埼玉自然エネルギー協会 (https://annex.saine-2013.com/)
株式会社彩の国でんき(https://sainokunidenki.co.jp)

NPO埼玉自然エネルギー協会 第1回 総会で意見を述べる代表理事 吉村文則さん

記念講演会で講演をする松本慎一さん(埼玉農民連 副会長、埼玉県加須市 農家)
記念講演ビデオ(YouTube)
今、米高騰はなぜ起きたのか、日本農業の打開の道はあるのか!

令和の米騒動は続いている

稲作田んぼと太陽光発電設備
| 今、米高騰はなぜ起きたのか、 日本農業の打開の道はあるのか! 2025年5月7日 埼玉農民連 副会長 松本慎一 写真説明 (令和の米騒動は続いている) スーパーやコンビニ・米店では政府の備蓄米の放出、 入札が行われても 「ご家族1袋限り」 「好きな銘柄米がない」 「午前中はあるが午後にはなくなる」 などと、昨年夏の米不足に近い問題が起きています。 価格も上がり続けていて5キロで4,000円以上の米ばかりとなっています。 政府は昨年夏の米騒動以来消費者に対し 「米は不足していない。 お盆で車が動「かないため」 「南海トラフ地震情報で米を余計に買ったから」 「インバウンドで外国人が食べた分不足した」 「新米が出回れば価格は下がる」などと言い方を変え、それでも価格が下がらないため 「農家が売り惜しみをしている。業者が買い占めている。」などと次々と言い訳を変えました。 そのため消費者はこういうクルクル変わる言い訳と店頭でのコメ価格高騰を見て一層不安になり、買い増しをしたというのが実情では。 米不足の本当の原因と実態はどうでしょうか? 2024年6月末の1年間の主食用米の需要量は705 万トンでした。 これに対し23年の収穫量は 661万トンと44万トンも不足。 しかも足りないお米を昨年9月10月には早食い (消費者の買い増し)しました。 この量も1か月分近くあったのではという米屋さんの声もあります。 また政府は今年、米の生産量が 「18万トン増えた」と発表しましたが集まった米は23万トン少ない・・と嘆いていました。 これらの数字を合わせると、どう見ても50万トン以上足りないのでは・・類推・・結果備蓄米を放出しても価格は高止まりしたまま。 一番の原因は米が全体として足りていないこと。 今後の見通しはどうなるのか、 今年度2025年産の作付けが大幅に増え天候にも恵まれ大豊作になれば今年秋以降価格は安定するかもしれません。 しかし気象庁によると今年も猛暑の傾向とのこと、 高温はイネカメムシの大発生につながます。 今年もそこが心配。 もう一つ心配なのは備蓄米が底つくということです。 問題解決のためには、これまでの政府の米政策 「20数年来の米の減反、減産政策」、「2021、2022 年の米の労質1時間10円を市場原理の名のもとに容認」「20年間で米農家を174万戸から53万戸の三分の1に激減させた」などの失政を認めコメ政策の抜本的転換を行うことです。 具体的には、 ① 米生産農家をこれ以上減らさないこと。 ② 減反減産政策を改め大規模農家だけではなく米の生産の半分以上を生産している兼業農家・家族経営農家を支援すること。 ③ コメ価格から比べ割高な農業機械や肥料農薬などへの助成を行い、農家が安心して米を作るようにすることです。 この政策を遂行しない限りその場しのぎとなり米不足・価格高騰を止めることはできません。 本質を避けての議論は問題の解決にはなりません。 一部マスコミも大規模農業を追いかけ国の言い訳を中心にした後追い報道は消費者に混乱をもたらすだけ。 世界の主な国の食料自給率と備蓄 アメリカ 121% カナダ 233% フランス 131% 北朝鮮 77% スイス 64% 韓国 44% イギリス 70% 日本 38% 中国 75%【コメの備蓄約6か月分の1億2000万トン】 打開の道は。 75% コメの備蓄約6ヵ月分の1億2000万トンを持つ。 ① 政府が米の生産と供給に責任を負うこと。 1年分700万トンを目標に備蓄を増やすこと。 (今の現状では備蓄することが難しいが) ② 欧米のように農家に生産費を直接保障し農家の所得を補償をすること ③ そのため半分に減らした農水予算を2倍の5兆円以上に増やすこと。 ④ 昨年の改正農業基本法と先日閣議決定された農業基本計画を抜本的に見直し、ごまかしの食料自給率目標ではなく世界の常識でもある 100%を目指すこと。(農業を国の基幹産業に位置図けること) (埼玉農業に展望はあるのか、 東京農業とも関連して)かつて埼玉県が畑革新県政だったころの埼玉農業は農家数11万5千戶、 農業粗生産額2759億円、 農林予算は県予算の5%の448億円でした。 現在は農家数は46000戸、 農業粗生産額は1545億円、 農林予算は県予算の1%230億円と大きく後退しています。 後退した1番の原因は政府の農産物自由化方針と国内農業軽視政策(アメリカと財界言いなり)にあります。 当時も今も自民党政府ですが当時の畑県政は政府ができないこと、場合によっては真逆の問題でも堂々と主張し農民に寄り添いました。 農地の買い占めがあれば「買い占め農地買戻し事業」を全国に先駆けて実現。 台風や降雹で農作物被害が出れば農家に掛金なしの 「農業災害特別救済条例」 で次期作支援を行い、学校給食パンに発がん性がある外国産小麦粉が使用されていると指摘されれば2000年に「全国で初めて学校給食パンに国内産小麦、埼玉産小麦を使用したパンを、県下全ての小中学校の給食に提供する。」など埼玉県独自の制度を作り農家を守り、 励ましました。 畑県政の後でも土屋県政の初期でしたがネギ・畳表・椎茸の輸入激増で価格が暴落し自殺者も出ました。 そのとき知事は直に農民の声を聴き農林部に実情を調査させ、日本で初めてWTOでも認められた権利を行使し 「セーフガード」を適用させネギやシイタケ生産を守る大きな役割を果たしました。 それらと比べると今の県農林行政はその姿勢を厳しく問われています。 この数年の生産者米価暴落や高温障害による減収対策は不十分であり、イネカメムシ被害の救済対策は「イネカメムシ広域防除緊急対策事業」としてわずか 1488万円のみ。そのためカメムシ対策では自民党県議団からも厳しい申し入れが知事に出されました。 現場の職員は一生けん命働いているが。 (埼玉農業再建のためには) ①農林予算の2倍化。(自民党も言い出す、 使い道はおかしいが兆円規模?) ② これ以上農家を減らさない対策に全力を上げる。 (後継者対策など) ③ 過半数を占める中小家族農家への特別な支援制度の確立。(機械、施設) ④ 高い水準を維持している県試験研究機関の予算を大幅に増す。 ⑤ 農業プラス X としてソーラーシェアリングなどの取り組みへの支援・・ 農業・食料は国民にとって「国防だ」の声を国民合意にしていくことが大きな課題です。 国民、消費者の安全保障は農業・食料をまもる事。 そこに5兆円程度の予算を投入することは当然、 反対する人はいない。 |
東京新聞 こちら特報部(2025.5.22)に松本慎一さんが・・・・


| 東京新聞 2025年5月22日 【こちら特報部】 嘆きの農家、 揺らぐ農政 コメ不足 「早く田植え」「1坪でも多く」作付面積拡大しても高温の懸念 コメの販売価格が下がらない中、関東では各地で田植えが進む。 全国で今年の作付面積は増加する見込みだが、今年も夏の高温や害虫による被害が予想される。 政府は効果的な対策を打てず。江藤農相は失調で更迭された。迷走はいつまで続くのか、田植えを行う農家からは先行きへの不安の声が聞かれた。 (山田雄之、太田理英子) 「田植えはゴールデンウィーク前にほとんどしちゃったよ。 コメ不足だから、なるべく早く収穫できるようにと思ってね。 酒米用を植えたら今年は終わりだ」 「こちら特報部」は5月20日、 埼玉県加須市の農家で同県農民連合会副会長の松本慎一さん (75) が作業する田んぼを訪ねた。 利根川沿いの計約180アールで主にコシヒカリを育てている。 農林水産省によると、2025年産の主食用米の作付面積は、1月末時点の意向調査で前年より2.3万ヘクタール増の128.2万ヘクタール。 長年、国の減反政策に応じ、作付面積を減らしてきた松本さんも今年は30アール増やした。 コメので、直売の消費者たちから「1坪でも多く生産してほしい」と頼まれたことが大きかった。 2年前に農家をやめた近隣住民から遊休地を借り受け、復活させた。 「『おいしい』と消費者に食べてもらうのが農家のやりがい 金もうけじゃない。 手を出せない価格になってるのは心苦しい」 農水省が19日に公表した。今月5月5~11日に全国のスーパーで販売されたコメ5キロ当たりの平均価格は4,268円 政府の備蓄米の出効果は乏しく、18週ぶりに下がった前より54円上がり、過去最高値を更新した。 前年同時期の2倍の水準の推移が続く。 だが松本さんは「農家に利益はもたらされていない。ほとんどの農家が手元にコメが残っていないんだから」と話す。 自身は昨秋までに5キロ2千円台半ばで売り切り、自宅の保管庫に残るのは、30キロ入りのコメ袋がわずか二つと少し。 例年はこの時期に6袋ほどあり、新米ができる秋まで妻と食べるが、今年は親類や顧客に頼まれて譲り分けた。 この量では足りない。うちも仲間に頼むことになるかな」とため息をつく。 今秋に収穫されるコメを確保するための動きも進む。 新潟県や富山県などでは全国農業協同組合連合会(JA全農)が農家に提示する買い取り価格(概算金)昨年よりも大幅に引き上げたことが報じられた。 関係者によると、埼玉県でもコシヒカリを2万3千円を目安に引き上げる方針が各地のJAに伝えられたという。 松本さんは「一般業者が農家を回って高値で取引しようとする動きもあり、強い危機感を抱いているのだろう」と受け止める。 「今までは安くて『もうやっていけない』」と悲鳴が上がっていた。この値段を維持してもらえたら、多くが今後も農家を続けられる見通しが立つだろう」 もっとも今年は気がかりがある。 気象庁が発表した6~8月の3カ月予報では、全国的に暑さの厳しい夏となると予想される。 危ぶまれるのが、高温を好むカメムシの大量発生で、もみが実らなくなるなどの被害だ。 一昨年から被害に遭う松本さんは「田植えを早め、カメムシ被害が拡大する時期から豊期をずらした。地域で散布をして、防除に取り組む。生産量を落としたくない」と話す。 大臣更迭、備蓄米入札に自民からも批判 「国がもうけてどうする」 利権優先のトライアングル 「表面的でない農家へ直接支援を」 政府は4月、今後5年間の農業政策を示す「食料・農業・農村基本計画」を決定し、2030年のコメの輸出量を24年に迫る35万トンに大する目標を打ち出した。 だが、全体の生産目標は791万トンから818万トンと3%の増産にとどめている。 松本さんは「生産量を長らく抑えさせてきたため、コメ不足につながったのではないか。農業の集約化や大規模ばかりをうたうが、食を支えている大半は中小農家だ。生産力を高めたければ、中小農家への補償にも目を向けなければならない」と訴える。 一方、米トランプ政権の関税措置を送る日米交渉で米国産のコメの輸入拡大も取り沙汰される。 松本さんはこう危機感を募らせる。 「受け入れれば、国内の生産量は抑えられてしまう」 生産者と消費者の不安や混乱が続く中、5月21日、農相のコメは買ったことがない。家に売るほどある」との発言を更迭される事態に。 肝心の政策も効果が見えない。 農水省によると、小売店などへの政府備蓄米流通量は、4月末時点で放出量の割にとどまる。 コメの流通改善が見られない現状を踏まえ、政府は、7月まで毎月10万トンの米を放出し、入札では小売業者への流通を加速させるための優先枠を設定。 備蓄米の買い戻し期限の延長などの対応を決めた。 流通の遅れについて、宇都宮大の松平尚也助教(農業政策)は「卸売りの段階で精米や袋詰めに時間がかかっている。コメの消費が減る中で、農家と卸業者の生産流通基盤の弱体化が背景にあり、政府側の見通しが甘かった」と指摘する。 優先枠は効果が出る可能性があるとするが、「流通の円滑化から物価高対策へと備蓄米放出の政策目的が変化してきた。選挙前の支持率浮上の柱だろう。 備蓄米放出が値下げにつながらない要因として、入札制度自体を問題視する声もある。 農水省によると、4月末までに実施した3回の入札での落札価格は、60キロで約2万2千円。 だが政府が21~23年産を買い入れた際の価格は1万1千~1万2千円台と1万円近い差がある。 自民党の小野寺五典政調会長も備蓄米倉庫の視察時に「国がもうけてどうするんだ」と批判した。 農水省の担当者は「法律に基づく対応」と弁明する。 財政法などで、国の財産の市場動向を踏まえた「適正な対価」で譲渡することを定めているため、買い取り時との差が生じてしまうという。 石破茂首相が任に起用した小泉進次郎氏は21日、米放出の入札をいったん止し、随意契約の検討を表明した。 流通経済研究所の折笠主席研究員は「市場に早く流通させることが目的なら、 随意契約の方が行政手続きの時間を短縮できるが、公平性の担保の問題がある」と指摘。 一般入札を続けるなら「売り渡し時の利益を流通円滑化や価格抑制の施策に回すことができる」と提案する。 揺らぐ農政。どう進めるべきか。 「食料の安全保障は国民のためなのに。農政が利権を優先し、国民への視点を欠いてきたことが顕在化した」と断じるのは、元農水官僚でキャノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹。 コメを巡る一連の問題の背景に、票や予算獲得のため相互依存してきた自民党農林族、 農水省、JAの「農政トライアングル」があると指摘する。 先の松平さんは「備蓄米が流通しても、以前のような価格には戻らないだろう」と予測。 「生産費も上がり、農家が減少し続けている。表面的な改革ではなく、農家への直接支援など生産基盤全体を支える本的政策が必要だ」と求める。 デスクメモ 備蓄米制度への違和感がぬぐえない。価格が高騰するコメに対し、もっとも高い金額を入札した業者が落札する仕組みだ。その結果、安く備蓄米を買い入れていた政府がもうけ、消費者には届かず、価格は高いまま。「コメを買ったことがない」大臣では見通せなかったのだろうか。(祐)2025 5.22 |