第8回(通算15回目)飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会
令和3年度 飼料用米多収日本一 受賞者の紹介
(表彰式は、受賞様の地域ごとに行いました)
~飼料用米普及のためのシンポジウム2022~
◆ 開催準備をしていましたが、困難な状況となりました。
コロナウイルス変種オミクロン株の感染拡大(第6波)の進行です。
2月18日に令和3年度の飼料用米多収日本一の表彰者の選出審査委員 会をリモートで開催し、受賞者を選出選出しました。
残念ながら、受賞者の皆様に東京に集まっていただくには無理な事態と
なり、東京での表彰式(授与式)を行わないことにしました。
令和3年度 飼料用米多収日本一 表彰式について
今年こそ東京でと事務局は準備しましたが残念です。
引き続いて受賞様の地元の農政事務所・支所で授与式を行っています。
事務局より賞状・副賞盾を農政事務所、ご自宅にお送りしました。
飼料用米普及のためのシンポジウム2022会場変更
会場で予約しました東京大学弥生講堂・一条ホールは部外者が入場する
イベントへの貸し出しを1月24日付で中止しましたので、会場を変更
しました。
(日程・時間・会場・開催方法を変更しました)
開催日時:2022年3月18日(金)12:30~15:40
会 場:食糧会館 5F会議室(東京都中央区日本橋小伝馬町15-15)
https://www.zenbeihan.com/assets/img/overview/map_tokyo.gif
開催方法:ZOOMによるリモート開催
募集人数:ZOOM 100名。対面は報道機関としました。
報道掲載紙を頂きました。ご紹介します。
【飼料用米シンポ】 生産コスト削減と保管に課題 飼料用米をめぐる情勢 JACOM農業協同組合新聞 2022年3月24日 3月18日に(一社)日本飼料用米振興協会が開いた「飼料用米普及のためのシンポジウム2022」では農水省から「飼料用米をめぐる情勢について」の報告があった。 2021年産では主食用米の需給環境を改善するため、過去最大規模の6.3万haの作付け転換に生産者は取り組んだ。 その結果、飼料用米の作付けは7.1万haから11.6万haへの増加した。飼料用米の生産量は63万tとなった。 基本計画では2030年までに飼料用米の生産努力目標を70万tとしている。11.6万haは作付け面積ベースでは目標を達成したことになるが、生産量ではまだ到達していない。単収の増加が課題となっている。 一方、需要については2022年の新規需要として畜産農家から約2万tの要望がある(農水省調査)。そのほか全農グループ飼料会社や、日本飼料工業会などの使用可能な飼料米の量は約130万tとなっており、基本計画の目標よりも需要量は多いということになる。 飼料用米生産では多収品種の導入が求められているが、2020年産の平均単収は10a539kgにとどまっており課題は多い。ただ、2021年産の飼料用米コンクールで農水大臣賞を受賞した生産者(小松田光二さん 秋田県)の単収は970kgと1t近くを実現した。 飼料用米生産者の経営規模は5ha以上が約8割を占めている。大規模水田経営安定のための品目の1つとして位置づけられており、規模拡大による生産コストの削減も期待される。 生産コスト削減については、平成27年に政府が決めた日本再興戦略改定2015で目標が掲げられている。そこでは2013年産の60kg1万5229円を2025年産までに5割削減し、同7615円とするのが目標だ。 多収の実現で▲16~19%、実利用資源の活用による肥料コストの▲7%や農機価格の▲30%、直播栽培による労働力の▲25%などから試算している。スマート農業技術の活用は、飼料用米生産に限らず水田農業全体に必要だ。 多収品種は国の委託試験などで飼料向けとて育成された25品種がある。そのほか都道府県で主食用以外の用途として生産されて収量が多いものを知事の申請で特認している品種もある。 飼料用米の保管も課題だ。既存の主食用米の倉庫に空きができたものを活用している事例や、既存のCEやRCの再編利用をしている例、一部には飼料用米専用のCEもあるが限られている。 シンポジウムで報告した青森県の木村牧場は自ら飼料用米保管倉庫を持っているが限られている。今後、さらに飼料用米の本格利用を進めるうえでは課題となる。 一方で全農は飼料用米生産者から直接買い取り、保管・流通し全農グループの配合飼料会社から畜産農家へ供給される仕組みを作りあげている。流通経費は、金利・倉敷料や販売手数料などを合わせて生産者が受け取る販売代金から差し引く。 農水省は飼料用米を活用した畜産物のブランド化も推進していく。輸入トウモロコシの代替飼料として米を利用するだけでなく、木村農場が生産する「つがる豚」など味や風味など違いを売り出して高付加価化を図る取り組みも重要だ。農水省のまとめでは39道府県で97事例があるという。 主食用米の需要は年間10万tずつ減少している。 年1.4%の減少で水田面積では2万haに当たる。飼料用米活用の畜産物のブランド化を通じて、有効な水田の利活用であること、国産飼料であることの意義を消費者に発信していくことも期待される。 【飼料用米シンポ】 特別講演 飼料用米の課題はどこにあるか? 谷口信和東大名誉教授 JACOM農業協同組合新聞 2022年3月28日 (一社)日本飼料用米振興協会の飼料用米普及のためのシンポジウム2022では谷口信和東大名誉教授が「日本農業の課題と飼料用米の今日的な意義」と題して特別講演を行った。谷口教授は現在の農政の基本路線の検証と、日本人の食生活の変化もふまえた農業の持続可能性の観点から、課題を提起した。 谷口東大名誉教授 谷口教授は、人口減少による国内農産物市場の縮小を前提に、競争力を高め輸出を拡大するしか、国内農業生産の維持はないとする現在の路線を「本当に正しいのか」と問う。 少子高齢化にも関わらず、畜産物の国内消費は拡大し、さらに国産の小麦や大豆へのニーズは高まり生産が追いついていないのが実態だと指摘する。 こうした実態から、考えるべき方向とは、輸入濃厚飼料代替も含め国内濃厚飼料生産の拡大を通じた地域農業での耕畜連携の進展だ。また、飼料とたい肥の地域内資源循環や、地産地消の拡大を通じた地域循環型の経済実現もめざすべきとする。 一方で気候変動に対応したCO2削減が農業にも求められるなか、生産資材と農産物の「輸送距離の短縮」の追求こそがCO2削減につながることを考えれば、食と農の距離を縮め、地産地消と循環型経済よる食料自給率の向上がCO2削減につながる、と提起する。 また、少子高齢化についても不可避で農産物市場は縮小するなどと考えるのではなく、「女性が安心して出産できる環境や、まともな安定して賃金水準の実現」といった政策を考えるべきだとして「非正規労働者の正規労働化も含め、国内経済の転換と農業の転換は結びついている」ことを認識する重要性を指摘した。 とくにみどり戦略が掲げる有機農産物の増産には、相対的に高い農産物を購入できる条件が必要になる。 こうした基本的な政策方向の転換をふまえて谷口教授は飼料用米をめぐる政策課題を提起した。 2021(令和3)年産の飼料用米作付けは、2020年基本計画による2030年目標の9.7万haを超えて11.6万haに達した。 しかし、10aあたり単収が534kgと2030年目標の720kgを大幅に下回るため、生産量は61.9万tに止まり、70万tの目標に遠く及ばなかった。 畜産物の消費拡大をふまえれば前回の基本計画で掲げた110万tを超える目標を改めて掲げるべきと提起する。 また、みどり戦略のなかで飼料用米の位置づけが明確にされていないことも指摘した。 農水省のみどり戦略と連動する「持続的な畜産物生産のあり方検討会」の中間まとめでは、輸入飼料への過度な依存からの脱却と、子実用トウモロコシなど国産濃厚飼料生産の拡大の必要性を挙げているが、飼料用米の記述がない。 谷口教授は、みどり戦略が「アジアモンスーン型の持続可能な農業」を打ち出すことをめざしているであれば「水田農業の枠組みの最大限の活用にアジアモンスーン型の意味がある」として、水田で作付けする飼料用米の意義として▽いつでも主食用に転換できる=食料安全保障、▽自国の風土条件にあった飼料基盤に基づく畜産=日本型畜産、▽麦・大豆の連作障害回避=米・麦・大豆の輪作体系の確立を挙げる。 また、豪雨の影響が大きい日本ではダム機能を持つ水田の特別の意義も強調する。 一方、飼料用米はMA(ミニマムアクセス)米からの転用が過半のため、実需者からは不安定な供給となっている。 これを解決するには、MA米の主用途を援助米にするとともに、CO2削減や米の品質劣化を防ぐ観点からも、日本への輸出国から援助国に直接輸送する国際援助のかたちへルールを転換し、飼料用米は国産生産に特化するという政策転換なども提起した。 そのほか飼料用米専用品種への交付金限定、大規模経営の作付け体系に飼料用米を組み込み、コストダウンと経営を安定させるための大区画ほ場の整備や、たい肥投入への耕畜連携特別助成金の創設なども議論すべきだという。 谷口教授は「みどり戦略」が気候変動のなかで持続可能な農業を実現する方向を打ち出しているが、生産努力目標と自給率目標を掲げている「基本計画」との統合した政策体系に向けて、国民的な議論が必要だと強調し、飼料用米政策も含めて「短期的対策の寄せ集めでは乗り切れない」と強調した。 【飼料用米シンポ】 飼料米使用の豚肉 品質差別化 水田守り輸出も 青森の木村牧場 JACOM農業協同組合新聞 2022年3月24日 (一社)日本飼料用米振興協会が3月18日に開いた飼料用米普及のためのシンポジウムでは講演や活動報告などが行われた。 シンポジウムでは「つがる豚」を生産する青森県つがる市の木村牧場・木村洋文代表が養豚事業の飼料用米利用の現状と課題を報告した。 1965年創業の木村牧場は母豚約1300頭で年間約3万2000頭を出荷している。 2010年に「つがる豚」を商品登録、県産中心の飼料用を4割と20種類以上の食品リサイクル原料を配合したエコフィードを給与する地産地消型の養豚を行っている。 飼料用米の契約生産者は令和3年で203農家。県内を中心に合計1300haの水田で生産された約1万tの飼料用米を利用している。 国内最大級の1.4万t保管できる飼料用米専用倉庫も備える。 木村代表は、飼料用米は「とても良い飼料原料」だと評価する。 脂肪の口どけや風味が良くなり、トウモロコシだけで飼養した豚肉とは「別物になった」と話す。 母豚が多産になったが、トウモロコシ中心の飼料にくらべて出産後の回復が早くなったという。 海外から輸入する飼料原料は船舶による長期輸送でカビなど品質劣化が懸念されるが、国産の飼料用米ならその心配がほとんどないことも指摘した。 米国産トウモロコシについてエタノール仕向けが増えてきた結果、飼料用として品質低下の懸念もあるという。 木村代表は、トウモロコシの国際相場が高騰するなか、飼料用米の本作化をてこ入れすべきで、基本計画目標の飼料用生産70万tを年間可能使用量の100万t以上に設定して振興を図るべきと強調する。 財務省の財政制度審議会は飼料用米への交付金削減を主張するが、「円が値下がり続けるなか、海外原料の購入は国富の減少」であり、「米農家に支払った日本円は国から農家へ名義変更になっただけ」と指摘する。 とくに米どころは米が適地適作の作物になっており、それは長い年月をかけて国や農家が投資し、もっともコストがかからない作物になっていることだと産地の実態を話す。 また、高齢化で世代交代が進み、大規模化でコストが下がることをふまえて、飼料用米の品種改良で多収を実現し、飼料自給率の向上とともに、「持続可能な飼料生産」を考えるべきだという。 とくに畜産物の品質の面に着目すべきで、国産の飼料用米40%使用の豚肉は「味と風味が明らかに差別化された肉」であり、むしろ世界に向けて輸出し外貨を稼ぐ商品になるとも指摘。 水田の維持、飼料自給率の向上だけではなく、良質なたんぱく質生産や輸出まで視野に入れた戦略として考えるという木村氏の視点は重要だ。 【飼料用米シンポ】 おかやまコープ4700tを利用 県内の水田維持に貢献 JACOM農業協同組合新聞 2022年3月23日 (一社)日本飼料用米振興協会は3月18日に飼料用米普及のためのシンポジウムを開き、講演や活動報告などが行われた。生活協同組合おかやまコープは2009年からの飼料用米の活用の取り組みを報告した。 シンポジウムでは同コープで商品企画を担当する藤井達也氏が活動を紹介した。 岡山県内でも耕作放棄地が拡大し1万1000haと岡山市後楽園(13ha)の855倍にもなっているという。 おかやまコープは2008年、世界的な穀物高騰を受けて、翌年から食料自給率の向上と地産地消を進めるため飼料用米の活用に取り組んだ。 初年度は82tからスタートし2021年度は4691tに拡大。12年間で60倍利用量を増やした。JA全農県本部やJAグループ飼料会社と連携して取り組んできた。 最初の産直商品は「おかやま豚」。 4%配合から始めて徐々に配合割合を増やし、2016年には50%配合を実現した。 その間、組合員と試食会や勉強会を重ね、飼料用米の意義について理解を深めるなかで配合割合も増やしていった。 50%配合によって輸入トウモロコシの約90%が米に置き換わった。脂分の食感や、肉の色合いも組合員に好評だという。「おかやま豚」は年間8200頭出荷している。 2011年からは「産直こめたまご」を10%配合から開始。 翌年からは20%に増やしネーミングを組合員から募集。組合員が「こめたまご」とネーミングしたことで飼料用米の意義を共有できたのではないかという。飼料用米の利用量は600tから2021年度は880tとなった。 ただ、ネーミングから10年以上経ち、若い世代の組合員も増えてきたことから、改めて意義を伝える工夫も必要になっていると話す。 2013年からは10%配合で「おかやま牛」もスタート。産直牛240頭に180tの飼料用米を使用した。反芻動物のため10%以上の配合は難しいが、飼料用米のほかにWCS(稲発酵粗飼料)を年間1470ロール活用しているという。 2015年からは「おかやま若鶏」に20%配合をスタートさせ、全畜種へ飼料用米を活用するようになった。ブロイラーは飼料の必要量が多いため、年間1875tを使用している。種鶏から若鶏まで岡山県産であることも特徴だ。 藤井氏は「単に事業活動をするのではなく、水田の有効活用を進めることで農業の持続と地域経済の振興を図ることが目的。食料自給率の向上へ食と農が結びつく自給力ある岡山をめざしている」と話す。 2021年度に使用した飼料用米は4700t。このうち約2800tが県内産で979haの水田の有効活用に貢献している相当するという。 ただし、県内の飼料用米生産は増えておらず、県内農家は主食用米価格の下落に苦しんでいるのが実態。生産者が安心して飼料用米を生産し続ける政策が必要で、同時に飼料用米の意義について、使う側からSDGsやエシカル消費の視点からもっと発信していくべきだという。 また、生産を増やすために飼料用米生産者と契約栽培し、どの商品にどう活用されて、どんな消費者が食べているのかを農業者に理解してもらう「顔のみえる」取り組みにすることも必要ではないかと話し、生産者と消費者をつなぐ役割を生協が発揮することで自給率向上につなげる展望も指摘した。 日本飼料用米振興協会、「第8回飼料用米普及のためのシンポジウム」 農機新聞 2022/3/28【農機新聞 2022年(令和4年)3月29日付け】 (一社)日本飼料用米振興協会(海老澤惠子理事長)は18日、「第8回飼料用米普及のためのシンポジウム」をオンラインを併用して開催した。 国内畜産物の需要増に伴い、国産飼料穀物の需要増が見込まれる中、耕畜連携による循環型農業の実現に期待が集まる。 国産配合飼料基盤拡大には最も効率的といえる飼料用米の本作化などをテーマに講演が行われた。 シンポジウムでは農林水産省農産局穀物課担当者から「飼料用米をめぐる情勢について」をテーマにした基調講演をはじめ、表彰式が中止となった令和3年度「飼料用米多収日本一」の受賞者を紹介。 また、東京大学の谷口信和名誉教授による「日本農業の課題と飼料用米の今日的な意義」と題した特別講演も。 そのほか、活動報告として2事業者が取り組みを紹介。 飼料用米の拡大へ/日本飼料用米振興協会がシンポジウム 農経しんぽう(農経新報社) 2022年3月28日 一般社団法人日本飼料用米振興協会(海老澤惠子理事長)は18日、「第8回飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会 令和4年度飼料用米 日本一表彰者の紹介~飼料用米普及のためのシンポジウム2022~」をオンラインで開催した。 開会挨拶した海老澤理事長は、このシンポジウムを、飼料用米を活かす日本型の循環畜産の推進を提案していく、有益な情報交換や問題提起の場としたいと語った。 基調講演は農林水産省農産局穀物課長補佐・角谷磨美氏が「飼料用米をめぐる情勢について」講演した。 |
報道掲載紙を頂きました。ご紹介します。
日刊毎日経済通信 2022年3月23日(水) 1.飼料用米普及のためのシンポジウム2022開催 2.(株)木村牧場 木村洋文社長が飼料用米で財務省に意見 1. 飼料用米普及のためのシンポジウム2022開催 (一社)日本飼料用米振興協会は3月18日、午後12時30分より東京・日本橋の「食糧会館」会議室において、リモートによる第8回(通算15回目)飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会~飼料用米普及のためのシンポジウム2022~を開催した。 同シンポジウムでは、日本飼料用米振興協会 海老澤惠子理事長の開会あいさつ、日本生活協同組合連合会 藤井喜継代表理事事業担当専務の連帯あいさつの後、基調講演、特別講演、活動報告2題と講師による座談会が行われた。これらについて、演題と講師は次の通りである。 ◆基調講演: 「飼料用米をめぐる情勢について」 農林水産省 農産局穀物課企画班 角谷磨美 課長補佐。 ◆特別講演: 「日本農業の課題と飼料用米の今日的な意義」 東京大学 谷口信和 名誉教授。 ◆活動報告: 「養豚事業における飼料用米利用の現状と課題」 木村牧場 木村洋文 代表取締役社長。 「おかやまコープにおける、飼料用米を活用した食料自給率向上・地産地消推進の取り組み」 生活協同組合おかやま商品企画 藤井達弘氏。 続いて、 ◆講師陣による座談会が行われた。司会進行は同協会信岡誠治理事。 そして、 ◆同協会加藤好一副理事長の「2022シンポジウムと今後に向けた問題意識について」としたあいさつをもって閉会となった。 2.(株)木村牧場 木村洋文社長が飼料用米で財務省に意見 (一社)日本飼料用米提興協会が別項のように開催した「飼料用米普のためのシンポジウム2022」において、青森県つがる市・(株)木村牧場木村洋文代表取締役社長の「養豚事業における飼料用米利用の現状と今後の課題」と題した活動報告が行われた。 木村社長は報告の中でこれまで飼料用米を利用してきた経験から「見えること(見えてきたこと)」として、次のことを挙げた。 (1)飼料用米を使用して気づいたこと ▼ 米を飼料化して分かったことは、とても良い原料だということ。 例えば、脂肪が米由来になることで口溶けや風味良くなり、トウモロコシとは別物になったこと。 ▼ 最近の母豚が多産ことで、従来の飼料だと、子宮回復が遅れていたが、米の飼料は回復が早くなったこと。 ▼ トウモロコシとの品質差についても、海外からの輸送途中で海水との 温度差により、結露が発生し、カビが多発する。 飼料用米はその可能性が極めて低いこと。 ▼ 産地保管を低コスト化しないと、継続性がないが、当社で使用してい るドームは欧米で使用されているものなので、補助金がなくても運用が可能であること。 (2)財務省の指標について: 財務省が飼料用米を他の作物へ転換できないかとお願いを発信しているが、米の産地では米が適地適作の作物となっており、かなり厳しいと思われること。米どころでは長い年月をかけて国家、個人が投資してきた米が最もコストがかからない作物となっていること。 ▼ 現在耕作している農家の60、70、80代の人々が十年後には半分に減る。そうなると大規模化が進み、コストが値下がり、価格変動に対して強くなると思われること。 ▼ 為替の円が値下がりし続ける中で、海外の原料を購入すると、国富が減少し続けること。 ▼ 現在の飼料用米の補助金は、60~80代の人が引退するまでの生活費と考えるべきであること。 ▼ 耕地面積から見た適正人口数になる4,000~5,000万人なるまでの間に、飼料用米をもっと収量の多い品種改良を進めていくべきであること。 ▼ 人口の減少に伴い、国力の低下が起こり、円安となることから、農産物の輸出や国産品の重要度が増すことが想定されること。 ▼ トウモロコシを日本で生産することは否定しないが、一農家当たりアメリカで2,500ヘクタール、オーストラリア、カナダで、1,000~3,000ヘクタールの面積に小麦やトウモロコシを栽培しており、これと同じ土俵に乗る必要はないと思われること。 ▼ 飼料用米は、有事の際には加工するなどして国民の食品として使用できること。 (3)財務省に気づいていただきたい: 米の生産農家に払った日本円は、国から農家へ名義変更になっただけであること。畜産業が海外から購入するたびに、国力の低下からの円安と他国の成長からくる購買力の低下によって、日本円は目減りしていること。 日本には個人、企業合わせて3,000兆円の資産があるが、国内で使用する分には名義変更だけであるのに対し、それを海外へ出すほど目減りすること。 日本の人口減少による現実を想定し、良くなること、悪くなることを想定して国民に悲観論だけでなく、食料自立、エネルギー自立、食料安保自立等で飼料用米はプラス面が多いことを説明するべきであること。 日本の国力が上がっている時は、海外からの輸入量が増えると、国富の増加につながるが、国力が低下している時の輸入量増加は国富を減少させること。 農経しんぽう 2022年3月28日(月) 飼料用米振興協がシンポ 飼料用米の拡大へ 日本型の循環畜産を推進 一般社団法人日本飼料用米振興協会(海老澤恵子理事長)は18日、「第8回飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会、令和4年度飼料用米日本一表彰者の紹介~飼料用米普及のためのシンポジウム2022~」をオンラインで開催した。 開会挨拶した海老澤理事長は、昨今のウクライナ情勢に触れ、食料安保を巡る問題に気候変動や大規模災害といった自然現象だけでなく戦争も加わり、世界かから食料・経済問題が改めて突きつけられたとした。 飼料用米の生産は伸び悩んでいるものの、食料自給率の向上や水田保持、みどりの食料システム戦略の実現などの点において飼料用米の重要性は今後さちに高まると述べ、飼料用米を活かす日本型の循環畜産の推進を提案していくとし、本日を有益な情報交換や問題提起の場としたいと語った。 基調講演は農林水産省農産局穀物課長補佐・角谷磨美氏が「飼料用米をめぐる情勢について」講演した。 食料・農業・農村基本計画にて飼料用米の生産努力目標を令和12年度に70万㌧と定めているが、まだ達していないのに対し、各飼料業界団体における国産飼料用米の年間使用可能数量は約130万㌧、畜産農家からは約2万㌧の需要希望があるとし、配合飼料の主原料であるトウモロコシと同等以下の価格かつ実需者の需要に応じた安定的な供給が求められている。 飼料用米の拡大には更なる単収向上と生産・流通コストの低減が重要とし、それに向けた取り組みとして、多収品種の導入やスマート農業技術の活用、乾燥・調製・保管場所の確保事例などを紹介した。 また、(株)木村牧場代表取締役・木村洋文氏は「養豚事業における飼料用米利用の現状と今後の課題」と題して活動報告。 同社は青森県つがる市で母豚1,350頭、肥育豚1万4000頭以上を飼育する養豚一環経営を展開。 鶴田町に飼料工場を構え、リキッドフィーディングシステムを導入しており、飼料用米4割と地元のスーパーなどから引き取った食品リサイクル原料等を調合したエコフィードの飼料を給与し、地産地消の飼育を行っている。 工場には1・4万㌧保管可能な飼料用米専用倉庫2棟を設置。 県内農家と契約した飼料用米を保管し、年間で約1万㌧買い取り、半数を飼料に、半数を商社に販売している。 木村氏は今後の課題について飼料用米の増産と保管・流通体制の整備、飼料自給率向上の啓発を訴え、生産目標数量を70万㌧から年間可能使用量の130万㌧に設定し、本作化の定着を図るべきであり、コロナ禍やウクライナ情勢で世界の食料システムの脆弱性が明らかになった今、日本で唯一自給できる米をしっかり作っていくべきなどと語った。 |
飼料用米普及のためのシンポジウム2022 会場風景(会場での撮影)
開会の挨拶をする海老澤惠子理事長


会場後方より前方を写す

実出席の講師陣

特別講演 「日本農業の進む道と飼料用米の今日的意味」谷口信和東京大学名誉教授

◆活動報告 「養豚事業における飼料用米利用の現状と今後の課題」株式会社木村牧場 代表取締役 木村洋文さん
◆活動報告 「おかやまコープにおける、飼料用米を活用した食糧自給率向上・地産地消推進の取り組み」生活協同組合おかやまコープ商品企画 藤井達也さん
◆座談会の司会で発言する信岡誠治理事(元東京農業大学教授)課題提起 「飼料用米の一層の普及のために」私たちはこう考える ニッポンの食と農の未来形

座談会に参加した木村洋文さん(右上)藤井達也さん(中下)

閉会の挨拶で加藤好一副理事長は「シンポジウム後に向けた問題意識」について

事務局【ZOOM操作や進行調整)海老澤惠子理事長と若狭良治事務局長

農林水産省農産局穀物課 角谷磨美課長補佐の画像は、通信不良で採取できませんでした。
2022.3.21発信
おかげさまで「飼料用米普及のためのシンポジウム2022」を無事開催できました。
御礼申し上げます。
◆当日配布しました発表資料集です。A4版PDF
飼料用米普及のためのシンポジウム2022 資料集を発行しました。
◆当日の画面で表示(共有)をしたPDFデータ
日本農業新聞 2022年3月1日 |
飼料用米多収日本一 単収・小松田さん(秋田) 平均からの増収・坂本さん(岩手) 農林水産省と日本飼料用米娠興協会は28日、飼附用米の多収栽培の技術を競うコンテスト「飼料用米多収日本―」の2021年度受賞者を発表した。 最高位の農水大臣賞には、「単位収量の部」で10アール収量が973キロだった秋田県横手市の小松田光二さんを、「地域の平均単収からの増収の部」で地域平均を337キロ上回る同921キロだった盛岡市の坂本静江さんを選んだ。 コンテス卜は6回目で、小松田さんの収量は過去最高だった。 小松田さんは米の粒が大きく、倒伏しづらい多収性品種「ベごあおば」を1.3へクタールで栽培。 土壌改良材の散布で土づくりに力を入れるー方、疎植や施肥コスト削減にも取り組んだ。 板本さんは、肉用牛農家で初めて農林水産大臣賞を受賞した。 倒伏しにくい「つぶゆたか」を91アールで栽培。 自家生産の牛ふん堆肥と、飼料用米の契約農家から譲り受けた鶏ふん(糞)を散布し、圃場(ほじょう)で乾燥させる立毛乾燥でコストを低減した。 その他の受賞農家団体は次の通り。 ◇単位収量の部▼農産局長賞=高橋俊惠(青森県五所川原市)▼JA全中会長賞=加藤禎行(北海道美唄市)▼JA全農会長賞=日の出生産組合(北海道旭川市)▼日本飼料工業会会長賞=坊沢営農組合(秋田県北柏田市)▼日本農業新聞賞=上田隆(柏田県横手市) ◇地域の平均単収からの増収の部▼農産局長賞=山口弘明(佐賀県白石町)▼JA全中会長賞=増淵文明(栃木県芳賀町)▼JA全農会長賞=関富次(柏田県鹿角市)▼日本飼料工業会会長貰=アグリ:サポー卜(愛知県飛島村) ▼日本農業新聞賞=農事組合法人ふながわ(富山県朝日町) |