くなっています。 家畜ふんの利用は堆肥化して土壌還元がコスト的に最も合理的で土壌中に炭素を貯留するので地球温暖化防止にも有効です。発電への利用はバイオマスの利用としては有効ですが、基本的にはカーボンニュートラル(炭素収支ゼロ)なので地球温暖化防止には一定の効果しかないと考えます。 意見交換会の質問(千葉県の山崎藍子さんより) 質問1:飼料用米の畜産での位置づけと展望は何かの講演で「トウモロコシと100%代替可能(鶏と豚)とあったが、どういう意味で代替可能なのだろうか?価格や栄養価、消化率など含めて総合的なのか? また、飼料用米を利用した畜産物はヘルシーだが、簡単にコクはつけられるとあったが、どのような方法か? 回答1:ご質問ありがとうございました。飼料用米がトウモロコシと100%代替可能という意味は、飼料用米として契約栽培されたものを鶏や豚に給与する場合は栄養的にトウモロコシと100%代替可能という意味です。ただし、飼料用米のモミ米、玄米、精米でそれぞれ栄養成分は異なるので単純にどれも100%代替可能というわけではなく、それぞれの栄養成分の分析値に基づいて過不足を調整することが必要です。すなわち、ここでは契約栽培された飼料用米のモミ米と玄米であればトウモロコシと100%代替可能ということです。 また、その際の飼料用米の購入価格はトウモロコシの輸入価格(飼料工場到着価格)と同等であれば、100%代替可能です。なお、消化率は鶏ではモミ米であってもトウモロコシと同等です。理由は、砂嚢が鶏にはあり初生ヒナの段階からモミ米を給与していけば筋胃が発達して消化率はトウモロコシよりも向上します。養豚ではモミ米をできるだけ細かく粉砕して給与すれば消化率はトウモロコシとほぼ同じです。 食品添加物の分野ではコク味を付ける調味料としては様々なものがあります。代表的なものはグルタミン酸ナトリウム(グルソー)です。食品添加物の科学調味料として広く利用されています。これにイノシン酸やコハク酸などを混ぜ合わせて色々な旨味を出す添加物も利用されています。 天然物由来の調味料としては「ボニザイム」と「エキストラート」があります。「ボニザイム」は5種類の風味原料(鰹節、宗田鰹節、イワシ煮干し、鯖節、飛魚煮干し)を2種類の酵素で分解したペプチド系液体調味料です。アミノ酸とペプチドをバランス良く含み、うまみとコクみの付与に力を発揮することから、様々な調味料のベースとして利用されています。「エキストラート」は動物性タンパク加水分解物を主原料とするエキスです。コクと濃度感のあるのびやかなおいしさを与える調味料です。 配合飼料の飼料添加物として利用されているのは、海藻を原料とした「アルギット」です。ノルウェーの海岸に自生する褐藻アスコフィラ・ノドサムの乾燥粉末で、60種類以上のミネラル等が含まれており、コクとうまみが増してきます。これに、アミノ酸である「グルタチオン」を添加することで、コク味の広がりや持続性を付与できます。「グルタチオン」は、アミノ酸である「グルタミン酸」「システィン」「グリシン」の3つが結合したものです。なお、「グルタチオン」自体は、何の味もしませんが、他の味の厚みや持続性、広がりを引き出す、つまり「コク」を付与する効果があります。どの添加調味料をどれだけ添加してコク味を付けるかは、ノウハウ(知的財産)でレシピ(配合割合)自体は各社の企業機密となっております。 質問2:耕畜連携、地域循環型農業とあるが、水田に肥効成分のわからない堆肥を入れるのを嫌がる農家もいると聞いた。これに対する取り組みは何かあるのだろうか? 回答2:耕畜連携助成がありました。この助成金は現在、産地交付金化され各地域の農業再生協議会でどう配分するかはそれぞれに委ねられております。千葉県のある再生協議会では従来、10a当たり13,000円あった助成金の半分を堆肥の還元した農家に交付するように変更したと聞いていますが、各再生協議会での具体的運用内容は様々なようです。できれば県の再生協議会が主導して、水田への堆肥の還元(資源循環)を誘導するように指導をしていただければ幸いです。茨城県畜産会では県と組んで毎年堆肥コンクール表彰を行い、家畜糞尿を原料とした堆肥の成分を細かく分析し、農地への施用方法まで示して使いやすい堆肥の普及に努めています。 質問3:人口減少により食料自給率が高まるということは、人口減少で畜産物消費の減少⇒飼料用米の必要性減少となる可能性があるか? 回答3:現状のままで推移していくと仮定して20年後、30年後という長期的なスパンでみた場合、その可能性があるということです。しかし、長期的には今後の展開は全く不透明です。今後、周辺諸国(中国、韓国、台湾、香港など)の政治的な大変動で大量の移民が日本へ押し寄せてきて人口増加となる、あるいは日本が大規模な自然災害や大地震に見舞われ、経済的な打撃が大きく国力が急速に低下し人口減少の加速化が進む、逆に国策として人口増加への思い切った舵取りを行い人口増加へシフトしてくるなど変動要因は様々なものがあります。どういう未来になるかは、現在の我々の選択にかかっていると思います。 2019年11月6日 第4回 コメ政策と飼料用米に関する意見交換会 開催日時 2019年(令和元年)11月13日(水) 午後1時~ 会 場:食糧会館 中央区日本橋小伝馬町 15-15 会議室(5階 A/B 会議室) 収容人員70名 基調講演者および事務局を含めて、70名で開催しました。 会場のご案内地図 http://www.zenbeihan.com/overview/outline.html (詳細は HP から) 対 象: 関係官公庁(農林水産省、自治体など)、コメ生産者/流通業者、 畜産生産者/流通業者、農業団体、飼料製造/販売業者、物流業者、 消費者団体、研究・教育関係者、報道関係者 等 主 催:一般社団法人 日本飼料用米振興協会 参 加 費:無 料 10月3日午後、プレス情報をアップしました。 ご案内 2019年10月2日(水) 午後1時配布資料 PDF版 2019年10月2日(水) PDFの元原稿WORD版 |
| 農村と都市をむすぶ2024. 11【No.872】 目 次 【時評】日本型直接支払の次期対策 K Y ( 2) (別記) 特 集「農産物価格形成のあり方」 ◙特集農産物価格形成のあり方 安藤光義 ( 4) ◙適正な乳価・牛乳乳製品価格形成の模索 小田志保 ( 6) (別記) ◙米の価格形成をめぐる動向と展望 ◙「合理的な価格形成」と「価格形成の場」をめぐって 西川邦夫 (16) (別記) ◙卵価形成の実態と課題 信岡誠治 (29) 特 集 農産物価格形成のあり方 東京大学大学院農学生命科学研究科 教授 安藤光義 生産資材価格の高騰を小売価格に価格を転嫁することができないという問題は、中小企業はもちろん、農業経営に大きな影響を与えている。 この問題は、流通機構や取引形態の変化との関連を視野に入れた農産物の価格形成のあり方が問われているということである。 そこで本特集では、 「適正な入荷・牛乳乳製品価格形成の模索-EUの試みから-」(小田志保)、 「米の価格形成をめぐる動向と展望-合理的な価格形成と価格形成の場をめぐって-」(西川邦夫)、 「卵価形成の実態と課題」(信岡誠治) の三本の論稿を用意した。 各論稿でポイントとなると感じた点を以下に記してリードに代えることにしたいと思う。 誤読や誤解があった場合はどうかご容赦願う次第である。 「適正な乳価・牛乳乳製品価格形成の模索」では ⓵ 認定生産者組織(認定PO) による団体交渉の推進や市場の透明性の向上への取り組みが行われていること、 ⓶ 酪農協系統乳業メーカーの取扱量と認定POを通じた団体交渉対象数量をあわせるとEU集乳量の七割が生産者の組織化により乳価形成への意思反映が行われていること、 ⓷ 日本は集乳量の9割が従来の乳価交渉の枠組みの対象となっており、その高い組織率を保持したままの制度改革を目指すべきだとしていること、 ⓸ 牛乳乳製品市場観測サイトMMOは食料システムの各段階の情報の共有を促進している(消費者にも理解しやすくなるよう統計をグラフ化して提供している) ことの4点である。 「米の価格形成をめぐる動向と展望」では、 ⓵ 農林水産省の言うところの「合理的な価格形成」は生産調整を含めた農業生産構造ではなく、流通過程に焦点を当てたものであること、 ⓶ 適正な価格形成に関する協議会での議論では、価格転嫁の実現は消費者の購買力という生産者や流通業者に如何ともしがたい部分に委ねられてしまっていること、 ⓷ 「令和のコメ騒動」は、市場に出回る主食用米の約半分は収穫前に生産者と農協等の集荷業者の間で契約が済んでいるという市場構造の下、需要に対して供給が単に不足していたため引き起こされたのであり、生産調整による行き過ぎた作付転換にその要因が求められること、 ⓸ 生産調整による供給量の削減が作り出した需給ギャップが結果的に価格転嫁を実現したが、これが持続的なものとなるかどうかは、先物市場での取引価格の下落もあり、慎重に判断する必要があること の4点である。 「卵価形成の実態と課題」では、 ⓵ 鶏卵の荷受相場は、全生産量の15%程度の取扱いシェアの全農たまご(株)の担当部が全国のたまごの生産状況、売れ行きなどの需要動向の情報を収集し、需給バランスを勘案して決めていること、 ⓶ 鶏卵の流通構造は消費者が直接購入するパック卵での家計消費が五割、加工用と外食等の業務用での消費が5割で措抗していること、 ⓷ 大規模層への寡占化が進んでおり、5~10万羽の階層は相場価格に最も頼らざるを得ないのに対し、50万羽以上層は相場価格から脱して固定価格の割合が高くなっていること、 ⓸ 量販店やスーパーなど小売屈のパック卵の価格形成は固定価格が主流であるのに対し、加工用卵や外食等の業務用の鶏卵の価格形成は相場価格が主流であること、 ⓹ 加工メーカーは「鶏卵はリスク商材で安心して使えない」とみており、鶏卵の需給の逼迫と需要の回復を実現するには、ワクチンの活用を含め高病原性鳥インフルエンザの克服と加工卵の備蓄体制を構築していくことが急務であることの5点である。 農林水産省は10月24日、生産コストを考慮した農産物の価格形成に向け、米と野菜も仕組みの対象にできるかを検討する品目別の作業部会の設置を決めたとのことである(2024年10月25日付日本農業新聞)。適正な価格形成に関する協議会での今後の議論が注目される。 卵価形成の実態と課題 日本養鶏協会 エグゼクティブアドバイザー 信岡誠治【(一社)日本飼料用米振興協会 理事 正社員】 1. はじめに 鶏卵は我が国の畜産物(生乳、牛肉、豚肉、鶏卵、鶏肉)の中では、唯一国産の鶏卵で自給自足を達成している希有な畜産物である。海外からの輸入は粉卵を軸としたもので自給率96% (2023年度)を堅持し、卵価は国内の需給動向で変動しているとされている。 そこで、卵価の動きを伝える代表的な指標として使われている全農たまご(株) が発表している荷受相場の価格決定の方法とそれがどう使われているのかをみてみる。 次いで、鶏卵の流通構造と卵価形成の関係性、すなわち量販店やスーパーなど小売店のパック卵の価格形成の実態、加工用鶏卵の価格形成の実態、外食等の業務用の鶏卵の価格形成の実態についてみてみる。 さらに、量販店やスーパーなどの店頭で目玉商品として取り扱われ廉売のパック卵の流通と「固定価格」で売られている、ブランド卵の価格形成の実態についてみてみる。 とりわけ、一昨年の高病原性鳥インフルエンザの大発生によって、約1億4,000万羽飼われている採卵鶏のうち一、六五七万羽が殺処分され鶏卵生産量(約260万t)のうち11.8% ( 約30万t)がなくなり、絶対的なタマゴ不足(エッグショック) に見舞われ、卵価形成にも大きな影響を与えたが、そこで得られた課題についても触れてみよう。 2. 全農たまご(株) の卵価形成の方法と荷受相場の位置づけ 鶏卵の荷受相場は、全国農業協同組合連合会(全農)が100%出資の全農たまご(株)が営業日の朝9時に発表する荷受相場(卸売価格あるいは相場価格ともいう)がべースになっている。 全農たまご(株)以外の商系の各荷受会社や各地の荷受会社も日々鶏卵相場を発表しているが、全農たまご(株)の荷受相場をべースとして相場をホームぺージや新聞の商品欄に発表している。 発表する鶏卵の荷受相場の内容は6段階ある鶏卵の農林規格サイズ別(SS・S・M S・M – L・LL、40~76gの問で6g毎にサイズを設定)に一同当たりの価格である。 したがってサイズ別の需給バランスによって鶏卵価格は決定されており、サイズによって価格差がある。 全農たまご(株)のHPでは卵価形成については「たまごは、魚や野菜と違って季節や天候による生産量や品質の変化が少ないため、卸売市場における現物を見ながらのセリや相対取引で決まることはありません。 相場を発表する各荷受会社は日々の需要と供給のバランスをみながら相場を決定しています。 このような相場の決め方のことを、セリや相対取引によって形成される卸売相場に対して荷受相場といいます」としている。 具体的には全農たまご(株)の担当部が全国のたまごの生産状況、売れ行きなどの需要動向の情報収集し需給バランスを勘案して荷受相場を決めている。 ただし、全農たまご(株) の鶏卵の取扱シェアは全生産量の15%ほどである。 残りの85%がこの荷受相場で取引されているかどうかは不明である。 理由は、全農たまご(株)などの「荷受相場」に連動して取引しているものと、生産者と量販店などのバイヤーや実需者、加工業者との問での相対取引で「固定価格」を決めて取引しているもの、生産者の「直売」によるものの三つがあり、その割合が把握されていないためである。 価格も荷受相場は公表されているが相対取引の価格はトレードシークレットとして公表されていない。 ちなみに、最近では店頭ではほとんど見かけなくなった農林規格のMサイズ、L サイズ(レギュラー卵という)のパック卵の価格は、かつては「荷受相場」の変動に連動して価格は変わっていた。 しかし、昨今の店頭でみかけるパック卵はほとんどが特殊卵(ブランド卵)でかつ、MS IL Lサイズが混合のミックス卵になり、店頭価格はブランド別の「固定価格」が主流となっている。 すなわち、特殊卵(ブランド卵)の価格は荷受相場の変動に関わらず「固定価格」であることが多いのが実態である。 これまでの荷受相場の通常の変動パターンは年明け直後の初値は大きく下げ、花見、イースターや五月の連休など行楽シーズンに向けて上昇、その後は夏場のお盆に向けて低下、お盆明けは秋の月見シーズンに向けて上昇し、特に十二月はクリスマスケーキやおせち料理、年末市場休業等による前倒し需要などの影響で、需要も高まるため、相場も最高値となるというパターンであった。 しかし、2004年(平成16年)に79年ぶりに圏内で発生した高病原性鳥インフルエンザの影響で、年始に突発的な不足状況が発生し、荷受相場が高騰したのを皮切りに、その後は毎年のように高病原性鳥インフルエンザが発生し、その発生の多寡によって荷受相場は乱高下してきている。 全農たまご(株)の荷受相場を使う場面は、鶏卵生産者経営安定対策事業における鶏卵価格差補填事業での標準取引価格の算定基礎データとして、もう一つは成鶏更新・空舎延長事業の標準取引価格(日ごと)の算定基礎データとしての利用である。 具体的には東京と大阪のMとLサイズの荷受相場に入荷量を乗じて荷重平均したものを標準取引価格としている。これは政策的な卵価安定のための基礎データとしての利用である。 パック卵の価格は相対での取引によるものが多いので全農たまご(株)の荷受相場は指標価格として利用されていると思われる。相対での価格交渉は「固定価格」であるので、指標価格はあくまでも指標であり、参考価格としての位置づけである。 3. 鶏卵の流通構造は家計消費と業務用等が措抗 鶏卵の流通構造は販路からみると大きく五つの流通に分かれている。 一つ目は家計消費である。 量販店やスーパーなど小売店のパック卵(殻付卵でテーブルエッグという)での流通をしており生産量の約五割がこのルート.で消費されている。 二つ目は加工卵での消費である。 液卵メーカーにより液卵・凍結卵及びゆで卵・温泉卵などが製造され、食品メーカー及び外食産業へ流通しており、生産量の約二割がこのルートで消費されている。 三つ目は業務用での消費である。 飲食店や外食等へ殻付卵が10㎏入りのダンボールで流通しており、鶏卵生産量の約3割がこのルー卜で消費されている(図1)。 四つ目は鶏卵の輸入である。 輸入鶏卵は主に卵白、全卵、卵黄を乾燥したものを粉卵の形態で輸入しており、様々な食品加工に使用している。 主な輸入先はオランダ、イタリア、米国、インドなどで輸入量そのものは殻付卵換算で11万t前後である。 国内生産が不足したからといっても輸入量は増やせないのが現状で、近年はむしろ減少傾向にある。 輸入鶏卵の国内での鶏卵消費量に占める割合は4.6%である。食品加工への使用形態は粉卵であるので殻付卵との直接的な競合関係にはない。 2024年1~8月期の輸入鶏卵の価格は殻付換算で247/kgであったのに対し、同時期の全農たまご(株) の荷受相場は203円/kgであったので輸入鶏卵の方が国内相場よりも2割ほど高い。 五つ目は鶏卵輸出である。 鶏卵輸出は2023年には香港を中心に1万8,600 tを輸出、輸出単価は366円/kgと国内相場の306円/kgよりも2割強高い価格であった。 しかし、最近(2024年1~8月)は中国国内の経済状況の悪化などで310円/kgと15%ほど低下してきている。 鶏卵輸出量そのものは卵生産量に占める割合は2%弱であるので、鶏卵需給に大きな影響は及ぼしていない。 鶏卵の流通構造は、消費者が直接購入するパック卵での家計消費が5割、加工用と外食等の業務用での消費が5割という構造で措抗しているのが特徴である。 4. 鶏卵の価格形成の実態 そこで鶏卵の価格形成の実態を一般社団法人日本養鶏協会が実施した「鶏卵生産等のアンケート調査結果」(2024年3月) からみてみよう。 アンケート調査は鶏卵の取引方法について「固定価格」、「両方使用(固定価格と相場価格の両方)」、「相場価格」の3つに分けて回答を求め、「両方使用」については「固定価格」と「相場価格」での販売割合を尋ねたものである。 全回答戸数は286戸である。 内訳は「固定価格」が24戸(8.4%)、「両方使用」が164戸(57.3%)、「相場価格」が98戸(34.3%) であった(図2)。 その結果、「固定価格」と「両方使用」の戸数比率は66%と3分の2は「相場価格」とは違う直売あるいは相対での価格形成を行っている。 「両方使用」の「固定価格」と「相場価格」の取引割合を平均してみると「固定価格」が55%、「相場価格」が45%で「固定価格」での戸数割合がやや多い。 そこで焦点となるのは、鶏卵生産量全体に占めるそれぞれの取引方法の割合である。 農林水産省の畜産統計によると2024年2月1日現在の採卵鶏の飼養農家戸数は1,470戸、成鶏めす(6か月齢以上) の飼養羽数は1億2,968万9千羽である(表1参照)。 1955年(昭和30年) 当時は採卵鶏の飼養戸数は450万7,500戸、飼養羽数3,958万八千羽、産卵個数67億4,300万個、卵価・東京Mサイズ205/kgであったものが、2024年はわずか1,470戸、残ったのは3千分の1以下となり、飼養羽数は3倍以上に拡大してきている。 いかに激烈な生き残り競争が展開されてきたのかが伺い知れる。 卵価も前述したように2024年1~8月の東京Mサイズが203円/kgであったので、69年前の205円よりも低い価格である。 物価変動で何倍にも価格は上がっても不思議ではないにもかかわらず、今日も鶏卵は物価の優等生である。 最大の関心事は、羽数規模別の戸数シェアと羽数シェアである。 「5万羽未満層」は戸数シェア60.8%、羽数シェア9.6%である。 それに対して、「5万羽~10万羽未満層」は169戸で戸数シェア10.4%、羽数シェア9.2%、「10万羽~50万羽未満層」は264戸で戸数シェア16.3%、羽数シェア47.5%と中央部分を占めている。 「50万羽以上」は49戸で戸数シェアは3%に過ぎないが羽数シェアが33.5%となっている。 結論的には、「10万羽以上層」の313戸で羽数シェアが81%である。 大規模層への寡占化が一層進行している。 この階層区分で日本養鶏協会のアンケート調査結果を再集計してみると、次の通りである。(表2参照) 【5万羽未満】の小規模層の「固定価格」が18戸と多いのはネット取引や地元での直売での取引が他の大規模層に比べて多いことが反映されているものと思われるが、一番多いのは「双方使用」である。 【5~10万羽未満】層が最も多いのは「相場価格」で、これは相対での価格交渉力が弱いためである。 【10~50万羽未満】層では最も多いのが「双方使用」で相対での価格交渉にも力を入れているが、まだ成果が充分上がってなくて「固定価格」の比率は3割台に止まっている。 【50万羽以上】層は「双方使用」が最も多いが「固定価格」での価格設定の比率が6割台を超えており、価格交渉力が他の羽数規模層に比べて高いとみられる。 以上を小括すると、羽数規模によって取引方法は差異があり、「相場価格」に頼らざるを得ない階層は5~10万羽層である。 それに対し50万羽以上層は「相場価格」から脱して「固定価格」の比率が高くなっている。 総体としてはパック卵に関しては「固定価格」での流通が主流となってきており、加工用と業務用に関しては「相場価格」が主流となっているとみられる。 次いで、販路別の価格形成の実情を生産者、実需者、小売業者等にヒアリングしたが、その概要は次のとおりである。 1) 量販店やスーパーなど小売店のパック卵の価格形成は「固定価格」が主流 パック卵の価格形成は「固定価格」が主流で、鶏卵生産者が最も力を入れているのは、量販店やスーパーなど小売店への「固定価格」での販路確保である。 価格交渉はバイヤーとの相対での交渉である。 生産者のオリジナルブランド卵、スーパー等のプライベートブランド卵(PB 卵)など、それぞれに細かなスペック(納品条件や衛生条件など) と小売価格と納品価格および決済条件を交渉で決めて継続的取引契約を締結している(これを生産者は「商権」という)。 生産者とバイヤーとの力関係は圧倒的にバイヤーの方が強く、生産者の要求がそのまま通ることはない。 競合他社との価格競争もあるので、その価格との兼ね合いを見ながらの価格交渉となる。 バイヤーは上司から売上金額の増加というノルマが課せられているので、売上が伸びる商材の確保と商品棚の構成が最大の焦点である。 しかし、鶏卵は日配品で毎日、定時定量で納品されるのが大原則であるが、どうしても欠品が出たり、逆に売れ残りが出たり、賞味期限が迫ってくると値引きや引き取りという問題が出てくる。 消費者からのクレーム対応、ひび割れや破卵などの事故卵(ロス卵) の発生も見込んだ値決めとなるが、最大の課題は消費者の購入意欲を促す価格設定である。 これまでは1パック10個入りで200円台が値ごろ感で消費者の抵抗がない価格帯であたが、配合飼料価格の高止まりで値上げしないとコスト割れであるため1パック300 円台を小売の「固定価格」に設定するよう取引交渉している。 スーパー等で客寄せの目玉として卵がよく使われるが1パックが100円台、たまに100円以下のものもあるが、これはお店が出血サービスとして取り組んでいるものである。 スーパーの担当者は目玉商品として卵を使うと「販売量は一時的に伸びるが金額ベースでは伸びずに減る」としている。 その結果、店頭の鶏卵価格は、近年は高いものと安いものとの格差が拡大してきている。 1パック400円台のものがある一方、200円以下のものもあるという状態で2倍以上の価格差がある。 生産者がよく口にする一番の問題は、バイヤーからのキックパックの要求である。 なかなか表に出てこない商慣習であるが、他の商品でもよくある話である。 これは優越的地位の乱用ということで公正取引に抵触する問題であるが、水面下で横行している。 したがって、店頭で生産者が望むある程度高い「固定価格」で販売されていても実態は余りメリットがないという取引で価格形成が行われていることもある。 また、最近の動きで気になるには、パック卵の小売価格と荷受価格との格差が広がってきていることである。 従来、パック卵の小売マージンは他の食品に比べて低く20%台前半であったが、最近は30%台になっている。 従来、卵は一物一価でほぼ横並びの小売価格であったのが最近は卵の種類、価格、個数それぞれバラバラとなってきており、一言で分かるように説明することができづらくなっている。 卵の生産方法もケージ飼いから平飼いなどケージフリーが徐々に増加えつつあることに加え、卵殻色も赤、ピンク、白に加え青色(アローカナ鶏) の卵、栄養強化卵、機能性表示食品の卵、飼料米で育てた卵、サルモネラフリーの卵など多様化してきている。 小売店では、消費者の購買意欲が出る価格帯になるように個数を減らして店頭に置くなど販売作戦も多様化してきている。 鶏卵の価格形成の主戦場はテーブルエッグであることから、全農たまご(株)の荷受相場とは関係なく小売りのバイヤーと相談しながら相対で「固定価格」を設定するようになってきているのが実情である。 2) 加工用卵の価格形成は「相場価格」が主流 加工用(液卵・凍結卵など)の卵の流通は大手数社で寡占化されており、価格形成は「相場価格」での取引が主流である。 しかし、このビジネスモデルでは事業の永続性の観点からは齟齬が生じるので、ある加工メーカーは二割程度を「固定価格」での取引としているという。 この「固定価格」は生産者が再生産できる卵価をベースに卵の品質や特性の優位性、GPセンター(鶏卵の選別包装施設)のコスト、輸送や配送のコスト、マージンを積み上げた価格設定である。 相場価格によるスポット取引による原料卵調達が加工ビジネスの主体であるが、品質の向上と安定性を担保するには、生産段階から衛生管理がしっかりとしており安定的に生産してくれる生産者と連携することが重要であることから、割卵工場自体を大手生産者の農場のある地区に立地させることも行っている。 本来、鶏卵の需給調整の調整弁は加工卵で行うべきで、かつては株式会社全国液卵公社による加工卵の液卵などの買い上げ、売り渡しなどの事業があったが、現在は廃止され、民間に任せられている。 しかし、いざという時には絶対的な供給不足で食品企業の運営に支障をきたすことから、一定程度保管コストの財政支援ができないかという要望が出されている。 3) 外食等の業務用の鶏卵の価格形成は「相場価格」が主流 外食など飲食店での鶏卵は10kg入りのダンボール箱で流通しており、価格形成は大半が「相場価格」で全農たまご(株)の荷受相場が基本となっている。 こだわり卵で生産者との相対で「固定価格」での取引もあるが圧倒的に「相場価格」が取引の主流となっている。 ダンボールはサイズ別にSS~LLまで6段階に選別された卵が詰められ、主に卵の卸業者から配送されている。 お店の用途に応じて適したサイズの卵が配送されているが、割卵の手間などを省くことができる液卵のニーズが最近は増えてきている。 5. 鳥インフルエンザの大発生による卵不足と卵価形成の課題 2022年度シーズン(2022年10月~2023年5月) は高病原性鳥インフルエンザが大発生した。 卵価の高騰、卵不足と供給制限は「エッグショック」といわれ、マスコミでも大きく取り上げられた。 約1億4,000万羽飼われている採卵鶏のうち1,657万羽が殺処分され、鶏卵生産量(約260t)のうち11.8% (約30万t) がなくなり、絶対的なタマゴ不足が起こった。 これは卵価形成にも大きな影響を与えて、全農たまご(株) の荷受相場は東京Mサイズで2023年4月には350円/kgまで高騰し、同年6月まで高騰は続いた。 しかし、2023年下半期は、供給が回復傾向に向かう一方、需要の回復が遅れたことで、需給が緩み、卸売価格は概して下落し続け、2024年1月には180円/kgまで下落し、その後も低調に推移してきた。 2023年シーズン(2023年11月~2024年4月) の高病原性鳥インフルエンザの発生(79万羽殺処分) は供給に深刻な影響を及ぼさなかった。 外食の需要は2023年においては卵メニューの休止等が相次いだが、後半から卵メニューが戻り需要は回復してきている。 しかし、最大の課題は加工需要の回復の遅れである。 加工需要の消失ともいえる状況がなぜ生じたのか。 加工メーカーの立場から言えば「鶏卵はリスク商材で安心して使えない」からである。 いつ高病原性鳥インフルエンザが再発して卵不足が起こるかわからないのが現状であるため、安定供給の保証がないと使えないという。 打開策は、鶏卵を割卵して液卵あるいは凍結液卵として備蓄していくというのが最も現実的な方法である。 そこで、鶏卵の需給の安定を実現するには、高病原性鳥インフルエンザの克服と加工卵(凍結液卵など) の備蓄体制を構築していくことが急務となっている。 |



