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2024年5月10日

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農業協同組合新聞 2024年4月23日【報告1】生協とJAの実践から「適正な価格形成」を考える 生活クラブ連合会顧問 加藤好一氏 一覧へ

農業協同組合研究会が4月20日に東京都内で開いた2024年度研究大会「基本法改正の下でわがJAと生協はこの道を行く」で行われた各報告の概要を紹介する(文責:本紙編集部)。

生活クラブ連合会顧問 加藤好一氏
生活クラブ連合会顧問 加藤好一氏

素性の確かなものを適正な価格で

生活クラブの最大の提携先の山形県遊佐町には
①健全な生態系があり、
②耕畜連携が機能し(平田牧場の糞尿等の活用)、
③周辺の一次産業や食品産業との密接な関係があり、
④都市生活者との提携、親密な交流がある。
適正な価格形成には生産者と消費者のこうした関係が必要であり、日常性が勝負だろうと思う。

 生活クラブの組合員数は約42万人。供給高は976億円で、1人1月当たりでは約2万円となっている。かつての半分に下がっているが、他の生協は1万円を下回っている状況だ。出資金は496億円で1人当たりでは10万円以上となる。
 活動テーマの中心は内橋克人氏が提唱したFEC(食料、エネルギー、ケア)自給ネットワークにW(ワーク)を加えている。ワークは組合員参加の新しい方法だと考えている。
 生活クラブには「安全・健康・環境」の原則があり、安全性の追求や自給率の向上、自然資源の持続可能な使用などを掲げているが、重要なことはこれらを生協による生産者への押し付けではなく、生産者の現状をふまえて丁寧に話し合い、いわばPDCAサイクルを回しながら一歩一歩進めていく。これが提携の基本だと考えている。
 私たちは「生産する消費者」という理念を重視している。生産する側と消費する側がもっと一体化するかたちを考えなければならないということから、かつて河野直践氏は「産消混合型協同組合」を提唱した。なかなか難しいことだが、山形県では生産者が主体となって組織している生活クラブがあり、それが産消混合型協同組合へ向けた第一歩ではないかと思う。
 「提携」について学んだのは一楽照雄氏だ。生産者と消費者が生活観を共有したうえで提携すれば取引上の値段は問題ではなくなる、価格は交換経済の意味ではないなどと言い、「提携10か条」を示した。
 そのひとつ「相互扶助の精神」では、提携の本質は物の売り買いではなく人と人との友好的付き合い関係である、と言っており「互恵に基づく価格の取り決め」10か条の1つにある。とにかくこうした視点がないと、まともな価格の議論ができないのではないかと思っている。
 さらに「相互理解の努力」では、提携を持続発展させるには相互の理解を深め友情を厚くすることが肝要でそのためには双方のメンバーが接触する機会を多くしなければならない、と提起している。まったくその通りだ。生活クラブは生産者交流会、産地交流会を重視し40万人の組合員のうち延べ7、8万人が参加しているが、これを緻密に組み立てていくことは提携の肝になることだと思っている。
 遊佐町との提携の特徴の一つは主食用米の消費減対策だ。今、日本人の米の消費量は年間50㎏程度になっており、生活クラブでも消費量は減っている。
 こういう厳しい状況のなかで2018年に国は生産調整政策を見直し、要するに米から撤退したが、それ以前から米の対策を考え、田んぼを田んぼで残すために1990年代から取り組んできたのが飼料用米である。
 生活クラブとして遊佐町の米を最大に食べていたときは15万俵を超えていた。現在は9万俵を切った。それぐらい主食用米の消費量が減った。それで考えたのが転作で現在は転作率は40%を超えている。それによって15万俵食べていたときの総水田面積をほぼ維持している。飼料用米だけでなく大豆やソバなども生活クラブの取引先が購入している。
 飼料用米は平田牧場が豚の飼料に配合して現在は34%配合している。1頭当たりの消費量は102㎏。これは200日間の量で配合割合が増えれば日本人がもっとも米を食べていた量を豚が食べることになり、これほどいい対応はないと私は思う。
 価格問題についてわれわれはどう考えてきたか。多くの生協や量販店は、「より良いものをより安く」だ。しかし、より良いものとは誰が決めるのか。より安くというのは生産者に負荷がかからないか。結局、この路線は組合員の顧客するだけではないかと考えた。
 そしてわれわれとしては「素性の確かなものを適正な価格で」をキャッチコピーにした。素性の確かさと適正な価格は一人ひとりの判断に基づくものだ。自分で考えて自分で行動する主体を着実に大勢にする。内橋克人氏は「自覚的消費者」と言った。モノの値段は安いに越したことはないが、なぜそうなっているか分かっている消費者だと提唱した。
 「合理的な価格」の議論ではもっぱら物財費だが、労働費も補填すべきと田代洋一氏が指摘し、そのためには価格転嫁だけではどうにもならず国の直接支払いが不可欠と主張している。私も正論はこれしかないと思う。離農が増えているというときに、即効性がなければ間に合わないからだ。
 しかし、直接支払いは私たちにはできないため、遊佐町との提携のように主食用以外の転作作物も組み合わせながら、価格と量について双方が納得できる合意点を見出すことになる。「素性の確かなものを適正な価格で」に向けてこれからも一歩一歩取り組んでいきたい。