法人化以前の飼料用米普及の取組みの歴史を振り返ってみました。
主要な取組みである「飼料用米に関するシンポジウム」の開催は、その時々の状況に合わせて、名称や開催形式(主催・共催・協力)を選択してきました。
目次
2007年の取組み(活動紹介)
2008年の取組み(活動紹介)
2009年の取組み(活動紹介)
2010年の取組み(活動紹介)
2011年の取組み(活動紹介)
2012年の取組み(活動紹介)
2013年の取組み(活動紹介)
2014年の取組み(活動紹介)
現在の一般社団法人日本飼料用米振興協会、その前身である任意団体の超多収穫米普及連絡会。
その更に私たちの発足した出発の2008年学習会(2008年7月26日)「畜産大パニック阻止学習会」を受けて、発足した実行委員会が呼びかけた「飼料用米」に関する初めてのシンポジウムです。
初心を忘れず、掲げた課題が今日どのように推移し、どう進展していくのかともに見守り、発展させましょう。
第1回超多収飼料シンポジウムでのビデオ映像(ユーチューブ)とテキスト(PDF)をアップしました。
YouTube 20081128 シンポジウム前半(挨拶、講演:信岡誠治先生)
YouTube 20081128 シンポジウム後半(パネルディスカッション)
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2008年7月26日(土) 午後1時30分~4時30分
畜産・大パニック阻止学習会
会場:新宿家庭クラブ会館 渋谷区代々木3-20-6 TEL 03-3370-6322
主催:畜産・大パニック阻止学習会実行委員会(準備会)
消費者と生産者の有志 20名による呼びかけで開催された。
消 費 者:
浅井和雄、井口信治、伊藤和夫、上原公子、榎谷雅文、海老澤惠子、 甲斐真澄、金子美登、清水鳩子、辰濃和男、中塚敏春、蓮尾隆子、土方彰子、平田迪子、松村敏子、若狹良治
生産者団体:
青森ときわ村養鶏農業協同組合 専務理事 石澤直士
畜産農民全国協議会 会長 森島倫生
千葉県長生地域畜産振興協議会 会長 中村種良
畜産・大パニック阻止学習会開催報告20080726ダウンロード
畜産・大パニック阻止学習会開催報告20080726ダウンロード
| 畜産大パニック阻止学習会の報告 2008年7月26日 食の安全や環境保全に熱心な19氏が中心になって呼びかけた標記学習会が2008年7月26日に東京都内で開催されました。 学習会は若狭良治コープ低公害車開発元代表取締役の司会、進行で開始され、冒頭、前国立市長の上原公子さんが「この学習会は飼料の度重なる記録的な暴騰により廃業が続出している畜産・酪農生産者の苦悩を正確に理解し、事態の正しい解決に向け、生・消が協同できる行動を追求する為に開催する。」と挨拶されました。 先ず全国養鶏生産者会議の石澤会長から「『鶏卵は物価の優等生はもう終わりにして』とのキャンペーンを有楽町で実施し、消費者に理解を呼びかけた。大手の養鶏商社からも同感との声が上がっている。青森県でも今年度、飼料米を200ha作付している。多収性飼料米の増産を大いに期待するが、今後は減反水田での作付面積をめぐって米粉との戦いが予想される」などの報告がされました。 次いで畜産農民全国協議会の森島会長から「既に投資した農家は止めたくても止められない。自殺者が出ている。養豚では生産頭数を増やすにも借金がかさむ、このような学習会は次に繋がる。」との報告がされました。 酪農生産者では、千葉県長生地域畜産振興協議会の中村会長から「1986年のプラザ合意以後、自給飼料主体の酪農は採算割れする事態となった。生産者乳価が若干上がったが、小売店によっては成分無調整牛乳が不足し、加工乳のみ陳列されているところも出てきている。この現状を放置しておくと大パニックになる。」との報告がされました。 日本鶏卵生産者協会の菊地常務からは「飼料価格は、昨年の3万/tが5.5万/tに上昇し、シカゴ先物相場の動きからしてこの10月に一層上昇する。上昇分を全額補填するとほぼ4,000億円の財源が必要となる。飼料米は2年前から稲作農家と連携して国内生産を追求してきた。今年の作付は全国で1600haに達し、耕畜連携による循環型地域農業の推進に貢献してきている。」との報告がされました。 生産者団体からの報告を受け、全国消費者団体連絡会の蓮尾隆子運営委員は、「消費者は、生産者の実情を理解すると行動する。生消が協同して畜産大パニックを未然に防ぐ運動を盛り上げたい。かつて第二次石油危機時での飼料代大暴騰時に生産者の価格引き下げ運動を消費者が支援した経験がある。今は国産を消費者が強く選択する時代、生産者がSOSを発信すれば、消費者は黙ってはいない、行動する。」旨報告しました。 東京農業大学畜産マネジメント研究室の信岡誠治先生が「超多収性飼料米こそ畜産大パニック阻止の切り札」と題して講演しました。 「超多収性米の代表品種”籾ロマン”は昨年、慣行栽培で10a収1,016kgを達成した。今年は鶏糞発酵堆肥を10a当4t投入し、殺虫・殺菌農薬不使用、除草剤1回散布だけで収量増を追求している。4年前から飼料米の超多収品種の本格研究を開始し、農水省に協力を要請したが門前払いされた。その姿勢は今も同じで飼料米の種子の増殖にも関与していない。タイ米の品種「タカナリ」は蛋白含量10%で10a収1,275kg(籾)、玄米でも1,023kgを達成している。稲の実が1t獲れると稲藁も1t獲れるので、合わせて10a収2tとなり、飼料自給率向上への大きな貢献となる。現下の飼料高では両方で 10a当10万を超える収入となる。*超多収品種の特性を確実に引き出す施肥のポイントは窒素分10a当28kg投入にあり、発酵堆肥の10a当3t以上の投入が最も好ましい。超多収飼料米栽培を普及していく上でこの施肥の基本が主食米の生産者には受け入れられないのが問題である。主食米の生産者は食味優先の栽培慣習を簡単には捨てきれないので超多収飼料米のローコスト肥培管理技術を稲作生産者に正確に理解して頂く努力が超多収飼料米を普及して行く上で重要となる。」 次いで「穀物先物市場への投機禁止は可能だ!」のテーマで今宮謙二先生が講演されました。 「世界の三重苦―景気後退・金融混乱・物価高騰―をもたらした犯人は投機マネーだ。 投機マネーが世界を大混乱させた出来事は3回ある。1回目が1929年の世界大恐慌、2回目は1974~75年にかけてのスタグフレーション(G7サミット第1回が’75年に開催された)、今回が3回目で巨額なリスクに対応できない市場原理至上主義の矛盾を露呈した。サブプライム危機がそのあらわれで企業破綻・金融の弱体化・市場混乱・モラル低下をもたらした。 その背景には世界的低金利による過剰マネーと多様な金融商品の存在があり、”金融危機でも投機マネーが縮小せず”と言う新しい特徴が出現した。その結果投機マネーが金融市場から商品市場へ進出して、USコーンの価格が実需ベース価格のほぼ2倍になっている(‘08通商白書)といった事態が頻繁に起こっている。 投機マネーを規制する実効策は投機助長の融資規制、投機利益の課税、市場の透明化、タックスヘイブン規制、トービン税、穀物・原油などの金融商品化規制、為替管理強化を国際協力で実施すれば効果が現出する。 借金依存で儲け追求むき出しの市場参入という投機資金の決定的もろさと社会不安の激化が世界中で投機マネー反対の市民世論を高揚させている。 そのうねりが投機規制を実施させる最大の根拠となる。 1932年の大恐慌直後に国民の怒りを引き出して政府に”ニューディール政策”を採用させた米国ペコラ委員会の教訓を活かし、既に仏、独の政府が動き出し、ベルギーでは投機規正法が可決され、英国も傾いていてEU全体に波及しつつある。 日本でも、畜産大パニック阻止の呼びかけ文のように生産者と消費者が一体となって投機規制を要求する国民運動が政府を動かす原動力となる。」 と言う趣旨のご講演で私たちの運動に大きな確信を与えてくれました。 全体討論では市場原理至上主義の矛盾を制御するルールを確立する事が食糧への投機を禁止する基本である事を今宮先生が指摘されました。 又、下山保首都圏コープ事業連合初代理事長は飼料米の生産拡大中心に取り組めば生協や消費者団体からの支持は広がるが生消協同で農水交渉を実施するなら要請事項の整理が必要となる旨指摘されました。 さらに清水鳩子主婦連合会参与は食糧自給率向上は大部分の消費者が賛同するテーマで、その立場に立った生産者の実力行使を消費者は応援する。畜産・大パニック阻止に向け、消費者団体に向けた切り札を鮮明にした資料など情報提供が必要となる。 上原公子さんは畜産パニックになった原因を正確に分析すると飼料自給率向上の緊急性に行き着く。米国の食糧政策への依存度を早急に低下させる政策転換が不可欠となる。そのために飼料米生産拡大への正当な予算措置を要求し、消費者が支持できるデーターの積み上げを急ぐ必要がある旨結論的な発言をされました。 同時に蓮尾隆子さんも農水省から飼料米政策を正確に聞き出すべきとの発言で時間超過となり、総合司会の若狭良治さんが閉会を宣言して終了しました。(文書作成 遠藤和生) |
基調講演.pdf
中央大学名誉教授 今宮健二 氏講演概要