目次
活動紹介の目次
【訃報】日本飼料用米振興協会の加藤好一副理事長が7月13日、心不全により逝去されました。66歳でした。お別れ会については、後日ご連絡いたします。ご冥福を祈ります。
2024年3月25日の「飼料用米普及のためのシンポジウム2024」の最後の閉会の挨拶です。
新農業基本法と飼料用米 - 閉会のご挨拶にかえて
一般社団法人 日本飼料用米振興協会
副理事長 加藤好一
数年前のことだが、東大農学部の鈴木亘弘東大院教授の研究室にお邪魔したとき、先生が最近農水省や国が、「食料自給率」という言葉を使わなくなっている、という主旨の感想を述べられていた。
「食料自給率」は私たちにとって最重要の言葉で、先生のつぶやきは気にはなったが、その時はうかつにも聞き流してしまっていた。
しかし今、先生のこのつぶやきが重大な意味を持っていたことがわかる。
それは農業基本法(食料・農業・農村基本法)をめぐるこの間の国の議論と動向である。
この法が制定されたのは1999年である。
この時代、食料で困る状況など想定できなかったし、日本経済もまだ強かった。
しかし25年が経過した今日、その状況は一変した。
飼料や肥料、燃料の暴騰など生産者の経営は圧迫され、廃業もあとを絶たない。
ただでさえ、生産基盤(担い手・農地)が深刻すぎる状況にあり、そのなかでのことだ。
つまりその意味で新基本法制定は必然なのだ。
しかし東大大学院の安藤光義教授は、新基本法は「新機軸が乏しい。前回の改正は日本型直接払いにつながる制度が用意されていた。今回は目玉がない。新たな予算措置を伴う施策は極力避けているように見える」。(日本農業新聞:2/28)
私も新基本法は問題が多いと思っている。
鈴木先生はあるところで(「農業基本法の現在地」/月刊「日本の進路」)、「新基本法の原案には食料自給率という言葉がなく、『基本計画』の項目で『指標の一つ』と位置づけを後退させ、食料自給率向上の抜本的な対策の強化などには言及されていない」、と書かれている。
これまで自給率目標を掲げてきたが低下する一方で、この間、その総括も対策もなかった。
わが国は「食料自給」という問題を、意図的に忘却しようとしているかのようだ。その結果、「食料の安全保障」という問題意識もその裏づけが希薄になる。
また「食料自給」の問題では、「種」の自給と自家採取、自家増殖の問題も重要だ。
加えて日本農業新聞は、新基本法に基づく農水省の戦略として、「農地の受け皿となる農業法人に農地の集積・集約化を加速し、先端技術を活用して、農作業を大幅に省力化。
食品メーカーをはじめ外部から農業への投資を呼び込み、農業を食料産業化する」ことにあると報じている(2/29)。
いずれにしても、このあたりの問題が、まずは新基本法の本質的な問題だろう。
こういう認識が根底にある以上、飼料用米が積極的に位置づけられることはないだろう。
しかしこの問題に入る前に、戦後農政の本質を振り返っておく必要がある。
ここでも鈴木先生のご主張をお借りする。
「戦後の米国の占領政策により米国の余剰農産物の処分場として食料自給率を下げていくことを宿命づけられた」(同上)、いわば米国の51番目の州、それがわが国である。
つまり稲作中心の農業になっていったのは米国発の日本の国家政策だった。
これをいまの政治家や官僚は忘れている。
私のように60代以上の年代の、学校給食のメニューを思い出そう。
コッペパンと脱脂粉乳。その背景にはこういう事情があった。
いま農水省は水田の畑地化を推進したいようだが、もちろんこれを全面的に否定するつもりはない。
しかしこれが声高になるにつれ、国は水田農業からの撤退(食料自給率の軽視)を考えているのではないかと懸念する。
水田は水田として最大限維持され、その結果としていわゆる多面的機能も維持される。
これがおかしくなれば昨今の日本の地方経済を支えるインバウンド(外国人訪日客)にも影響が出るのではないか。
地方経済というならば、水田を中心とする農業をどうしていくかが最重要な問題のはずだ。ここに飼料用米の役割や重要性が明確に位置づけられなければならない。
しかし畑地化とともに大規模化、輸出、スマート農業を強調する昨今の農政は、問題ありと言わざるをえない。
飼料用米の助成金単価の引き下げと、品種問題(多収専用品種への誘導)がその根っこの一つだ。ちなみに24年産転作作物の作付け動向によれば、すでに飼料用米は25道府県が「減少」の意向だという。
これは結果としてこうなったという問題ではない。
ここには明らかに政治的な意図が感じられる。由々しき事態だ。
水稲生産者にはやはり米を作ってもらう。
これこそが農政の基本だろう。
さて私見を中心に、るる述べてきたが、当協会の基本的な考え方は、本日のシンポジウムで信岡誠治理事(元東京農大教授)から表明していただいた。
飼料用米が正念場の状況にあるなか、これを今後の当協会の活動の指針としていく所存である。
また本シンポジウムでも、各方面から貴重なご意見や当協会に対する連帯のご挨拶を賜った。感謝申し上げたい。
今後とも皆さんの当協会に対するご支援・ご指導をあらためてお願い申し上げ、本シンポジウムを閉じさせていただく。
本日のご参加、まことにありがとうございました。
新農業基本法と飼料用米 閉会のご挨拶に代えて 副理事長 加藤好一ダウンロード
【シンポジウム】(第10回:通算17回目)飼料用米普及のためのシンポジウム2024
下記は2016年以前のシンポジウムやイベントの紹介です。2024年も見れます。
法人化 第1回(通算第8回) 飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会
~ 飼料用米普及のためのンポジウム 2015 ~
法人化 第1回(通算第8回)
飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会
~ 飼料用米普及のためのンポジウム 2015 ~
日時:2015年3月20日(金)11時~17時
会場;東京大学 弥生キャンパス 農学1号館8番教室
主催:一般社団法人 日本資料用米振興協会 JFRA ジャフラ
詳細:パネル展示 (3階/農経会議室) 11時~12時30分
シンポジウム (農学第1号館 2階/8番教室) 12時55分~17時
懇親会(意見交流会)
会場:東京大学消費生活協同組合農学部食堂 17時30分~(3,500円)
案内ポスター・参加申込書.pdf
開催詳細内容
主催 一般社団法人 日本飼料用米振興協会
後援 農林水産省
協賛:全国農業協同組合連合会、日本生活協同組合連合会、東都生活協同組合、
生活協同組合連合会コープネット事業連合、中野区消費者団体連絡会、
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、特定非営利活動法人未来舎、
木徳神糧株式会社、公益社団法人中央畜産会、一般社団法人日本鶏卵生産者協会
主題 食料自給率向上による食料安全保障の確立を目指そう
飼料用米の大量増産と日本型循環構築連携の事例に学ぼう
参加(出席)費 無料
参加(出席)者 170名
生産者団体(農家、酪農、養鶏卵)、飼料事業者、流通事業者、消費者団体等、
研究者、学生、主婦
実施進行次第 会場内掲示.pdf
12:30 開場
12:55 開会 総合司会 若狭良治 (特定非営利活動法人 未来舎副理事長) 日本飼料用米振興協会 運営委員
挨 拶 一般社団法人 日本飼料用米振興協会
代表理事 海老澤惠子 (10分)
※ 開会挨拶.pdf
基調講演
「飼料用米の利用推進について」 (25分)
農林水産省生産局畜産部畜産振興課草地整備推進室 田中誠也 室長
※ 講演資料.pdf
「米の需要拡大に向けた品種開発」 (25分)
全国農業協同組合連合会 営農販売企画部 飼料用米対策課 遠藤 雄士 課長
※ 講演資料.pdf
「飼料用米の生産から消費までの流通に携わって~課題と解決の方向~」 (25分)
木徳神糧株式会社 グループセールス事業部 木村友二郎 部長
日本飼料用米振興協会 運営委員
※ .講演資料pdf
特別講演
「食の自給率向上と安全保障」
東京大学大学院 国際環境経済学研究室 鈴木宣弘 教授 (30分)
※ 講演資料.pdf
鈴木宣弘教授 参考資料 「食糧自給率を軽視するのは誤り」.pdf
事例報告
「耕畜連携による自給飼料増産の取り組み~水田フル活用を目指して~」 (25分)
有限会社アイデナエンタープライズ/有限会社 高秀牧場 高橋憲二 代表取締役
※ 講演資料.pdf
「コープネットグループにおける「お米育ち豚」プロジェクトの実践報告」 (25分)
生活協同組合連合会コープネット事業連合 執行役員 小林新治 政策推進室担当
※ 講演資料.pdf
※ コープネット事業連合の案内 コープネット事業連合案内.pdf
質疑応答 (30分)
コーディネーター 東京農業大学農学部畜産学科 信岡誠治 准教授
日本飼料用米振興協会 運営委員
閉会の挨拶に代えて
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 加藤好一 会長 (15分)
日本飼料用米振興協会 運営委員
※ 挨拶資料.pdf
超多収穫米普及連絡会(通算7回目) 最後のシンポジウムです。
飼料用米を活かす日本型循環畜産推進交流集会(第6回) 日時:2013年3月23日 (土) 午前11時~午後5時半 場所: 東京大学弥生講堂・一条ホール 東京都文京区弥生 1-1-1 東京大学弥生キャンパス内 主催 超多収穫米普及連絡会 協賛 日本生活協同組合連合会・パルシステム生活協同組合連合会・生活クラブ事業連合生活協同組合連合会・東都生活協同組合・(一社)日本鶏卵生産者協会・(社) 日本草地畜産種子協会 協力 東京大学消費生活協同組合 1.目次 2. 記念講演 3.実践報告 「循環型超多収飼料米生産のグローバル的意義」 東京大学大学院農学国際専攻 教授 農学博士 鈴木 宣弘氏 「耕畜消連携で飼料米生産支援に取り組む生協」 パルシステム生活協同組合連合会産直推進部部長 高橋 宏通氏 東都生活協同組合商品部食品グループマネージャー 近藤慶太氏 「生産者と消費者の提携が育んだ飼料用米」 庄内みどり農業協同組合 営農販売部 那須耕氏 「飼料用米を給与した 『こめ育ち豚』 の評価」 (株)平田牧場 池原 彩氏 (生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 提携) 「稲作農家と畜産農家が連携した地産地消の取り組み」 茨城県石岡市経済部農政課主幹 島田 智弘 氏 内外食品株式会社顧問 木村 友二郎 氏 4. 生協の飼料米生産支援全国調査報告 日本生活協同組合連合会 会員支援本部 内山 和夫 氏 5. パネル討論 [コーディネーター〕 東京農業大学農学部准教授 信岡 誠治 氏 <開催要領 プログラム> 第1部 11時~12時30分 試食コーナー: 飼料米給餌の鶏卵、鶏肉、豚肉・加工肉、 牛乳の試食・試飲 展示コーナー: 飼料用米の生産・給与・普及活動、 飼料用米の試験研究成果などをパネル展示で紹介 第2部 12時45分~17時30分 飼料用米を活かす日本型循環畜産の発展をめざして消費者、稲作農家、 畜産農家、 生協関係者、研究者などが報告し、会場の参加者も含めた討論集会を行います。 司会・進行 (一社)日本鶏卵生産者協会 菊池 実 氏 主催者挨拶 超多収穫米普及連絡会 共同代表 石澤 直士 氏 挨拶 農林水産省生産局畜産部草地整備推進室長 小倉 弘明 氏 実践報告 「耕畜消連携で飼料米生産支援に取り組む生協」 パルシステム生活協同組合連合会産直推進部部長 高橋宏通氏 東都生活協同組合商品部食品グループマネージャー 近藤慶太氏 「生産者と消費者の提携が育んだ飼料用米」 庄内みどり農業協同組合 営農販売部 那須 耕司 氏 「飼料用米を給与した 『こめ育ち豚』 の評価」 (株)平田牧場 池原 彩氏 (生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 提携) 「稲作農家と畜産農家が連携した地産地消の取り組み」 茨城県石岡市経済部農政課主幹 島田 智弘 氏 内外食品株式会社顧問 木村 友二郎氏 生協の飼料米生産支援全国調査報告 日本生活協同組合連合会 会員支援本部 内山 和夫 氏 <休憩> 記念講演 「循環型飼料米生産のグローバル的意義」 東京大学大学院農学国際専攻 教授 農学博士 鈴木 宣弘 氏 パネル討論 〔コーディネーター〕 東京農業大学農学部准教授 信岡 誠治 氏 [パネラー] 東京大学大学院 国際環境経済学研究室教授 鈴木宣弘 氏 主婦連合会会長 山根 香織 氏 農林水産省生産局畜産部草地整備推進室長 小倉 弘明 氏 パルシステム生活協同組合連合会産直推進部部長 高橋宏通 氏 庄内みどり農業協同組合 営農販売部 那須耕司 氏 (株)平田牧場 池原 彩 氏 閉会挨拶 生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 会長 加藤 好一 氏 |
平成25年(2013年)2月26日「平成24年度飼料用米シンポジウム」(第5回) ~耕畜消の連携による利活用の拡大をめざして~ と題して、九州大学西新プラザ(福岡市早良志西新2-16-23)で開催しました。 第5回は全国飼料増産協議会と社団法人日本草地畜産種子協会、共催は農林水産省九州農政局として、超多収穫米普及連絡会は加わっておりません。 |
平成23年度飼料用米シンポジウム(第4回) ~飼料用米の利活用拡大で日本の農畜産業の明日を創ろう~ 日時 平成24年3月14日(水) 11:00 16:30 場所 新宿区立牛込箪笥区民ホール 東京都新宿区牛込 16 主催 全国飼料増産協議会・社団法人日本草地畜産種子協会 協力 超多収 米誉及連絡会 後援 農林水産省 |
2012 年3 月14 日 第4回 飼料用米利活用シンポジウム 概要報告 |
第4回 飼料用米利活用シンポジウム 概要報告 2012 年3 月14 日 超多収穫米普及連事務局 飼料用米の利活用拡大で、日本の農畜産業の明日を創ろう! 2011 年の飼料用米の作付面積は3 万ヘクタールを超え、わずか5 年間で300 倍以上にまで急速に拡大しております。 シンポジウムは、急増する飼料用米について、各地の取組み事例を紹介することにより、飼料用米の利活用の定着・拡大を図るとともに関係者の皆様の実践交流を行なう場として位置づけました。 併せて今回 、東日本大震災後の原子力発電所事故により、飼料用米を含めた農産物の放射性物質による汚染に対する不安が高まっていることから、放射性物質と農産物の安全性についても議論しました。 主 催:全国飼料増産協議会、(社)日本草地畜産種子協会 協 力:超多収穫米普及連絡会 後 援:農林水産省 日 時:2012 年3 月14 日(水)午前11 時~午後4 時40 分 場 所:新宿区立牛込箪笥区民ホール 参加者:220 名 午前11 時~ 飼料米生産・給餌や飼料米育ち畜産酪農製品普及活動のパネル展示 及び飼料米育ちの牛乳・ソーセージ・ロールケーキの試食・試飲 すべて好評だったが特に飼料米を15%給餌した黄金育ち牛乳のすっきりした美味しさが大好評。 メディア各社もこぞってカメラに収めていた。 午後1 時~シンポジウム ○主催者挨拶: 日本草地畜産種子協会 野口専務理事 農水省生産局畜産部 小倉草地整備推進室長 ○講演「飼料米の生産利用をめぐる情勢と原発事故への対応について」 農水省 生産局畜産部畜産振興課 小宮 英稔 課長補佐 2011 年度飼料米の全国作付面積は、戸別所得補償制度(10a 当8 万助成)の威力で3 万4 千ha、前年比230%と伸長したが2011 年度全国平均10a 当収量は539kg(玄米)で2008 年以降低下が続いている。 今後の飼料米普及の重点施策は戸別所得補償の10a 当8 万をより効果的に活かすために全国各地域に適合する多収品種の作付と栽培技術の普及による単収向上及び生産費低減を一層重視する。 * 現場からは、戸別所得補償制度の飼料米生産奨励助成単位を面積当から収穫量実績基準への転換するよう複数の要請。 東電原発事故での放射能汚染対策では牛の飼料米・飼料作物の暫定許容値を100Bq/kg に引き下げて100Bq 超の飼料米が利用されないよう指導を徹底する方針である。 * 汚染農地の除染対策では、5,000Bq/kg 超の農地は表土除去と反転耕による除染を重点的に進め、5,000Bq/kg 以下では反転耕による低減や炭酸Ca 投与によるPH6.5 維持及びカリウム投与による作物への放射性セシウム移行抑制を推奨して放射セシウム濃度の低減化を推進していく。 講演「放射性物資汚染後に食品安全のため取組んだこと」 日本生協連品質保証本部 内掘 伸健 本部長 放射線被爆への全国の組合員の不安に応え、正確な情報を分かりやすく伝えることを徹底しつつ、国に対しては国民の生命と健康を最優先に国民の被爆線量を減少させる総合対策の実施や100mlSV 未満の放射線濃度についても健康リスクの程度を明示すること等を要請してきた。 コープふくしまの組合員対象に5・6月に学習・説明会を実施し、疑問にお応えした。 事例発表、信岡 誠治 東京農業大学准教授を座長として進行。 事 例1 飼料米生産事例「多収穫栽培と品種混入問題を解決し、耕蓄連携を進める取組み」 岩手県八幡平農業改良普及センター 農産環境チーム 門間 剛 氏 2008 年に八幡平飼料米利用協議会とエサ米研究会が設立され、八幡平市の転作田2,000haのうち、2011 年度に177ha、2012 年度には500ha に多収品種系飼料用米生産が拡大してきている。 (1) 耕蓄連携で牛糞堆肥(2t/10a)と豚糞堆肥(0.4t/1)を主体に600kg~700kg/10a 超の単収が40%となっている。 化成肥料の経費を45%~85%削減している。 (2) 水田を特定して主食米の田植えが終了している6月下旬に作付け。収穫後、籾米をフレコンに収納して主食米の調製が終了したカントリーエレベーターで期日を指定して乾燥・調製する。 (3) 保管はフレコン入り籾米のままカントリーエレベーターや専用の保管施設で行い、混タミネーション防止を徹底する。 (4)鉄コーティング直播栽培を昨年度から導入し、一層の低経費・多収穫生産を追求する。 *収穫量向上に向け、戸別所得補償制度の交付金を収量基準に変換するよう希望する。 事 例2 飼料米利用事例「豚の餌からソーセージまで ~自給へのこだわり~」 岐阜県 菖蒲谷牧場 山川 忠一郎 代表 地元の飼料米で育った地元の豚を加工肉と共に地元で製造販売、目に見える生産が支持されて地産地消が定着している。飼料米の破砕玄米を60%給餌、豚肉の脂肪がきれいな白になり、すっきりした旨味が受けている。 ☆地域の小学校児童を対象に飼料米刈り取り、餌への加工、ソーセージ作から試食までを体験できる取り組みを通して地産地消のよさを子どもたちが理解できる活動を継続していく。 事 例3 飼料米利用畜産物の普及事例「飼料米利用畜産物の普及拡大への取組み」 生活協同組合 コープさっぽろ 山口 敏文 専務理事 黄金育ちの畜産物を《*田んぼがよみがえり、道内の農村に活気 *CO2排出を削減 道内飼料米の耕蓄消連携での生産・販売 *より安全・安心 ポストハーベスト農薬不要》 の基本コンセプトで〈継続・進化〉できる取り組みとしてブランド化して行く。 2011 年に耕蓄関連38 生産者団体、飼料・食品・農機具メーカー18 社に行政・研究8団体と連携し計66 団体で新規需要米協議会を設置、生協では部門横断の「飼料米対策P」を発足させて戦略部門として位置付けて推進。 オレイン酸増加、リノール酸減少によるコレステロール低減効果及び牛ロース肉の脂肪分4%増を合わせた品質の優位性を科学的に実証し、組合員の支持拡大を軸にして本格的開始2年目で鶏卵・肉、豚肉、牛乳、牛肉の5部門で飼料米給餌を実施し、飼料米生産支援面積300ha に拡大。2012 年からの戦略的展開でホワイトマヨネーズ、ウインナー、ハンバーグ、アイスクリーム、チーズ等黄金育ち畜産物加工品の新開発推進と販売エリアの拡大で飛躍的な黄金育ち畜産物のブランド化拡張が期待されている。 ☆今後の重点課題として (1)ha 当7~8tを安定して収穫できる北海道に適合した多収品種の追求、 (2)黄金育ち畜産品ブランドの定着拡大 (3)戸別所得補償制度の継続と充実、とりわけ飼料米の収穫量増を促進できる制度への充実を期待する。 まとめとしての信岡座長の提起 (1) 戸別所得補償制度における飼料用米生産の交付金のあり方については面積基準から収量基準への転換が求められている。2~3 年後には見直しがされるであろう。 (2) 全国の主要生協での飼料米生産支援が組合員の支持で大きく広がり、飼料米の全国生産量が10 万tを超えた。2011 年度実績を見ていた大手量販店においても飼料米給与畜産物の販売やマーケティング作戦が検討されている。この勢いが続き飼料米生産量が増産されていけば量販店での飼料米給与畜産物の販売の加速が間違いなく予測される。 文責:遠藤和生 飼料米生産支援及びシンポジウムへのご協力に感謝申し上げます。 3 月14 日、標記シンポでは飼料米生産・給餌・製品普及の各活動報告が非常に創造的に行われました。 その特徴は、 第1 にコープさっぽろさんによる急速な生産支援の広がりと黄金育ち牛乳のすっきりした美味しさが大好評でした。 第2 に戸別所得補償制度に於ける飼料米生産奨励助成基準を「収穫量単位」に変換してとの要望が昨年に続き、生産者と生協の双方から強く出されたことです。 第3 は、生協での飼料米生産支援の全国的広がりが大手量販を刺激し、量販店での飼料米給餌蓄酪製品の販売指向が現れていることです。 (東農大信岡誠治准教授のご指摘) 飼料米の作付面積が全国で前年比148.6%、3 万4 千ha に伸長している反面、単収は4年連続で減少しているなかで、生協が支援している全国平均ha 当収量昨年度実績は前年と前々年より増加しています。 飼料米を一層普及して行く上で飼料米の超多収・低経費生産普及が不可欠です。 今後も皆様との情報交流を進め、耕畜消連携強化による飼料米の超多収・低経費生産を広めていきましょう。 標記シンポの報告文と飼料米生産支援全国調査結果表(コープさっぽろさんも集約)を添付しますのでご参照下さい。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~ 超多収穫米普及連絡会事務局 遠藤和生 〒192-0354 八王子市松が谷22-1-4 電話・FAX 042-676-5363 |
平成23年度(2011年)飼料用米シンポジウム(第3回)
2011年1月27日プログラム 会場 ホテルグリーンプラザ大阪アネックス 大阪市北区中崎西2—3-21 TEL 06-6374-1535 開催要領(プログラム) ◆第一部展示と試食 11時~12時45分 全国各地の飼料用米の取組み事例・研究成果のパネル展示 及び 飼料用米を給与した畜産物の試食 ◆第二部シンポジウム 13時~17時 ■Ⅰ基調講演 「飼料用米を活かす日本型循環畜産が日本の農業を変える」 東京農業大学准教授 信岡誠治氏 ■Ⅱ事例報告 1飼料用米生産の事例 JAひたち野(茨城県)水田農業担当島田大久氏 2飼料用米給与の事例 滋賀県飼料米利活用推進協議会会長中村利男氏、同事務局長佐原正哉氏 3首都圏における消費者と連携した取組みの事例 生活クラブ生協連合会会長加藤好一氏 4消費者と連携した取組みの事例 京都生協産直・地産地消推進担当福永晋介氏 ■Ⅲパネルディスカッション 座長 社団法人日本草地畜産種子協会会長 信國卓史 パネラー上記講演者・報告者、農林水産省担当官 |
第2回 飼料用米を活かす日本型循環畜産実践交流集会
第2回 飼料用米を活かす日本型循環畜産実践交流集会2010 開催要領 ◆ 1. 趣 旨 飼料用米については、配合飼料価格が今後とも高水準で推移する可能性がある中 で、輸入飼料に代替できる新たな国産飼料として期待されており、また、水田利活 用の推進にも繋がります。 これまで、農林水産省や日本草地畜産種子協会では、「飼料用米導入定着化緊急 対策事業」により、各地域における飼料用米の利活用に関する実証調査等を支援し た結果、各地域で飼料用米の生産・利用・消費に関する効果的な知見が集積されつ つあります。 そこで、これらの成果を関係者に広く共有いただき、22年度のさらなる拡大に 繋がるよう、飼料用米の生産者、利用者、流通関係者、消費者、普及指導員、学識 経験者等を参集し、我が国における資源循環型畜産の構築を目指して本実践交流集 会を開催することとします。 ◆2.日 時 平成22年(2010)3月12日(金) 11時~17時 ◆3.場 所:江東区文化センターホール(地下鉄東西線東陽町下車徒歩5分) ◆4. 内 容 第1部:飼料用米取組成果展示会(11時~13時) 飼料用米の給与畜産物の試食、各地域の取組事例や試験研究成果の紹介 (パネル展示と説明、パンフレット配布等) 第2部:シンポジウム(13時~17時) ◆5. 参集者:耕種農家、畜産農家、消費者、生産者団体、消費者団体、畜産関係団体、 都道府県、普及指導センター、試験研究機関、地方農政局、マスコミ関 係者 等(参加予定人数500人) ◆6. 主 催 者 :日本草地畜産種子協会 協力団体 :超多収穫米普及連絡会 後 援 : 農 林 水 産 省 プログラム ◆Ⅰ 飼料用米取組成果展示会(11時~13時) 1.飼料用米給与畜産物(玉子、鶏肉、豚肉、牛乳)の食べ比べコーナー 2.飼料用米の取組に関するPRコーナー(チラシ、パンフレットなど) 3. 消費者団体の飼料用米への取り組みコーナー(パネル展示と説明) 4.飼料用米の研究成果コーナー(パネル展示と説明) ◆ Ⅱ 飼料用米の生産・利活用・消費に関するシンポジウム(13時~17時) 1.挨 拶(13時~13時15分) 農林水産省 山田 正彦 副大臣、 超多収穫米普及連絡会、日本草地畜産種子協会 2. 基調講演(13時15分~14時) 東京農業大学農学部准教授 信岡 誠治 氏 3. 取組事例発表(14時~15時) ・多収飼料用米栽培農家 矢野 匡則 氏 ・飼料用米給与畜産農家 鈴木 明久 氏 ・昭和産業株式会社 飼料畜産部レイヤーチーム 多田井 友輝 氏 ・京都生活協同組合 産直・地産地消担当 福永 晋介 氏 (休憩15分程度) 4.パネルディスカッション(15時15分~17時) パ ネ ラー: 農林水産省 山田 正彦 副大臣 全国消費者団体連絡会 事務局長 阿南 久 氏 日本養鶏生産者協会 飼料用米委員 石澤 直士 氏 基調講演者、事例発表者 コーディネーター:日本草地畜産種子協会 会長 信国 卓史 氏 5.閉 会(17時) |
◆飼料用米利活用シンポジウム 日時 平成21年11月4日(水)12:00~16:30 主催 日本草地畜産種子協会 会場 さいたま市文化センター(さいたま市) |
第1回 超多収飼料米が畜産大パニックを防止するシンポジウムのレポート
X 042‐676‐5363 E-MAIL roots1124@yahoo.co.jp
◆第1回 「超多収飼料用米が畜産・大パニックを」防ぐシンポジウム プログラム(報告者・役割分担リスト) 映像YouTube テキスト PDF パネル討論(左奥から) コーディネータ ㈱NERC(自然エネルギー研究センター)取締役・東京支所長 若狭 良治 パネラー 東京農業大学 農学部 畜産マネジメント学科 准教授 信岡 誠治 博士 畜産農民全国協議会 会長 森島 倫生 共同代表(全国養鶏経営者会議 会長)石澤 直士 家庭栄養研究会 「食べ物通信」 (全国消団連運営委員) 副会長 蓮尾 隆子 生活協同組合事業連合会 生活クラブ生活協同組合連合会 会長 加藤 好一 東京農業大学 農学部 畜産マネジメント学科 准教授 信岡 誠治 博士 第1回「超多収飼料用米が畜産・大パニックを防ぐ」シンポジウム 日程 平成20年(2008年)11月28日(金) 会場 市ヶ谷 エデュカス東京 講堂 12:30 準備開始 13:00 開場、参加者受付開始 13:30 開会挨拶 中野区消団連 海老沢恵子 役員 13:35 主催者挨拶 共同代表(前国立市長) 上原公子 13:45 生協(連合会)からの活動報告 生活クラブ連合 (庄内みどり農協営農統括課)佐藤秀彰 課長 東都生協商品部畜産チーム 福田 勇チームリーダー パルシステム連合会産直事業部 那須 豊 課長 14:15 特別報告「超多収飼料米が畜産と水田を救う」 東京農業大学 農学部 畜産マネジメント研究室 准教授 信岡誠治 博士 14:45 休憩・カンパの訴え 中野区消団連 海老沢恵子 役員 14:55 パネル討論 コーディネータ ㈱NERC(自然エネルギー研究センター)取締役・東京支所長 若狭 良治 パネラー 生活協同組合事業連合会 生活クラブ生活協同組合連合会 会長 加藤 好一 家庭栄養研究会 「食べ物通信」 (全国消団連運営委員) 副会長 蓮尾 隆子 共同代表(全国養鶏経営者会議 会長)石澤 直士 畜産農民全国協議会 会長 森島 倫生 東京農業大学 農学部 畜産マネジメント学科 准教授 信岡 誠治 博士 パネルディスカッション、質疑応答 超多収飼料米の生産を本格的に全国に拡大させる“減反から増反へ”の運動を定着させる上で安全性 が高くて食量自給率を高め、地域農業への経済効果・耕畜連携循環型地域農業を大きく前進させる現 実効果を強調することがポイントとなる。 16:50 アッピール提案 中野区消団連 海老沢恵子 役員 17:05 閉会挨拶・今後の行動提起 共同代表(主婦連 参与) 清水鳩子 参加者 150名 生協・消費者団体関係者(日生協はじめ2事業連合、8生協、7消費者・環境保全団体) 63名 生産者・農協関係者 28名 農畜産業界・行政関係者(うちメディア・取材15社) 34名 大学・研究者関係(うち学生20名) 25名 参加費収入額 40,700円 カンパ 27,880円 「“超”多収飼料米が畜産・大パニックを防ぐ」シンポジウム呼びかけ文 ●‘08年2月までの3年間で畜産・酪農生産者の11.5%、14,490戸が廃業!“ ・9月以降、牛乳が品薄になる恐れが出てきた。」(酪農生産者団体からの声、日本経済新聞’08・8・22) ・鶏卵1 ㎏を生産するのに30~50円の赤字が出る!」(日本鶏卵生産者協会調べ) ・今年出荷した(和牛)13頭は、1頭10万円以上の赤字を出し続けている。」 (宮崎県都城市の和牛生産者、日本農業新聞’08・6・12) ●政権投げ出し内閣が打ち出した緊急対策は、飼料暴騰分の限定補填と、生産者乳価の1キロ30銭引き上げ、鶏卵補填基準価格の6円引き上げ等に留まり、抜本策を打ち出せず、『畜産物の生産コスト上昇分を小売価格に転嫁させて乗り切る』(’08・6・12政府の緊急追加対策決定、6・13日本農業新聞)という内容です。しかも限定補填の中身は無利子の貸付に過ぎません。販売価格に転嫁できない生産者は一体どうなるのでしょうか?! ⇒家畜は生きているから、えさを断つことなど断じて出来ない!! ●給与所得が1998年以来9年連続で前年を下回り続けている消費者の大多数はガソリン ・代、食料品と日用品の相次ぐ大幅値上げで家計は火の車!! ⇒ 農水省が先ず飼料代の暴騰分を全額補填することが畜産・大パニックへの拡散を防ぐ第一歩なのです!!⇒「食の安全を国民に保障し、食料自給率を50%に高める」と言う政権投げ出し内閣の公約を引き継いでいる麻生内閣が景気対策としても実行できないことはありません。⇔『一国の安全保障の大前提は基本食料の自給にある。』これは世界の鉄則です。従ってEUに習って水田減反政策を廃止し、汚染米流通の根源であるミニマムアクセス米の輸入を直ちにストップさせることが不可欠となります。 ⇒さらに、穀物先物市場への投機ファンドの投機を禁止させる実効策を実行できるよう日本はEUや米国と協調して行動すべきです。 ⇒その上で超多収飼料米の本格的作付を全面的にバックアップする実効策を打ち出すことが確実な抜本対策となるのです。→転作水田115万haのうち2万haにMA米相当分の主食用米を、そして95万haの面積で超多収飼料米を作付けできれば飼料用籾米900万t以上、粗飼料用稲藁900万t以上が確実に生産可能と言われています。*この施策で決定的に重要なのが「“畜産堆肥で栽培した飼料米を家畜に給餌する活動を助成する”耕畜連携水田活用対策事業」の全蓄種での完全実施です(現在は乳牛と肉牛だけに限定)。 ⇒耕畜連携により超多収飼料米を生産すれば籾米と稲藁がそれぞれ10アール当1トンずつ確実に生産できることが東京農業大学畜産マネジメント研究室や各地の耕畜連携栽培で実証されています。 ○減反水田の全面活用により米の完全自給と飼料自給率の大幅な向上が確実に実現できるのです!! (都市部の団塊世代による農作業支援も重要と考えられます。) ☆☆日本の食料自給率を4%高め、飼料用コーンの輸入代金4,500億円が全国の地域農業に還元されて農村が間違いなく再生されます。穀物の先物市場への投機が国際的に禁止され、日本の水田の全面活用による主食米の完全自給及び飼料米と稲藁、他の遊休農地での飼料用作物を合わせて1,000万トン以上の飼料穀物と粗飼料の生産が可能となります。それらの実行が穀物相場を確実に沈静化させるファクターとなるのです!! ◎ 呼びかけ人 (11/28現在、敬称略、50音) 浅井民雄(有機農産物普及・堆肥化推進協会副理事長) 井口信治(東京福祉環境会議理事長) 伊藤和夫(鶏卵肉情報センター専務取締役) 上田四郎(コープかながわ組合員) 上原公子(前国立市長) 榎谷雅文(獣医師) 海老沢恵子(中野区消団連書記、元東都生協常勤理事) 甲斐真澄(NPO法人由木の里理事) 金子美登(全国有機農業推進協議会理事長) 豊・小池信太郎(公害。地球、R 境問題懇談会代表幹事) 佐藤和則(東京南部生活協同組合専務理事) 清水鳩子(主婦連合会参与)、清水洋子(目黒区消費者達酪会運営委員) 下山 保(パルシステム生活協同組合連合会初代理事長) 辰濃和男(前日本エッセイストクラブ理事長・元朝日新聞論説委員) 津田誠一(共同購入会・生活舎理事) 富山洋子(日本消費者連盟代表運営委員) 橋本良仁(高尾山の自然を守る市民の会事務局長) 金子美登(全国有機農業推進協議会理事長) 清水鳩子(主婦連合会参与) 下山保(パルシステム生活協同組合連合会初代理事長) 辰濃和男(前日本エッセイストクラブ理事長・元朝日新聞論説委員) 津田誠一(共同購入会・生活舎代表) 蓮尾隆子(家庭栄養研究会副会長) 土方彰子(有機農産物普及・堆肥化推進協会理事)平田迪子(ワーカーズコープ“旬”代表) 松村敏子(元コープとうきょう理事) 村山節子(ワーカーズコープキュービック・コールセンター 理事長、元コープかながわ理事) 若狭良治(自然エネルギー研究センター取締役、元コープ低公害車開発代表取締役) 山本寛幸(パシフィックトレード会長、元東都生協理事長) ◎生産者団体からの呼びかけ人 青森ときわ村養鶏農業協同組合石沢直士専務理事 畜産農民全国協議会森島倫生会長 千葉県長生地域畜産振興協議会中村種良会長 農民運動全国連合会食品分析センター石黒昌孝所長 以上24氏 問合せ先 遠藤和生 TEL&FA |
2008年7月26日(土) 午後1時30分~4時30分 畜産・大パニック阻止学習会 会場:新宿家庭クラブ会館 渋谷区代々木3-20-6 TEL 03-3370-6322 主催:畜産・大パニック阻止学習会実行委員会(準備会) 消費者と生産者の有志 20名による呼びかけで開催された。 消 費 者:浅井和雄、井口信治、伊藤和夫、上原公子、榎谷雅文、海老澤惠子、 甲斐真澄、金子美登、清水鳩子、辰濃和男、中塚敏春、蓮尾隆子、 土方彰子、平田迪子、松村敏子、若狹良治、 生産者団体:青森ときわ村養鶏農業協同組合 専務理事 石澤直士 畜産農民全国協議会 会長 森島倫生 千葉県長生地域畜産振興協議会 会長 中村種良 農民運動全国連合会食品分析センター 所長 石黒昌孝 開催報告.pdf 畜産大パニック阻止学習会の報告2008年7月26日 食の安全や環境保全に熱心な19氏が中心になって呼びかけた標記学習会が2008年7月26日に東京都内で開催されました。 学習会は若狭良治コープ低公害車開発元代表取締役の司会、進行で開始され、 冒頭、前国立市長の上原公子さんが「この学習会は飼料の度重なる記録的な暴騰により廃業が続出している畜産・酪農生産者の苦悩を正確に理解し、事態の正しい解決に向け、生・消が協同できる行動を追求する為に開催する。」と挨拶されました。 先ず全国養鶏生産者会議の石澤会長から「『鶏卵は物価の優等生はもう終わりにして』とのキャンペーンを有楽町で実施し、消費者に理解を呼びかけた。 大手の養鶏商社からも同感との声が上がっている。 青森県でも今年度、飼料米を200ha作付している。 多収性飼料米の増産を大いに期待するが、今後は減反水田での作付面積をめぐって米粉との戦いが予想される」などの報告がされました。 次いで畜産農民全国協議会の森島会長から「既に投資した農家は止めたくても止められない。 自殺者が出ている。養豚では生産頭数を増やすにも借金がかさむ、このような学習会は次に繋がる」との報告がされました。 酪農生産者では、千葉県長生地域畜産振興協議会の中村会長から「1986年のプラザ合意以後、自給飼料主体の酪農は採算割れする事態となった。生産者乳価が若干上がったが、小売店によっては成分無調整牛乳が不足し、加工乳のみ陳列されているところも出てきている。この現状を放置しておくと大パニックになる。」との報告がされました。 日本鶏卵生産者協会の菊地常務からは「飼料価格は、昨年の3万/tが5.5万/tに上昇し、シカゴ先物相場の動きからしてこの10月に一層上昇する。上昇分を全額補填するとほぼ4,000億円の財源が必要となる。飼料米は2年前から稲作農家と連携して国内生産を追求してきた。今年の作付は全国で1600haに達し、耕畜連携による循環型地域農業の推進に貢献してきている。」との報告がされました。 生産者団体からの報告を受け、全国消費者団体連絡会の蓮尾隆子運営委員は、「消費者は、生産者の実情を理解すると行動する。生消が協同して畜産大パニックを未然に防ぐ運動を盛り上げたい。かつて第二次石油危機時での飼料代大暴騰時に生産者の価格引き下げ運動を消費者が支援した経験がある。今は国産を消費者が強く選択する時代、生産者がSOSを発信すれば、消費者は黙ってはいない、行動する。」旨報告しました。 東京農業大学畜産マネジメント研究室の信岡誠治先生が 「超多収性飼料米こそ畜産大パニック阻止の切り札」 と題して講演しました。 「超多収性米の代表品種”籾ロマン”は昨年、慣行栽培で10a収1,016kgを達成した。 今年は鶏糞発酵堆肥を10a当4t投入し、殺虫・殺菌農薬不使用、除草剤1回散布だけで収量増を追求している。 4年前から飼料米の超多収品種の本格研究を開始し、農水省に協力を要請したが門前払いされた。その姿勢は今も同じで飼料米の種子の増殖にも関与していない。 タイ米の品種「タカナリ」は蛋白含量10%で10a収1,275kg(籾)、玄米でも1,023kgを達成している。 稲の実が1t獲れると稲藁も1t獲れるので、合わせて10a収2tとなり、飼料自給率向上への大きな貢献となる。現下の飼料高では両方で 10a当10万を超える収入となる。 *超多収品種の特性を確実に引き出す施肥のポイントは窒素分10a当28kg投入にあり、発酵堆肥の10a当3t以上の投入が最も好ましい。 超多収飼料米栽培を普及していく上でこの施肥の基本が主食米の生産者には受け入れられないのが問題である。主食米の生産者は食味優先の栽培慣習を簡単には捨てきれないので超多収飼料米のローコスト肥培管理技術を稲作生産者に正確に理解して頂く努力が超多収飼料米を普及して行く上で重要となる。」 次いで「穀物先物市場への投機禁止は可能だ!」のテーマで今宮謙二先生が講演されました。 「世界の三重苦―景気後退・金融混乱・物価高騰―をもたらした犯人は投機マネーだ。 投機マネーが世界を大混乱させた出来事は3回ある。 1回目が1929年の世界大恐慌、2回目は1974~75年にかけてのスタグフレーション(G7サミット第1回が’75年に開催された)、今回が3回目で巨額なリスクに対応できない市場原理至上主義の矛盾を露呈した。 サブプライム危機がそのあらわれで企業破綻・金融の弱体化・市場混乱・モラル低下をもたらした。 その背景には世界的低金利による過剰マネーと多様な金融商品の存在があり、”金融危機でも投機マネーが縮小せず”と言う新しい特徴が出現した。 その結果投機マネーが金融市場から商品市場へ進出して、USコーンの価格が実需ベース価格のほぼ2倍になっている(‘08通商白書)といった事態が頻繁に起こっている。 投機マネーを規制する実効策は投機助長の融資規制、投機利益の課税、市場の透明化、タックスヘイブン規制、トービン税、穀物・原油などの金融商品化規制、為替管理強化を国際協力で実施すれば効果が現出する。 借金依存で儲け追求むき出しの市場参入という投機資金の決定的もろさと社会不安の激化が世界中で投機マネー反対の市民世論を高揚させている。そのうねりが投機規制を実施させる最大の根拠となる。 1932年の大恐慌直後に国民の怒りを引き出して政府に”ニューディール政策”を採用させた米国ペコラ委員会の教訓を活かし、既に仏、独の政府が動き出し、ベルギーでは投機規正法が可決され、英国も傾いていてEU全体に波及しつつある。 日本でも、畜産大パニック阻止の呼びかけ文のように生産者と消費者が一体となって投機規制を要求する国民運動が政府を動かす原動力となる。」と言う趣旨のご講演で私たちの運動に大きな確信を与えてくれました。 全体討論では市場原理至上主義の矛盾を制御するルールを確立する事が食糧への投機を禁止する基本である事を今宮先生が指摘されました。 又、下山保首都圏コープ事業連合初代理事長は飼料米の生産拡大中心に取り組めば生協や消費者団体からの支持は広がるが生消協同で農水交渉を実施するなら要請事項の整理が必要となる旨指摘されました。 さらに清水鳩子主婦連合会参与は食糧自給率向上は大部分の消費者が賛同するテーマで、その立場に立った生産者の実力行使を消費者は応援する。 畜産・大パニック阻止に向け、消費者団体に向けた切り札を鮮明にした資料など情報提供が必要となる。 上原公子さんは畜産パニックになった原因を正確に分析すると飼料自給率向上の緊急性に行き着く。 米国の食糧政策への依存度を早急に低下させる政策転換が不可欠となる。 そのために飼料米生産拡大への正当な予算措置を要求し、消費者が支持できるデーターの積み上げを急ぐ必要がある旨結論的な発言をされました。 同時に蓮尾隆子さんも農水省から飼料米政策を正確に聞き出すべきとの発言で時間超過となり、若狭良治さんが閉会を宣言して終了しました。(文書作成 遠藤和生) 「投機マネーの規制は可能」 日 時 : 2008 年7 月26 日(土)午後1 時30 分~4 時30 分 会 場 : 新宿家庭クラブ会館 (JR 新宿駅南口徒歩8)渋谷区代々木3-20-6 TEL 03-3370-6322) 集会名 : 畜産・大パニック阻止学習会 テーマ ○ 畜産・酪農生産者からの報告 ○「穀物先物市場への投機禁止は可能だ!」 講師:中央大学 名誉教授 今宮謙二(「投機マネー」等著書多数、国際金融と通貨のスペシャリスト) はじめに 洞爺湖サミットの無力 一、三重苦の世界経済 1、景気後退・金融混乱・物価高騰 2、三重苦をもたらしたのは投機マネー 二、最近の新しい特徴 ―「ファンド資本主義」の限界― 1、巨額なリスクに対応できない資本主義 そのあらわれ―サブプライム危機 危機のもたらしたもの―企業破産・金融弱体化・市場混乱・モラル低下 2、新しい特徴―金融危機でも投機マネー縮小せず その原因 世界的低金利による過剰マネーの存在 多様な投機商品の存在 新しい特徴の結果、投機マネーが金融市場から商品市場へ 原油・金・穀物価格などの高騰 物価高騰による国民生活破壊 三、投機マネー規制についての歴史的教訓―1929 年大恐慌― 1、アメリカのニューディール政策 1933 年の銀行法の内容 証券と銀行兼務分離、銀行兼務の監督強化 1934 年の証券取引法 証券会社の規制強化 2、米国ぺコラ委員会の役割―国民の怒りを引出す 四、投機マネー規制は可能だ 1、具体的な対策 投機助長の融資規制・投機利益の課税・市場の透明化 タックスヘイブン規制・トービン税、穀物・原油などの金融商品化規制 為替管理強化 2、国際協力の可能性 3、規制が可能な根拠 投機取引のもろさ、社会不安の激化、投機マネー反対の世界市民抗議のたかまり 講演概要 「穀物先物市場への投機禁止は可能だ!」のテーマで今宮謙二先生が講演されました。 「世界の三重苦―景気後退・金融混乱・物価高騰―をもたらした犯人は投機マネーだ。 投機マネーが世界を大混乱させた出来事は3 回ある。 1 回目が1929 年の世界大恐慌、2 回目は1974~75 年にかけてのスタグフレーション(G7サミット第1 回が’75 年に開催された)、今回が3 回目で巨額なリスクに対応できない市場原理至上主義の矛盾を露呈した。 サブプライム危機がそのあらわれで企業破綻・金融の弱体化・市場混乱・モラル低下をもたらした。 その背景には世界的低金利による過剰マネーと多様な金融商品の存在があり、”金融危機でも投機マネーが縮小せず”と言う新しい特徴が出現した。 その結果投機マネーが金融市場から商品市場へ進出して、US コーンの価格が実需ベース価格のほぼ 2 倍になっている(2008 通商白書)といった事態が頻繁に起こっている。 投機マネーを規制する実効策は投機助長の融資規制、投機利益の課税、市場の透明化、タックスヘイブン規制、トービン税、穀物・原油などの金融商品化規制、為替管理強化を国際協力で実施すれば効果が現出する。 借金依存で儲け追求むき出しの市場参入という投機資金の決定的もろさと社会不安の激化が世界中で投機マネー反対の市民世論を高揚させていてる。 そのうねりが投機規制を実施させる最大の根拠となる。 1932 年の大恐慌直後に国民の怒りを引き出して政府に”ニューディール政策”を採用させた米国ペコラ委員会の教訓を活かし、既に仏、独の政府が動き出し、ベルギーでは投機規正法が可決され、英国も傾いていてEU全体に波及しつつある。 日本でも、畜産大パニック阻止の呼びかけ文のように生産者と消費者が一体となって投機規制を要求する国民運動が政府を動かす原動力となる。 参考資料 履歴 1929年のウォール街大暴落後、米国経済は不況に陥り、多くの銀行が破綻しました。 ペコラ調査は、財政破綻の原因を明らかにしようとしました。フェルディナンドペコラは主任顧問として、米国で最も影響力のある銀行家や株式仲買人を含む多くの著名な証人を個人的に調べました。 これらの目撃者の中には、リチャードホイットニー、ニューヨーク証券取引所の社長がいました。 投資銀行家オットーH.カーン、チャールズE.ミッチェル、トーマスW.ラモント、アルバートH.ウィギン;そして、アーサーW.カテンなどの商品市場投機家を称えました。 幅広いメディア報道を考えると、強力な銀行家Jの証言。 P.モーガンジュニアは、彼と彼のパートナーの多くが1931年と1932年に所得税を支払っていなかったことを審査中に認めた後、国民の抗議を引き起こした。 調査(1932-34) 調査は、銀行委員会の議長である上院議員ピーターノーベックの下で、過半数の共和党上院によって開始されました。 公聴会は1932年4月11日に始まりましたが、民主党のメンバーとその支持者は、を通じて苦しんでいる怒っているアメリカ国民の高まる要求を和らげようとする共和党の試みにすぎないと批判しました。 大恐慌。 2人の主任弁護士は無効であるとして解雇され、3人目は委員会が彼に幅広い召喚状権限を与えることを拒否した後に辞任した。 1933年1月、ニューヨーク郡の地方検事のアシスタントであるフェルディナンドペコラが最終報告書の作成に雇われました。 調査が不完全であることに気付いたペコラは、さらに1か月の公聴会を開く許可を求めました。 彼の国立都市銀行(現在のシティバンク)の公開は、バナーの見出しを作り、銀行の社長を辞任させました。民主党は上院で過半数を獲得し、新大統領フランクリンD.ルーズベルトは、銀行委員会の新民主党議長である上院議員ダンガンU.フレッチャーにペコラを任命するよう要請した。 プローブを続行します。ペコラは非常に積極的に調査を進めたため、委員会の委員長ではなく、彼の名前が公に識別されるようになりました。 ペコラ調査は、銀行および銀行関連会社の幅広い虐待行為を明らかにしました。 これらには、バッドバンクローンを返済するための不健全な証券の引受や、銀行の価格をサポートするための「プールオペレーション」など、さまざまな利益相反が含まれていました。 株式。公聴会は、新しい銀行法および証券法に対する幅広い国民の支持を刺激しました。 ペコラ委員会の調査結果の結果として、米国議会は、1933年のグラススティーガル銀行法を可決し、商業銀行と投資銀行を分離しました。 1933年証券法は、株式提供に関する虚偽の情報の提出、および証券取引所を規制するためにSECを形成した1934年証券取引法。 銀行委員会の公聴会は1934年5月4日に終了しました。ペコラはSECの最初のコミッショナーの1人として任命されました。 影響 歴史家マイケル・ペリーノは、ペコラの調査が「ニューディールの金融法への影響によってアメリカの金融を永遠に変えた」と主張している。 1939年、フェルディナンド・ペコラは回想録を発表した。調査の詳細を語ったペコラは、「規制法の制定に対してウォールストリートはひどく敵対的だった」と述べた。 開示規則については、「で行われていたことの完全な開示があったか」と述べた。 これらの計画を促進するために、彼らは宣伝と批判の激しい光を長く生き残ることができなかったでしょう。 法的な不正行為と真っ暗闇は銀行家の最も強力な同盟国でした。」 2010年に、米国議会は、ウォール街の2007 – 2008年の墜落の背後にある理由と結果として生じる経済危機と不況。Wikipedia site:ja.wikiarabi.org 基調講演.pdf 中央大学名誉教授 今宮健二 氏講演概要 ●この学習会を契機にして、下記の第2回目の学習会の開催を目指して実行委員会が結成された。この学習会は、第1回 シンポジウムとして、2008年11月28日に開催されました。 |
2009年1月10日(土)日刊自動車新聞 「車笛」エッセイ 自動車の燃料と車種の選択と今後の見通し(その5) 食糧自給率の向上とバイオマスエネルギー DME自動車普及推進委員会 事務局長 若狹良治 金融バルブの大破綻から実体経済への加速度的な影響は、日々深刻さを増している。 マンション不況が、5月の近藤産業の倒産以降、最近のダイア建設の民事再生手続き申請に至るまでに、上場企業だけでも24社に登っている。 しかも、その中で黒字倒産といった金融機関の貸し渋り、貸し剥がしといった金融不安による反応で実体経済への影響が一層深刻化した状態で現れているようだ。 ホンダによるF1撤退やその他のモータースポーツからの撤退など矢継ぎ早に発表されている。 自動車メーカーやカメラ・OA機器メーカーによる期間工や派遣工の組立工たちの契約打ち切りなど、地域経済への影響も大きくなっており、自動車販売の低迷から始まって、次から次へと沈滞ムードに拍車がかかってきた。3月の期末に向かって、何が起きても不思議ではない状況が生まれている。 トヨタ自動車の2兆円の利益が6000億に下方修正され、さらに、マイナス1500億円に再修正されたことで、リストラの競争が大手企業を先頭に日本中を席巻している。 一説には、トヨタ自動車など自動車メーカーは、アメリカのビック3の受け皿とならないように先手を打ったといううわさもあるが、その真偽のほどは別にして、日本を不況列島へ加速させたのは事実であり、その結果、一段と自動車の購買層を縮小させたのも現実であろう。 このような中で、景気対策を合言葉に国の予算は、赤字国債や埋蔵金頼みの大幅アップ予算が組まれているが、その多くは、従来の良さの復活などどさくさまぎれの予算のようだと野評価で、これらが果たして景気浮揚策になるかは甚だ疑問であり、不明であると言える。 従来の枠組みでの行政のあり方が問われており、世界的に見れば、新自由主義、新資本主義の落とした影響は測り知れぬほど大きくなってきたようだ。 いずれにしても昨年の1年間は、様々なことが起きたものである。 金融商品が天井知らずの高騰を謳歌し、商品相場もそれにつられて高騰し、原油も147ドルという高値が実現した。 しかし、それらも、アメリカにおけるサブプライムローンという通常の住宅ローンの審査には通らないような信用度の低い人向けのローンを証券化した金融商品が、支払いが滞るようになり、一気に証券化商品の評価が下落したことにより、一連の金融商品相場が暴落したことに端を発し、投資機関の破たんにつながった。特に、リーマンブラザースの破たん以降は目を覆うばかりである。 原油は、最近の商品市況は、一時的には35ドルレベルにまでなっており、最近の財団法人日本エネルギー研究所の発表によれば、45ドルから50ドルが予想されるが、このままの景気低迷が続けば、20ドル台も現実となるということである。 円の独歩高が続く中で、1バーレル35ドルを現在の90円レベルで計算して比較すると、2000年から2003年頃の輸入価格となる。 その頃は、1バーレル23ドルから28ドル、ドルは、120円から110円程度。いずれにしても、2008年は、一番高かった時と一番の安値を比較すると5分の1に暴落したことになる。 さて、こんな暗い状況でくれた2008年であるが、2009年を将来に向けた明るい年にしたいものである。 さて、2年前の2007年2、3月の本欄で、アメリカでのトウモロコシを原料とするエタノールの製造が始まったことにより、飼料穀物であるトウモロコシなどが大幅アップしていることに触れ、国産穀物飼料の必要性や可能性について、飼料米の可能性について記述した。 青森トキワ養鶏農協の石澤直士専務理事が「米」で育てた卵を紹介した。 黄身の色は、白っぽくはあったが薄黄色であった。 牧草のアルファルファを加えたとのことで、加えないともっと白くなるということであった。 この2年間で、飼料としての米の利用方法について、トウモロコシ価格の高騰という背景があり、普及の動きが大きくなってきました。 特に、東京農業大学の信岡誠治准准教授が、畜産マネジメントの立場から飼料米を研究し、「超多収」という表現がふさわしい飼料米を研究改良し、実際の農家に提供して普及を図ってきています。 10月19日のNHKスペシャルで、世界的な食糧危機の実態が放映されたが、そこでも日本における食糧自給率の向上の必要性とそれに果たす超多収飼料米の有意性が報告されていました。 11月28日に、生活協同組合や養鶏や畜産農家の方々の呼びかけで、「超多収飼料米普及が畜産・大パニックを防ぐシンポジウム」がエデュカス東京で開催された。 内容は、首都圏の生協が飼料米で育てた鶏卵を取り扱って組合員に提供している事例や育てている生産者から取り組みの状況が報告された。 また、信岡先生の「超多収飼料米が畜産と水田を救う」と題する特別講演が行われた。 ついで、信岡先生と、生産者として全国養鶏経営者会議の石澤直士会長、畜産農民全国協議会の森島倫生会長、消費者として生活クラブ事業連合生活協同組合連合会の加藤好一会長理事、家庭栄養研究会の蓮尾隆子副会長によるパネルディスカッションが行われた。 このシンポジウムで、今回のトウモロコシの高騰による飼料の高騰で痛めつけられ、相当数の畜産農家が離農せざるを得ない状況が生まれる中で、現在は、高騰していた飼料も金融破たんから始まった世界的な経済の大混乱のなかで、価格はそれなりに下がってきたが、この間の食糧輸出国が輸出を止めるなどの現象が生まれたことなどから、食糧が国の安全保障上の重要なポイントであることを感じることができたこと、そのために、食糧自給率をどのように向上させていくかが語り合われた。 また、食の安全・安心・健康というキーワードにして、出所明白な食糧の自給率を向上させていくことの重要性が話し合われた。 そのために、消費者から見ると農家と畜産農家は同一のように見えて、全くの別業態となっていることを理解し、耕(作)畜(産)連携の重要性などが提起された。 内容的には様々な問題を含んでおり、ここで述べきることはできないが、今回のポイントは、その中で、超多収飼料米といわれる米の役割である。 米は、狭い国土の日本に適した作物であることが言われるが、その最大の特徴は、水田という農法で、土が水で毎年洗われることにより、ウイルスなどによる連作障害が発生しないことで、同じ場所で同じ米を作り続けることができるということである。 今回、信岡先生から紹介された「モミロマン」という超多収飼料米は、コシヒカリなどの三倍以上の収量があり、茎である藁(わら)も大量に取れるということである。 また、大量の堆肥を入れても倒伏せず、水の管理や実った状態で、多品種の米が10月初旬に駆り取りしたものを、このモミロマンは、11月初旬まで田んぼに植えた状態でおいて、乾燥もさせてしまうという手間のかからない農法で育てていることである。 私の持論だが、食糧もエネルギーもその多くを輸入に頼る日本では、その両方を追いかけているわけだが、狭い国土での自給を目指す場合、「二兎を追うものは一兎も得ず」のことわざのように中途半端に終わってしまう。 原油や天然ガス、石炭は貴重なものだが、それらを直接食べることはできない。 しかし、食糧は、日本の実情に合った状態で生産増強が可能なのではないだろうか。 余れば輸出すれば良いわけで、また、使いきれないわらをバイオマス燃料」として、ペレットや場合によってはエタノールあるいはメタノールかをしてエネルギーとしての利用も考えられる。 以前に、休耕水田にポプラやユーカリのような成長の早い樹木を植えて、エタノールを製造するプロジェクトに大企業や国、自治体などが取り組んでいることに対する批判を書いたことがあるが、今回の取り組みを見聞きし、ますますその感を強くした次第である。 |
写真左:トウモロコシ卵 写真右:米卵 |
さて、信岡准教授は,「超」が付くほどの多収穫できる飼料用米である「モミロマン」を実験圃場で作付けし,雛から育てた28羽の白色レグホンにモミのまま給餌し,1年たっても、95%の採卵率で卵を産ましている。 連日,27~28個の卵が生まれ,場合によっては,29個や30個のこともあるそうである。 また,卵殻が固く,3か月間冷蔵庫に保管した卵も十分に食すことができるレベルで,モミのままで給餌することで何らかのまだ未解明の成分の効果があるようだという。 11月2日付の日本農業新聞の1面トップに,次のような記事が掲載された。 『<卵は米育ち 鶏飼料に配合 割高も人気/首都圏の生協が次々商品化> 食料自給率向上の観点から飼料米が注目を集める中,首都圏の2生協が今月,米で育てた鶏卵の試験販売に乗り出す。 トウモロコシなどの配合飼料で育てた通常の卵に比べ,黄身の色が淡いのが特徴。 価格もやや高めとあって消費者の反応は未知数だが,先行販売する別の生協では,完売が6カ月間続くなど反響も出ている。 東都生協(東京都,組合員約22万人)は17日から1週間,「産直えさ米卵」を3,500パック(1パック6個)限定で販売する。 茨城県のJAひたち野管内で作付けした米「タカナリ」を,飼料の約6割を占めるトウモロコシの代わりに使う。 価格は1パック198円。担当者は「『米育ち』だからと特別視せず,普通に食べてほしい」と期待を込める。 1都7県の生協でつくるコープネット事業連合(さいたま市,組合員約342万人)は3日から来年2月まで,東京,埼玉,千葉の59店舗で「こめたまご」を販売する。 飼料米の配合比率は20%で,10個入り258円(白卵)と6個入り178円(赤卵)の2種類。 「卵黄色や価格への組合員の評価を聞き,宅配への拡大なども検証したい」としている。 5月から販売を通年化したパルシステム生協連合会(東京都,組合員約113万人)は,売れ行きに手応えをつかむ。 毎週,インターネット受注で「トキワの玄米玉子」6個入り60パックを販売。 開始から10月3週の時点まで24週連続で完売している。 「むつほまれ」を中心に,飼料米の配合比率は6割。鶏は平飼いのため価格は1パック480円と高くなるが,一定の固定客が生まれたという。 担当者は「『自然な卵黄の色』をPRし,それが受け入れられているようだ」と話す。飼料米の利用は養豚で先行してきたが,鶏卵,さらには肉牛へと広がりをみせてきた。 生活クラブ生協連合会(東京都,組合員約31万人)は栃木県開拓農協と連携し,飼料米の作付けを始めた。まず豚肉すべてに飼料米を与えることから始め,数年後には牛へも給与し,飼料米で育てた牛肉を販売する構想だ。 「耕種,畜産など多様な生産者と消費地とが交流できる“産地丸ごと提携”を目指したい」という。』 軽油やガソリンが原油147円まで高騰した影響で、国内では、一時180円を越えた状態もあったが、原油の大幅な下げが進行する中で、首都圏でガソリンが98円、軽油が93円程度となってきた。 軽油の高騰で、運送事業者は代替燃料の検討を盛んに進めていたが、当初予算の範囲に価格が収まってきたことにより、その検討熱が冷めてきたようだ。 しかし、OPEC諸国は、これまでの原油の高騰により国家財政そのものが膨張し、原油が70ドルレベルでないと、財政が立ちいかない国も多くなっているという。 そのために、原油価格の大幅なアップを目指して協調して減産をするという。 しかし、このような原油が高騰した原因である金融商品の理屈の合わない投機マネーによる買いあさりという実体経済を無視した価格つり上げをあいまいにして、原産による価格維持という行為に走ると、これから立ち直らなければならない経済をますます疲弊させ、結果として、価格が上がったも売れない上体では結局国家財政が立ち行かない状態が生まれるのではないだろうか。 一方、国内の物流事業者は、不況の進行のなかで、物流が減少し、車両の買い替え時期の延長を始め、減車も始めたという。 鉄材の世界的な価格下落で、中古車の売れ行きも悪いという。 右肩上がりが当たり前という誤った認識で今後も対処すると、取り返しのつかない事態になりそうである。 地に着いた取り組みが必要のようである。 |
原油の輸入価格の比較(円/キロリットル)