農村と都市を結ぶ 記事紹介

2025年1月13日

農村と都市をむすぶ 2026年 1月号(885)
年頭所感 谷口信和
特集   令和の米騒動と水田政策の転換
     安藤光義 西川邦夫 友田滋夫 秋山満 神山安雄

農村と都市をむすぶ 2025年10月号(No.882)
特集 国産飼料の現状、課題、展望

小林信一・谷口信和・李 倫(人偏抜き)美・神山安雄・遠野雅徳

今こそ「多様な用途の米」増産に切り替えるチャンス―飼料用米の意義と課題 谷口信和

農村と都市をむすぶ 2025年9月号(No.881)
特集 「令和6年度 食料・農業・農村白書をめぐって」

【時評】 困窮する国民生活―米価高騰―

農村と都市をむすぶ2025. 7

 【時評】 困窮する国民生活―米価高騰―

米の価格上昇が続いている。
筆者の住んでいる地域のスーパーマーケットやドラッグストアでは、消費税を含めると5kg四千円台後半の値段、がついている。
備蓄米は店頭からなくなり、カリフォルニアローズも並ぶようになったが、今は売り切れてなくなってしまった。
この時評が掲載されるのは7月号なので、その時にはどのような状況になっているか分からないが、2025年5月18日現在の所感を記録して残しておく。
なお、この日はNHKの日曜討論で米の問題が論じられていた。
 
エンゲル係数の上昇と食料支出の減少)
国民生日の閑窮をぶすのがエンゲル係数の上昇である。
2000年度以降の消費支出に占める食料支出の割合の推移を見ると一目瞭然である。
2013年度以降、目に見える形で上昇傾向に転じ、コロナ禍の2020年度に急上昇する。
その後一旦、低下したが、2023年度には28%を超え、2024年度には28.3%と41年振りの高水準となった。
既に報道等でご存知の通りだと思うが、所得が最も低い第I階級(平均年間収入217万円)では33.8%にのぼり、消費支出の実に3分の1以上が食料支出となっている。
困窮している低所得者層の暮らしは一層厳しい状況に追い込まれている。
エンゲル係数上昇の要因は、物価の上昇に賃金の上昇が追い付いていないこと、食料品の価格が上昇していることが大きい。
2024年の2人以上の世帯の消費支出を見ると、消費支出は2.1%、食料支出は3.9%と名目は増加しているが、実質は減少し、前者は2年連続、後者の食料支出は5年連続の実質減少である。
価格上昇により支出金額は増えているが、実質的な消費は減少している。
これは文字通り「食えない」状況が広がっていることを意味する。
特に米価の高騰は低所得者層の性格に打撃を与えていることは間違いない。
 
(私たちはどう凌いでいるのか)
『私のまいにち』という小冊子がある。
6月号に丸山晴美氏による「米価高騰時のやりくりテクニック」が掲載されているので紹介したい。
「では、1杯約52円(精米五㎏4千円で計算?引用者?) の国産米は割高なのでしょうか?食パンやパスタと比較して考えてみましょう。食パンはここ数年、何度も値上げを繰り返していますが、1斤あたり約200円で、6枚切り一枚当たり約33円、8枚切り1枚当たり約25円となります。乾麺のパスタは、ブランドなどによって価格差がありますが、業務スーパーのパスタは500gで約120円、1人前の乾麺量を100gとすると約24円です。輸入小麦の価格上昇や円安などの影響で値上がりしても、食パンやパスタの方が安いことがわかります」(15頁)。
丸山氏は業務スーパーの一㎏約200円の強力粉を使ってパンやピザや肉まんなどを手作りしているとのことである。
丸麦や押し麦を米に加えたり、かやくご飯にする、オートミールやシリアル、うどん、蕎麦、中華麺などを米の代わりに主食として使うことも提案している。
米価高騰によって私たちは生活防衛のため米の消費を減らさざるを得ないのである。
 
(外食、中食も麺類への転換か)
5月17日の毎日新聞の経済面では「求む『安くておいしい』」「長引く物価高強まる節約志向」という特集が組まれている。
そこでは北九州発祥のうどんチェーン「資さんうどん」が紹介されている。
「リクルートが3月に実施した調査によると働く人の平日の外食ランチ代は平均が1,250円だが、資さんの平均客単価は800~900円と割安感がある」。
また、「コメの価格高騰が目立つ中、うどんは手ごろな価格のままだ。総務省が発表した3月の消費者物価指数は、1年前に比べてコメ類が9割上昇した一方で、うどんやパスタなどを含む麺類は下落した。(中略)こうした動きに敏感に反応しているのが、総菜や弁当などを買って食べる中食だ」とし、シージーシージャパン(CGC)は弁当の主食を安価な麺類に置き換える提案を行ったことを紹介している。

(今回の米価高騰の帰結)
米価高騰が長引けば、こうした米離れの動きに拍車がかかり、将来的に圏内市場が縮小しかねない。懸念されるのは輸入米の増加である。先の丸山氏は「カルローズ米はコストコや業務用スーパーなどで売られており、2月に店頭で見かけたときは、5㎏入りで、カルローズ米は3,219円(税込み)、国産米は4,000円前後と2割程度安く売られていました」と記している。
日本生協連の組合員アンケート調査(3月11~18日実施)では国産重視が確認されているが(日本農業新聞5月13日付掲載)、背に腹は代えられない低所得者層を中心に輸入米が浸透し、定着してしまう可能性は否定できない。
食管制度復活の声があってもおかしくないように思うが、そうした話はまだ聞こえてこない。(M2号)
日本農業新聞 2025年5月13日
米のこだわり希薄に 産地より国産重視
日本生協連アンケート


 日本生活協同組合連合会(日本生協連)は、消費者の米の購入動向に関する緊急アンケート(3月11~18日実施)の結果を発表した。
 昨年10月の前回調査に比べて、米の購入時に重視する項目で、産地や銘柄、食味の割合が減った。米価上昇で米に対する消費者のこだわりが薄れたとみられる。
 「国産を重視する」は8割を占めた。
 日本生協連の組合員を対象にしたウェブアンケートで、20~70代以上の6342人から回答があった。
 アンケートは例年、秋に実施しているが、今回は米価上昇に伴う政府備蓄米の放出や外国産米の輸入活発化といった異例事態の多発を受け、春に緊急調査した。
 米を買う時に重視することでは、今回新設した選択肢の「国産」が78%で最多だった。
 前回調査で最も多かった「銘柄」が前回比8ポイント減の41%、「産地」が同10ポイント減の34%、「味の好み」が同12ポイント減の27%と大きく減少し、消費者の米に対するこだわりが薄くなってきている。
 米を食べる頻度では、減った(17%)が増えた(2%)を上回った。米価の上昇が背景にある。
 ただ、8割は変わらないと回答しており、「米が好き」「他の食品も米同様に値上がりしている」などが理由に挙がった。
 米の代わりに食べる頻度が増えたものでは、パンが多く、麺、うどんなどの小麦製品の回答が一定にみられた。(鈴木雄太)

2025年 お米についての緊急アンケート調査 日本生協連

2025年05月08日
2025年 お米についての緊急アンケート調査


お米を買うときに重視することは「国産米である(77.8%)」が最も多く
次いで「銘柄(40.5%)」、「量(2kg、5kgなど)」という結果に
~価格の上昇が続く中、お米を食べる頻度については
「変わらない(80.0%)」結果に~
 日本生協連は、昨年に続いて「お米についてのアンケート調査」の結果を取りまとめましたのでご報告いたします。令和6年産米は引き続き、不明瞭な販売・流通等に起因するとされる需給混乱の様相を呈しており、仕入価格・販売価格の高騰が続いています。2025年1月には政府備蓄米の市場放出が決定され、3月には実際に市場流通が開始しました。その一方、価格の高騰は止まらず、商社等においては外国産米の輸入が活発化するなど、米の需給を巡っては、この春にも大きな変化が起きています。日本生協連では、直近の需給混乱を念頭に置いて、主食であるお米の利用実態を把握し、生産者と産地の取り組みに役立てることを目的に、2021年より調査を開始しています。今回は価格上昇などの背景から、全国の組合員を対象に、緊急でWEBアンケートを実施しました。
(調査期間:2025年3月11日~3月18日、有効回答数:6,342件)
調査結果の主なトピック
■1日に1回以上お米を食べている人は全体の95.2%。引き続き高い水準を維持するも、やや減少傾向。
 各家庭でお米を食べる頻度を尋ねたところ、「1日に2回程度(52.7%)」と回答した割合が最多でした。続いて「1日に1回程度(25.2%)」、「1日に3回以上(17.4%)」という結果となり、全体の95.2%が1日に1回以上お米を食べていることが判明しました。前回2024年10月と比較すると、「1日に2回程度」は1.2%増加、「1日に3回以上」は1.2%減少しており、1日にお米を食べる頻度は前回調査時よりもやや減少しました。

■お米を食べる頻度は「変わらない(80.0%)」が最多。主な理由は「米が好きだから」「主食だから」。
 直近の6ヶ月において、米の価格上昇にともない、お米を食べる頻度が変化したかを尋ねたところ、「変わらない(80.0%)」、「減少した(16.9%)」、「増加した(2.3%)」という結果となりました。「変わらない」と回答した理由については「米が好きだから」「主食だから」「値上しているが他の食品も同様だと思うから」等が挙げられました。「減少した」と回答した理由については、「高価だから」が最多でした。
■お米の代わりによく食べるようになったものは「ない・変わらない(82.8%)」が最多。「ある(17.2%)」で最も多い回答は「パン」という結果に。
 お米の代わりによく食べるようになったものがあるかを尋ねたところ、「特にない・今までと変わらない(82.8%)」、「お米の代わりによく食べるようになったものがある(17.2%)」という結果になりました。「お米の代わりによく食べるようになったものがある(17.2%)」との回答のうち、具体的な品目について自由回答(複数回答可)で尋ねたところ、「パン(426件)」、「麺(「めん」を含む、311件)」、「うどん(340件)」などが挙がりました。
■お米を買うときに重視することは「国産米である(77.8%)」が最多。次点は「銘柄」40.5%。
 お米を買うときに重視することについて尋ねたところ、「国産米である(77.8%)」、「銘柄(40.5%)」、「量(34.3%)」、「産地(33.6%)」が上位を占める結果でしたが、一方で前回2024年10月調査と比較すると、「銘柄」は8.0%、「産地」は9.5%減少となりました。特に「味の好み(26.5%)」は12.3%の大幅減少となっており、前回調査では第3位でしたが、今回調査では第6位までランクダウンしました。一方で「価格が安い(33.1%)」は1.8%増加しており第5位にランクインしました。お米の価格上昇が続いた場合に重視しなくなることについて最も多かった回答は「わからない・特にない(33.9%)」でしたが、その後「銘柄(30.4%)」、「産地(19.0%)」が続き、直近の価格高騰の影響により、価格以外で、お米について重視する事・こだわる事が減少する結果となりました。

関連情報
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2024年度の「お米についてのアンケート調査」は、こちら
2023年度の「お米についてのアンケート調査」は、こちら
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日本生協連からのお知らせ・ニュースリリース
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2025年 お米についての緊急アンケート調査お米を買うときに重視することは「国産米である(77.8%)」が最も多く次いで「銘柄(40.5%)」、「量(2kg、5kgなど)」という結果に

【時評】日米関係の「失われた30年」
【特集】農地をめぐる諸相
     東京大学大学院農学生命科学研究所 教授 安藤光義

2025年1月1日 年頭所感

20250101 財政審予算建議は農政をどこに誘導しようというのか
東京大学名誉教授谷口信和

農村と都市をむすぶ 2025 米の指数先物取引の開始をめぐって座談会 20250101NO874

20230101 求められる飼料用米政策の一貫性と持続性 ― 生産・流通現場の実態からみた課題
李 侖美・谷口信和

農村と都市をむすぶ 2024. 11【No.872】
特集「農産物価格形成のあり方」
特集 農産物価格形成のあり方 安藤光義
特集 卵価形成の実態と課題  信岡誠治

月刊 農村と都市をむすぶ 2024. 11【No.872】

     ご案内 月刊 農村と都市を結ぶ ホームページ

2024年11月号 「農村と都市をむすぶ」

「農村と都市をむすぶ 2024年10月号」【時評】
何が起きているのか
酪農中止農家は「高齢・後継ぎなし」ではない?

「農村と都市をむすぶ 2024年10月号」【時評】
何が起きているのか
酪農中止農家は「高齢・後継ぎなし」ではない?

 中央酪農会議が実施した「令和5年度酪農経営廃業者調査」結果によると、令和4年度中に酪農経営を中止した戸数は北海道で249戸、都府県では581戸の合計830戸だった。
 令和4年2月時点の酪農家戸数は約1万3千戸だったので、廃業率は約6%になる。
 調査対象は系統出荷者のみなので全体では、7%に近いかもしれない。
 中止農家割合が増加傾向にあることも問題だが、中止酪農家の平均年齢が北海道では58.3歳で、50代以下が4割を超えたことに驚かされた。
 さらに、後継者がいても中止した酪農家が、北海道では9%、都府県では12%もあった。
 これまでの酪農中止理由は、「高齢・後継者なし」が最も多かったが、それが変化してきたのだろうか。
 農水省が実施した「畜産経営離脱に関する調査」は、年次ごとに全酪農家を対象としており、先の調査と若干の違いがあるが、平成30年からの時系列比較が可能である。
 これによると離脱割合は3年度までは3%台だったのが、4年次に6%までに跳ね上がっている。
 農水省の調査には離脱要因項目があり、民も多かったのは、「高齢化」の30%だが、次が「経営不振・悪化」の16%で、「従事者の事故・病気・死亡」の15%を上回った。
 令和3年までの調査では、「経営不振・悪化」の選択肢がなく、経営関連では「負債問題」のみなので直接の比較はできないが、「負債問題」は5%だった。
 酪農を始め畜産経常の収益性が悪化しているのは、農水省の「農業経営調査」を見てもわかる。
 酪農経営では令和3年度に736万円だった農業所得は、4年度では49万円の赤字に落ち込んでいる。
 肉用牛部門でも繁殖経営も肥育経営も赤字に転落しており、養豚、養鶏も大きく所得を減らしている。
 その大きな要因は、飼料費や動カ光熱費の増加、特に飼料費の高騰と指摘できる。
 以上から、離脱理由に高齢化が多いことに変わりないが、経営を断念する相対的に若い層の増加も離脱率の増加に拍車をかけているとみられる。
 酪農への新規就農者数も令和4年は3年に比べ21人減の73人に留まった。
 やはり、収益性の悪化が影響していると思わざるを得ない。
 特に、経営環境が悪い中では、倒産する経営以外に、優秀な経営も今が辞め頃とみて経営を中止すると言われる。
 反対に、負債などでやめるにやめられない農家が1定存在することも指摘されている。
 畜産経営の現状を正確に把握することが必要だ。
 それを踏まえた収益性の改善、特に飼料費を抑える抜本的な対策が必須だ。

スーパーの棚から米が消えた

 筆者の住まいの近くのスーパーでも、8月中旬以降米棚が空っぽな状態が続いた。
 米不足がマスコミに大きく取り上げられている。
 不足要因として、当初はインバウンド需要やペンなどの値上げで相対的に安くなった米需要の増加などが言われていたが、農水省が全国のスーパー、生協計約1千店舗を調査したところ、8月第2週は消費者の米購入が前年同期比で4割増加したとのことだった。

南海トラフ地震の臨時情報などの影響による買いだめとみられるとしている。
 国は市場に悪影響を及ぼさないように、「備蓄米」の放出は行わないとした。
 確かに8月は端境期で、9月になってからは新米が少しずつ入荷しだした。
 しかし、棚から米がないというインパクトは相当のものだ。
 奇しくも本年6月に「平時における食料安保」を柱とする「食料・農業・農村基本法」が改訂され、同時に米や小麦、畜産物など重要な食料、が不足する事態に対応するための「食料供給困難事態対策法1も制定された。
 うがった見方だが、「食料安保」の重要性を国民に実感してもらうため、あえて対応しなかったのでは、とまで考えてしまった。
 米需要の増加を受け、米の生産抑制見直しに言及するマスコミもあるが、米の1人当たり年間消費量はピークの半分以下の50kg同程になっており、長期的にこのトレンドは大きくは変わらないだろう。
 一方で、本年3月に全国米穀販売事業共済協同組合が「米穀流通2040ビジョン」を発表した。
 この「現実的なシナリオ」では、2040年の米の圏内需要量は375万トン、生産量は363万トンとほぼ半減すると予想している。
 特に、半減しても需要量国産ではカバーできないと見ている。
 やはり平時の食料安保の鍵は国内生産の維持であり、そのためには農地と担い子の確保が不可欠であることは言うまでもない。
 この2つの確保には、経営の成り立つ作物の存在が肝心だ。
 先の農業経営調査によると水田作経営の農業所得は、約2.8haの耕作でわずか1万円に過ぎない。
 今後需要が期待できる作物は、千万トン以上を輸入に依存し、価格も高騰している飼料穀物だろう。
 これまでは輸入飼料穀物と飼料用米などの国産飼料穀物の価格ギャップが大きかったが、その差が徐々に狭まってきている。
 政策的な支援次第で品質と需給バランスによって、欧米のように主食用と飼料用穀物の相互乗り入れが可能な状況を作り出すことも夢ではなくなってきたのではないか。
 農地利用を柱とした、主食用米中心ではない、米政