月刊 『日本の進路』記事紹介

2025年1月13日

日本の針路 2025年5月号 No.392
「令和の百姓一揆」農業危機突破の烽火
【国防の要は食料・農業だ】「日本型直接支払い」の実現を
 鈴木宣弘(東京大学大学院・名誉教授/特任教授、食料安保推進財団理事長)

月刊 『日本の進路』 食料自給の確立へ  農業・農村・食料を守る政策実現に機運高まる

月刊 『日本の進路』 387 388 号 (2025年1月号)
広範な国民連合

 
食料自給の確立へ
農業・農村・食料を守る政策実現に機運高まる

東京大学特任教授・名誉教授、食料安全保障推進財団理事長 鈴木 宣弘
 
「広範な国民連合第26回全国総会」のご成功に心からお祝い申し上げます。
今、「住むのが非効率な」 農業・農村の崩壊を加速させ、人口の拠点都市への集中と一部企業の利益さえ確保すれば「効率的」だとする動きも強まっているなか、文字通り「広範な国民連合」が全国各地の政治・行政と市民・農民の力を結集し、日本の地域社会と子どもたちの未来を守る最大の使命を担っております。
現に、国民連合による食料自給率向上の自治体議員連盟の尽力は、農業・農村を守り、食料を守ることの重要性を超党派の国民運動として盛り上げる原動力となっております。
私自身も、国政レベルでも、ほぼ全政党でお話をし、食料安全保障推進法(仮称)に基づく、
⓵農地を守る基礎支払い、
⓶生産者・消費者の双方を支援するコストと販売価格との不足払い、
⓷備蓄・援助のための政府買い入れの拡大、
などの必要性について、党派をまたいだ強い賛同を得ております。
今まさに、広範な国民連合によ日本の地域社会を守る政策提案が、国政レベルでも喫緊の政策として実現できる機運が党派を超え高まっております。
食料自給確立の自治体議員連盟による全国津々浦々からのうねりづくりが国政を動かす最大の原動力になります。
この機を逃すことなく、さらなる結集と活動の強化に取り組んでまいりましょう。
 
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国家観なき歳出削減からの脱却
政策実現へ超党派の国民運動を  鈴木宣弘

 
最近、財政当局の農業予算に対する考え方が示された。
その骨格は、⓵農業予算が多過ぎる、⓶飼料米補助をやめよ、⓷低米価に耐えられる構造転換、⓸備蓄米を減らせ、⓹食料自給率を重視するな、といったものである。そこには、歳出削減しか念頭になく、現状認識、大局的見地の欠如が懸念される。
1970年の段階で1兆円近くで防衛予算の2倍近くだった農水予算は、50年以上たった今も2兆円ほどで、国家予算比で12%近くから2%弱までに減らされてきた。10兆円規模に膨れ上がった防衛予算との格差は大きい。
軍事・食料・エネルギーが国家存立の3本柱ともいわれるが、なかでも一番命に直結する安全保障(国防)の要は食料・農業だ。その予算が減らされ続け、かつ、世界的食料争奪戦の激化と国内農業の疲弊の深刻化の下で、まだ高水準だという認識は国家戦略の欠如だ。中国は14億の人口が1年半食べられるだけの食料備蓄に乗り出している。世界情勢悪化のなか、15カ月分程度のコメ備蓄で、不測の事態に子どもたちの命を守れるわけがない。今こそ総力を挙げて増産し備蓄も増やすのが不可欠なときに備蓄を減らせという話がな出てくるのか。
「いつでもお金を出せば安く輸入できる」時代は終わった。
今こそ、国民の食料は国内で賄う「国消国産」、食料自給率の向上が不可欠で、投入すべき安全保障コストの最優先課題のはずなのに、食料自給率向上に予算をかけるのは非効率だ、輸入すればよい、という論理は、危機認識力と国民の命を守る視点の欠如だ。
そして、これらの考え方が25年ぶりに改定された食料・農業・農村基本法にも色濃く反映されていることが事態の深刻さを物語る。
この状況は絶望的にも見える。


農業・農村を守る政策実現に新たな展望
 
しかし、この局面を打開できる希望の光も見えてきている。
かつて2009年、当時の石破茂農水大臣は、筆者が2008年に刊行した『現代の食料・農業問題─誤解から打開へ』(創森社)を三度熟読され、この本を論拠にして農政改革を実行したいと表明された。 
 
拙著での提案、および2009年9月15日に石破大臣が発表した「米政策の第2次シミュレーション結果と米政策改革の方向」の政策案の骨子は、「生産調整を廃止に向けて緩和していき、農家に必要な生産費をカバーできる米価 (努力目標) 水準と市場米価の差額を全額補てんする。
それに必要な費用は3500~4000億円で、生産者と消費者の双方を助けて、食料安全保障に資する政策は可能である」というものだった。
これは、その直後に起こった政権交代で、民主党政権が提案していた「戸別所得補償制度」に引き継がれることになった。
 
食料安保確立基礎支払いと食料安全保障推進法(仮称)
 
そして筆者は、スイスの農業政策体系に着目した。食料安全保障のための土台部分になる「供給補償支払い」の充実(農家への直接支払いの1/3を基礎支払いに集約)と、それを補完する直接支払い(景観、環境、生物多様性への配慮などのレベルに応じた加算) の組み合わせだ。
それを基にして、「食料安全保障確立基礎支払い」として、普段から、耕種作物には農地10a当たり、畜産には家畜単位当たりの「基礎支払い」を行うことを提案した。
その上に多面的機能支払いなどを加算するとともに、生産費上昇や価格低下による赤字幅に応じた加算メカニズムを組み込む。
かつ、食料需給調整の最終調整弁は政府の役割とし、下限価格を下回った場合には、穀物や乳製品の政府買い入れを発動し、備蓄積み増しや国内外の人道支援物資として活用する仕組みを整備することも加えた。
こうしてこれらをまとめた超党派の議員立法「食料安全保障推進法」(仮称)の可能性を提起した。
農家だけを助ける直接支払いではなく、消費者も助け、国民全体の食料安全保障のための支払いであることを理解しやすくする意味で「食料安全保障確立基礎支払い」というネーミングも重要と考えた。
筆者が理事長を務める食料安全保障推進財団も活用し、各方面に働きかけてきた。
 
超党派で政策実現の機運
 
全国各地での月20回前後の講演に加え、ほぼ全ての政党から勉強会の要請があったので、各党で話をさせていただいた。国民民主党の勉強会では、この考え方を取り入れて政策を組み立てたいとの賛同をいただいた。自民党(積極財政議員連盟)、立憲民主党、共産党、れいわ新選組、日本維新の会、社民党、参政党など、ほぼ全ての政党から基本的な方向性に強い賛同をいただいたと理解している。
こうしたなかで超党派の協同組合振興研究議員連盟がこれに着目してくれた。
事務局長の小山展弘議員(立憲民主党)を中心に内閣法制局とも打ち合わせを重ね、自民党の積極財政議員連盟の支柱である城内実議員(現・経済安全保障大臣)も賛同してくれ、議員連盟会長の森山裕議員(現・党幹事長)にも話をさせていただいた。
 
以上からわかるように、農業・農村を守る政策の方向性は与野党を問わず収斂してきている。
2009年に石破大臣が発表した農政プラン、戸別所得補償制度、食料安保確立基礎支払いの基本概念には共通項がある。
与野党が拮抗する政治情勢下で、こうした政策を超党派の国民運動で実現できる機運が高まっていると思われる。期待したい。
 

代表世話人 
佐野 慶子 元静岡市議会議員
鈴木 宣弘 東京大学名誉教授
中村 住代 長崎代表世話人、元長崎市議会議員
西澤 清 東京代表世話人、元日教組副委員長
羽場久美子 青山学院大学名誉教授
原田 章弘 神奈川代表世話人、元横須賀市議会議員

新年のごあいさつ 代表世話人 羽場久美子(青山学院大学名誉教授)、他一同   月刊 『日本の進路』

月刊 『日本の進路』 387 388 号 (2025年1月号) 
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新年のごあいさつ
  代表世話人 羽場久美子(青山学院大学名誉教授)、他一同
 
あけましておめでとうございます。
昨年の総会で代表世話人に新たに鈴木宣弘先生と共に選出いただき、大変光栄であると同時に、錚々たる皆さまのご活躍の前に、不十分さと責任を痛感しております。
この間、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ侵攻などで、マスコミから私は呼ばれなくなってしまいましたが、逆に全国から講演依頼が増え、この2年で国内、国外を含めて200地域に及んだと思います。
中国、韓国からもこの間何度も招聘を受けました。
そうした中で、広範な国民連合の皆さま方のそれぞれの地域での実践的で素晴らしい活動に多くを学ばせていただきました。
皆さんの活躍の重要性を痛感して今日に至ります。 昨年暮れの2日間にわたる第26回全国総会で、皆さま方の討論から本当に多くを学ばせていただきました。
山崎先生、鳩山先生からは中国、東アジアとの共同の重要性とアメリカからの自立の必要性を、孫崎先生や沖縄の方々からは地位協定改定の緊急性を、高野さんからはオリーブの木のような連合政権の提起を、菅野さんからは農業・食の重要性、原発災害の脅威、農業と食こそが国防の基礎にあるのだということ、そして長崎や青年団など多くの方々からSNSの危険性と重要性、長崎からは被団協のノーベル平和賞受賞による核廃絶の重要性、さらに若者・女性を包摂した運動の重要性、国際社会との連携や市民との平和運動の重要性を指摘していただきました。
その中から、現在の世界変動の中で、国際政治学者として最も重要だと思う柱の一つに、中国をはじめとする東アジアとの地域協力、東アジア共同体の構築の課題があるので、それらを踏まえて何点か述べさせていただきます。
第1は、現在世界は戦争か平和かという大変動期にあり、日本もその渦中にあるということです。
そこで何をなすべきか。世界中が戦争の動乱の中にあり、だからこそ日本だけが平穏であり続けることは不可能です。 ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ戦争が続く中、世界の戦争を止めること、即時停戦と平和を要求することが、東アジアの戦争を避ける、台湾海峡の戦争・日中戦争を避けるため、日中不再戦のために緊急不可欠であるということです。
そのために日本の最前線でミサイルを中国に向けて配備強行が進む沖縄、そこを全国の市民と自治体が支えて平和と繁栄の街にしていくこと、日本各地に配備されているミサイルと基地司令塔や米軍基地の拡大ないし置き換えに反対し、一人一人皆さんの地域から平和をつくっていくことが、今後の最大の目標になります。
 
沖縄を平和のハブに!東アジアの国連を沖縄、広島、長崎に!日本がG7とではなく、中国や韓国・グローバルサウスの国々と結び、世界の、東アジアの平和のセンターになる!という目標を第1に掲げたいと思います。
 
第2は、私たちの生活を守り、発展させ、21世紀のAI時代にふさわしい基盤をつくるということです。この課題は大変に多く、重く、かつ重要です。
シングルマザー、子供の貧困、低賃金と非正規雇用の蔓延、障害者や高齢者などの介護、社会保障の確立など、全国総会でも多く、一人一人が切々と言われたテーマですが、 本気で対応していかねばならない心が痛む課題であると思います。
国民生活の危機打開へ、共同した闘いを発展させましょう。
 
日本を世界の平和のブリッジに
 
広範な国民連合自身の課題につい夢のある具体的な提案もしたい。
まず、若者を呼び込むこと。
今回役員の半分を女性にしていただき、大変感謝しておりますし、今回の参加者の半数が女性です。
ただ若者はまだ少ない。
若者の仲間を増やすことを各県でそれぞれの目標にしてはどうでしょうか。
そのためにもSNSなどの活用です。
地域で若者によるSNS講座などを開いて、情報を広げていくやり方を若者から楽しく学ぶ、SNS講座をやる、などはどうでしょうか。
 
3番目はもう一度、世界との関係、世界の中の日本の経済社会の課題です。
この10年で、中国、韓国、台湾地域などが次々と日本を追い越すスピードで経済成長を遂げています。
今、世界は著しい勢いで成長しています。
日本は残念ながら、 データで見る限り大変な衰退です。
再浮上させなくてはなりません。
重要なのは、教育、福祉、賃金、食、SNS (より正確にはAI)、それから外国人労働者との共存、人権保障です。
その上で、戦後80年の展望に立ち、東アジアの平和と繁栄を、平和憲法のもとでつくり上げていく責任が、日本にあるのではないかと思います。
平和憲法がある限り日本は、先進国、米欧G7と、アジア・アフリカなどG20やグローバルサウスを結ぶ平和のブリッジになれます。
被団協のノーベル平和賞受賞をその契機にする。
北東アジア6カ国自治体連合に沖縄や山口、宮崎の各県が昨年オブザーバー参加し全国14県になりましたがこれを発展させる。
世界は大変動期です。
先進国も日本も、未来への芽もあちこちに見えます。
アメリカの軍拡主義と手を切り、新興国と戦争するのでなく、アジアの国々と結ぶことで、若者の未来、繁栄と平和を勝ち取ることができると確信します。
広範な国民連合が、中国、韓国、朝鮮民主主義人民共和国、 ASEANなど近隣国と結び、農業と食を守り、高齢者を守り、若者を育て、賃金を上げ、平和の旗手となって、市民の先頭に立って活躍する必要があります。
皆さまのますますのご活躍と幸せを心から願って、新年のあいさつとさせていただきます。
 
代表世話人
 
佐野 慶子 元静岡市議会議員
鈴木 宣弘 東京大学名誉教授
中村 住代 長崎代表世話人、元長崎市議会議員
西澤 清 東京代表世話人、元日教組副委員長
羽場久美子 青山学院大学名誉教授
原田 章弘 神奈川代表世話人、元横須賀市議会議員

再生産可能な農業所得確保ヘ 直接支払などを求め組織一丸となって運動展開する 北海道農民連盟委員長大久保明義

月刊 『日本の進路』 387 388 号 (2025年1月号)

再生産可能な農業所得確保ヘ
直接支払などを求め組織一丸となって運動展開する
                        北海道農民連盟委員長大久保明義
 
新年あけましておめでとうございます。
また、「広範な国民連合第話回全国総会」のご成功を心からお祝い申し上げます。
日頃より北海道農民連盟の活動に対しまして、ご支援・ご協力を賜り感謝申し上げます。
さて、近年の日本農業をめぐっては、安倍政権以降、経済効率優先や競争原理・貿易自由化の徹底を図る新自由主義に基づいた、農業を犠牲にする国際貿易交渉の推進のほか、生産現場の声を無視した農業・農協改革が次々と断行されました。
特に、圏内の主要な種を守る種子法の廃止や稲作経営の安定を図る水田活用の直接支払交付金の見直し、改正畜安法による生乳流通改革など制度・政策の改惑によって、家族経営など多様な農業者が存在する我が国の農業・農村に大きな影響を及ぼしてきました。
そうした中、世界情勢の不安定化で食料供給リスクが高まっていることを踏まえ、昨年の通常国会では、農政の憲法とされる「食料・農業・農村基本法」の改正案が提出されました。
法改正にあたっては、生産現場では圏内農業生産の増大を図る施策への転換が図られることに強く期待していました。
また、我々組織としても改正案への理解を深めるとともに、生産現場の声を踏まえた法改正となるよう農水省や与野党の国会議員に強く要請するなど運動を強化してきました。
しかし、これまで掲げてきた食料自給率目標が一度も達成されていないほか、国際貿易協定の進展や農業分野への競争力強化政策の推進による農家戸数の大幅な減少、生産基盤の弱体化などの課題を十分検証せずに、国民への食料の安定供給や食料自給率の向上など、食料安全保障としての本来の議論が欠如したまま、成立したことは誠に遺憾です。
また、基本法の一部改正案や食料供給困難事態対策法案などの国会審議においても、我々組織の要望を踏まえた立憲民主党などからの法案修正には一切応じず、与党などの賛成多数で可決するなど生産現場の想いとかけ離れた国会運営が行われてきました。
こうしたもとで行われた衆議院総選挙において、与党の議席数が過半数を下回る状況となりました。
これにより、これまで与党だけの一方的な国会運営が解消することが見込まれ、農林水産委員会においても野党が多数となったことで、対等な審議のもと生産現場に寄り添った政策の実現が求められています。
 
このため、本連盟としては、今後策定される次期食料・農業・農村基本計画などにあたって、農業予算の拡充とともに、農畜産物の生産維持・増大を基本とする政策の確立、再生産可能な農業所得を確保できる直接支払いなどを求め、組織一丸となって運動展開する所存です。
結びに、貴組織の益々の発展と活躍を心よりご祈念申し上げ、新年のメッセージと致します。

日本を変える!政治を変える 広範な連合を 全国事務局

月刊 『日本の進路』 387 388 号 (2025年1月号)

広範な国民連合 第26回 全国総会開催(11/30~12/1)
日本を変える!政治を変える 広範な連合を
                                         全国事務局
 
「自主・平和・民主のための広範な国民連合」は第26回全国総会を2024年11月30日と12月1日の両日、東京で開催した。
全国世話人と代議員、傍聴者およそ170人が全国から参加し、初日の「日本を変える!政治を変える!」大討論を踏まえ、二日間の真剣な討議で「戦争の危険と国民生活の危機打開」へ方針を定め、新しい全国世話人体制を確立した。
結成引年老迎えた広範な国民連合運動が新たなステージに立ちつつあることを確認できる総会となった。
ご来賓の方がたをはじめ広範な国民連合を献身的に支えてくださっている全国の仲間の皆さま方に改めてお礼申し上げ、概略を報告します。
 
求められる「持続可能で平和な自立の新しい国の力タチ」
 
総会は広範な国民連合結成の地であり、創成のために奮闘した故様枝元文初代代表世話人(総評議長・日教組委員長)の拠点であった日本教育会館で開催された。
開会あいさつで佐野慶子代表世話人は、「大討論」の開始に当たって次のように問題提起した。
世界は戦争の時代、東アジアでの戦争は何としても避けなくてはならない。中国などグローバルサウスが国際社会の前面に登場し、新しい国際秩序を創り出している。
自民党政権の対米従属政治、とりわけアベノミクスで貧富の格差は拡大し、国民の生活は疲弊しきっている。国民は危機的状況の打開を政治に求めている。
しかし、衆院選では野党各党も国民の求める展望は示さなかった。国民は、「持続可能で平和な自立の新しい国のカタチ」を求めている。
どう変えるか、どのように変えるか、刺激的な提起と弾けるような討論を期待する。
日中不再戦、「台湾有事を日本有事」にさせない山本正治事務局長が司会を務め「大討論」を開始、冒頭、山崎拓元自民党副総裁が来賓あいさつ。氏は「まもなく槌歳になりますが旧満州の大連で生まれ、その翌年1937年に底溝橋事件がありまして日中全面戦争が始まりました。
そういう運命的なこともあり、私は名だたる親中派をもって自認しており、私の最大の課題は『台湾有事在日本有事にさせないこと』だ」と切り出して大討論の一致点を「日中不再戦」で方向づけた。
二日間を通じて、「『日中戦争回避』この一点での政治家を含む幅広い共同が必要」は共通の認識になったと確認できる。
続けて鳩山由紀夫元総理が基調的な問題提起を行い、最後は「対米自立の政党形成」を呼びかけた(6ページに全文)。
さらに羽場久美子、孫崎亨、菅野孝志、高野孟の各氏が問題提起した。
また討論の冒頭、伊波洋一参議院議員、大椿裕子参議院議員、古市三久福島県議会議員、山内末子沖縄県議会議員、国連女性差別撤廃委員会に働きかけた沖縄の神谷めぐみさん、棚田一論日本青年団協議会事務局長もそれぞれの立場から発言した。
その後、午後5時半過ぎの閉会まで熱心な討論が繰り広げられた。在日華僑の凌星光福島県立大学名誉教授と、終了後の交涜懇親会に駆けつけた朝鮮総時国際局李泰栄さんからあいさつを受けた。
(報告集を1月中に発刊予定)
 
代表世話人に羽場久美子・鈴木宣弘両教授が
 
総会二日目は、冒頭、故人となった二人の代表世話人、角田義一(元参院副議長)と佐々木道博(京都府)両氏の貢献に感謝し、在りし臼をしのんで黙祷をささげた。
議長団は松尾ゆり(杉並区議)、森あやこ(福岡市議)、大谷篤史(農団労)の3氏が務めた。
まず、原田章弘代表世話人があいさつ、その後、全国事務局の川崎正が総会への「報告と提案」を行った。
続けて、地方組織のいくつかからの報告を受け午前中は終了した。
午後の討議は神奈川の山崎誠衆議院議員のエネルギー政策発言から始まり、北海道から沖縄までお人余が発言し熱心な討議が繰り広げられた。
川崎がまとめの発言を行い、補足も含めて一報告と提案」は満場の拍手で承認された。
その後、山本事務局長が代表世話人に羽場久美子青山学院大学名誉教授と鈴木宣弘東京大学名誉教授を推薦するなどの役員案を提案し、満場の拍手で確認された。
最後に新役員を代表して羽場新代表世話人が熱烈な新任あいさつを行
った。
中村住代代表世話人が閉会のあいさつし、二日間にわたった全国総会は無事成功裏に終了した。
 
まずは日米地位協定改定
 
総会ではまず、「めざすべき国家ビジョンをみんなでつくっていく」ととの重要さを多くの発言者が共通して指摘した。
そして「対米従属国家を自立の国に変える」点が強調された。
その上で自立の固に向かって当面、日米地位協定改定へ全国で動きをつくろうとの呼びかけが孫崎さんや沖縄、神奈川などから強く出された。
特に、地方議会意見書で政府に日米地位協定改定交渉を迫る動きは、石破首相の強い意向から見て実現を促す条件になるに違いない。