第9回 飼料用米普及のためのシンポジウム2023 開催

開催案内 2023年7月21日(金) 11時開場 12:30開始

第9回(通算第16回)飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会
令和4度(2022年度)飼料用米多収日本一表彰式
~飼料用米普及のためのシンポジウム2023~


会場:東京大学・弥生講堂/一条ホール・ロビー
日時:2023年7月21日(金)
内容:・資料展示(ロビー)
   ・令和4年度 飼料用米多収日本一表彰式(ホール)
   ・第9回 飼料用米普及のためのシンポジウム2023(ホール)

    11時開場/11:00(展 示)~16:50
          12:30(開 会)~13:00
          13:00(表彰式)~13:45
          13:55(シンポ)~16:50

第9回 飼料用米普及のためのシンポジウム2023 が開催されました
「生産農家や秋川牧園、昭和鶏卵など事例発表」
鶏鳴新聞

  (一社)日本飼料用米振興協会(海老澤惠子理事長)は7月21日、東京都文京区の東京大学弥生講堂で『飼料用米普及のためのシンポジウム2023』を開いた。
 第1部は海老澤理事長と日本生協連の藤井喜継代表理事事業担当専務(代読)のあいさつに続き、農林水産省農産局穀物課の田口香織課長補佐が「飼料用米をめぐる情勢」について報告。
 続いて飼料用米多収日本一の表彰式に移り、同省の野中厚副大臣があいさつ。
 鶏肉・鶏卵企業の㈱秋川牧園(山口市)との耕畜連携に取り組む海地博志氏(同)に「日本飼料工業会会長賞」(地域の平均単収からの増収の部)が贈られた。
 海地氏の主な作付品種は北陸193号。作付面積は2・3㌶。10㌃当たりの単収は779㌔で、地域平均を240㌔上回る。
 当初はモミロマンを作付けていたが、2011年からは多収で耐倒伏性があるとして北陸193号に変更。同品種の収穫期の遅さを生かし、主食用米との作業分担やコンタミの防止につなげているという。
 収穫後は秋川牧園に販売し、同社から鶏ふんの無償供給を受けるとの循環型システムも高く評価されている。

 『農林水産大臣賞』は、単位収量の部が(農)長戸北部営農組合の木村透代表理事(茨城県龍ケ崎市・単収916㌔)、地域の平均単収からの増収の部が小久保栄一氏(埼玉県深谷市・単収843㌔〈地域平均よりも373㌔増収〉)。
 小久保氏も北陸193号と鶏ふんの施用で高収量を実現しているとのこと。

 第2部のシンポジウムでは6氏が事例発表。
 本紙(鶏鳴新聞)関係では、第1部の表彰式で受賞した海地氏が「多収を極める」、
 秋川牧園の村田洋取締役農場長が「超多収を目指して~0・3㌶の試験田(モミロマン)から170㌶(西海300号)までの15年~」、
 昭和鶏卵㈱の鈴木久之社長が「飼料用米を介して生産者と消費者をつなぐ鶏卵販売の取り組み」、
 生活クラブ連合会の萩原つなよ連合消費委員長が「食の安全を目指して思うこと」のテーマで話した。

 海地氏は、山口市周辺の耕畜連携は秋川牧園の並々ならぬ努力と熱意で成り立っているとし、同社による大型トラックの手配から新品種の開発まで、民間企業とは思えないほどのバックアップが農家を支えていると説明。
 飼料用米の生産メンバーらが毎年8月と9月に各圃場を視察して情報交換し、切磋琢磨していることも生産技術やモチベーションの向上につながっているとした。
 秋川牧園の村田取締役は15年目に入る飼料用米事業について、生産拡大のポイントは農家の収入だけでなく「前向きに楽しめるかどうか」にもあると説明。
 同社は産地から「飼料用米作りは面白い」と思ってもらえるようなコミュニケーションを図ってきたという。
 飼料原料に使うモミロマン、北陸193号、みなちから、夢あおば、オオナリにはそれぞれ長所と短所があり、国には飼料用米の品種改良への予算拡充や、国家事業としての改良強化を求めたいとした。
 また、日本の気候風土や農地(水田)の地質、生物多様性の維持、中山間地域の人口減少、鳥獣害に負けない飼料生産などを考えた際、日本は飼料用米の生産を強化していくしかないと強調。
 スライドと配布資料で同社の秋川實会長による寄稿文【要旨別掲】を紹介し「この文章にすべてが詰まっているため、ぜひ読んでみてほしい」と呼びかけた。

 昭和鶏卵の鈴木社長は、昭和産業グループの一員として飼料ユーザー(鶏卵生産者)から卵を仕入れ、洗卵・殺菌・選別・パッキングして関東エリアを中心に販売しているとの事業概要を紹介。
 国内では年間約2400万㌧の配合飼料が流通するが、このうち4割以上の約1000万㌧が輸入トウモロコシであるとした上で、鶏に国産飼料用米を給与する「こめたまご」事業については、飼料価格や飼料需給の安定化、国内農業の持続的発展への貢献のために取り組んでいると説明した。
 人気の高いブランド卵『和のしずく』については「飼料原料の国産化に特にこだわり、飼料用米や大豆、バレイショなどを使うことでカロリーベース自給率100%の卵とした。
 こちらが現在好評で、月間3万パックを販売している」と紹介。
 こめたまごシリーズの販売量は年々増え、2010年の213㌧から22年には4319㌧まで伸長。
 昭和産業㈱の飼料用米取扱数量も、08年の65㌧から22年には1万8890㌧まで伸びているとのデータを示した上で「今後も飼料用米の取り組みの価値を消費者の皆さまに発信しながら、こめたまごの販売を通じて飼料用米の需要拡大をさらに図っていきたい」などと述べた。

 各氏の講演後は、日本飼料用米振興協会の信岡誠治理事が司会を務める座談会へ。
 全講師が参加し、飼料用米の現状や今後などについて発言。同協会の加藤好一副理事長の閉会の辞で散会した。

秋川實会長 寄稿文概要
 今後も米余りが深刻となる中、日本の農地を守り、故郷を守るのは飼料用米なくしては、考えられない。
 飼料用米について、農家がそれを仕方なく作るのではなく、元気に楽しく、前向きに作れる環境が大事であり、そしてそれに真剣に取り組む農家が地域の担い手として讃えられる関係が大切である。
 飼料用米には、そのコスト面が求められるが、先にコストがよぎると、得てして粗放栽培となる懸念もあり、それではコストの貢献にはつながらない。
 米が余るから、仕方なく飼料用米を作るのではなく、前向きに取り組む環境づくりこそが大切である。
 そのためには飼料用米に取り組む農家が注目され、評価され、お互いに交流する中で切磋琢磨し、勇気づけられる関係が大切であろう。
 昔から米は地力で作るという。コストを落としていく要因の中で、なによりも収量の多いことが求められる。そのためには、飼料用米には多肥が求められるが、この面でこそ、耕畜連携・堆肥供給が果たすべき役割は大きい。
 堆肥が充分に田んぼに入れば、肥料代の節約だけでなく、何と言っても米作りの最大応援歌である〝田に地力が付くこと〟が何よりもうれしい。

配布資料 PDF版

配布資料 ワード版

第9回(通算16回目)飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会
令和4年度 飼料用米多収日本一表彰式
~飼料用米普及のためのシンポジウム2023~


プログラム(式次第:開催要領)

11:00 開場  (リモート設定等開始します)
12:00 会場開場
12:30 開会(15分間)
 開会あいさつ 一般社団法人日本飼料用米振興協会 理事長 海老澤 惠子

 連帯のご挨拶 日本生活協同組合連合会 代表理事事業担当専務 藤井 喜継(代読)
12:45~13:00(15分間)
 基調講演 「飼料用米をめぐる情勢について」
    農林水産省農産局 穀物課 課長補佐 田口 香織

          田口 香織 さん
13:00~13:45(45分間)
  令和4年度 飼料用米多収日本一表彰式
   共同開催:農林水産省・一般社団法人日本飼料用米振興協会
   協賛団体:JA全国農業協同組合中央会
        JA全国農業協同組合連合会
        協同組合日本飼料工業会
   協力団体:日本農業新聞

◆飼料用米多収日本一表彰事業および受賞者を紹介しています。

14:55~16:50(2時間55分間)
   飼料用米普及のためのシンポジウム2023
   主  催:一般社団法人日本飼料用米振興協会
   後  援:農林水産省

活動報告
13:55~14:25(30分間)
 活動報告 「多収を極める」
     ◆コメ生産農家          海地 博志 山口県
(地域の平均単収からの増収の部で、協同組合日本飼料工業会会長賞を受賞)
      「超多収を目指して~0.7haの実験田(モミロマン)から170ha
       (西海300号)までの15年~」
     ◆株式会社秋川牧園 取締役農場長 村田 洋

  海地 博志 さん       村田 洋 さん       信岡 誠治 さん

全国の農家の方々へ多収飼料用米の種子を普及し、飼料用米利用畜産物の普及をしています。また、稲作(食用、飼料用)の積極的な活用を訴えています。養鶏や飼料用米の籾米・種子を生産、普及、畜産製品の冷凍食品も普及しています。

14:25~14:40(15分間)
 活動報告 「飼料用米多収品種の取り組み」
     ◆株式会社山中農産 代表 山中 哲大 埼玉県
(単位収量の部で、農産局長賞を受賞しています)

           山中 哲大 さん

稲の育成や収穫を安定させるため、また畑の湿害回避・迅速な入排水ができる緩傾斜づくり・防除時の均一散布など圃場の管理に力を注いでいます。

14:40~14:55(15分間)
 活動報告 「飼料用米を介して、生産者と消費者を繋ぐ鶏卵販売の取り組み」
     ◆株式会社 昭和鶏卵 代表取締役 鈴木 久之

            鈴木 久之 さん

飼料用米給餌の鶏卵生産事業と肥料・飼料の高騰、鳥インフルエンザの流行などで波乱の鶏卵市場の最前線での活動について報告を頂きます。

14:55~15:20(25分間)
活動報告 「養豚事業に於ける飼料用米の利用について」
     ◆株式会社木村牧場 代表取締役 木村 洋文

            木村 洋文 さん

養豚事業における飼料用米利用のメリットについて統計実績比較に基づき報告します。

15:20~15:35(15分間)
 活動報告 「食の安全を目指して思うこと」
     ◆生活クラブ生活協同組合・神奈川 副理事長 萩原 つなよ

               萩原 つなよ さん

消費者の立場からの飼料用米普及活動や利用畜産品の購入から見えるもの

15:35~15:45 休憩(10分間)
15:45~16:40 (55分間)
 座談会を行いました。
 参加者は、以上の活動報告者全員が壇上に上がって、意見を述べました。
     ◆司会進行 信岡 誠治(協会・理事、元東京農業大学教授)

報告者全員による飼料用米の普及に様々な立場で携わってこられての意見交換

16:40~16:45(5分間) 
 閉会挨拶 加藤 好一 (協会・副理事長/生活クラブ事業連合顧問)

             副理事長 加藤 好一 さん

諸連絡 16:55~16:50(若狹 良治 理事・事務局長)

令和4年度「飼料用米多収日本一表彰」受賞者を選考する審査委員会を3月に行いました。

会場案内1
会場案内2
会場案内3